アフガニスタンの女性たちの姿を描いた監督の言葉

ウクライナのニュースが続く中、昨年タリバンが暫定政権を発足させたアフガニスタンの話題はなかなかニュースでも取り上げられなくなっています。

5/7(土)、吉祥寺の映画館、アップリンク吉祥寺で前日に封切られたばかりの映画「明日になれば アフガニスタン、女たちの決断」を見てきました。

上映前、サハラ・カリミ監督がオンラインで出演するトークショーが開催されました。
(「映画館のトークショーもオンラインで行われるようになったのか」とそのことにもびっくり。) 

サハラ・カリミ監督はアフガニスタン出身の女性監督。

この映画の撮影はアフガニスタンで行われ、出演しているのもアフガニスタン人の方々です。

学生時代に日本人の学友がいらしたとのことで、その方がトークショーの通訳をされていました。

このお友達との出会いが監督と日本との縁を繋いだのです。

トークショーの冒頭で、監督はこの20年、日本政府・日本人がアフガニスタンで多くの開発やプロジェクトを進め、サポートしてきたことに感謝の言葉を述べられました。

そして、
「タリバンが権力を掌握したことで、アフガニスタンの状況は悪くなっている。
でも、その状態に目を閉じることなく、アフガニスタンとアフガニスタン女性を支援してほしい。」
と訴えました。

今、アフガニスタンで更に悪化しているのが女性の権利問題。
「今日も女性の権利に更に制限を課すことを検討する話し合いが行われている」
という監督の言葉通り、タリバンは7日、
「女性に全身を覆うイスラム教の衣服「ブルカ」などを着用し、顔を隠すことを義務付ける」
と発表。 

タリバンが昨年暫定政権を発足させてから、女性の権利は様々な形で制限されています。

昨年12月には女性が単独で遠出することが禁止されました。

また、当初は女性が教育を受ける権利を保障すると表明されていましたが、結局、中止されています。

監督は
「日本の人たちにもこの現状に声をあげてほしい」
とおっしゃっていました。

この映画を作った理由は、
「どんな国にも、どんな人にも物語があり、それを物語るのは大切なこと。

アフガニスタンの女性について語られていることの中には正しいこともあれば、ステレオタイプのこともある。
妊娠・堕胎のようなテーマは、これまで語られてこなかったこと。

そのようなステレオタイプでないことを伝えるのは自分の義務。
新しいストーリーを世界に届けられたら、と思った」
とのこと。

また、この映画の収益の一部はウクライナに寄付されるのですが、それは監督からウクライナへの「恩返し」。 

昨年タリバンがカブールを陥落し、出国しようとしていた監督とご家族を助けてくれたのがウクライナだったのです。

ですから、カブールを出てからしばらくは監督はウクライナのキーウに滞在されていたのですが、このトークショーにはイタリア・ローマから参加しておられました。

監督がどの時点までキーウにいらしたのかは話されていませんでしたが、カブールから逃れてキーウで避難生活を送った後、また別の国へと逃れた避難民の方は、他にもいらっしゃるのかもしれません。

自分の母国が戦地・紛争地になるということは母国に残れば命の危険があり、他国に逃れてもその後の身の安全や、落ち着いて暮らせる保証もない。

なんと苦しいことでしょう。

 「ペルシャ語には『一滴の水も集まれば海になる』という意味のことわざがある。

小さなことでも、誰かの人生を変えるかもしれないし、誰かの夢を叶えるかもしれない。」
という監督の言葉は、胸に響きました。

アフガニスタンで起こっていることはウクライナで起こっている戦争とは違いますが、アフガニスタンでも紛争が続いています。

そのような状態で女性や子供が生き延びることは難しいのです。

だからこそ、監督は日本のわたしたちへのメッセージとして

「ウクライナとアフガニスタンの人たちは特に苦しんでいる。
苦しんでいる人たちを助けてほしい」

と訴えていました。

こんな風にオンラインで監督のお話を伺った後で見た映画は、アフガニスタンの女性たちが直面する現実に胸が苦しくなるものでした。

長くなりましたので、続きはまた次回に。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

*監督のお写真はトークショーの終わりのフォトセッション時のものです。

映画を見た日の夜、簡単な感想をツイートしたら、監督がわたしの感想を英訳したものをつけて(機械翻訳?)リツイートしてくださっていました。

簡単ながらも自分の感想が監督に伝わった、ということが、とても嬉しかったです。

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