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学びを通して自分に起きたことの違い

私はいくつかの仕事の中で「先生」と呼ばれる仕事をしている。

先生をしている時間以外では、今でも生徒である。
今でも先生のもとで学び続けている、ただの生徒である。
今は、自分が生徒だと言える。
先生になる前には、生徒でもなかった。
ただのお客さん、会員さん、である。

今と昔を振り返った時に、学びの時間を通して自分に起きている違いがあまりにも明確すぎるなと思ったので、少し書き綴ってみようと思う。

最初に意識を持って人を「先生」と呼んだのは、ヨガの師匠の元でトレーニングを受けることを決めた時である。
それまでは、生徒という感覚など毛頭なく、先生のこともここで働いている人。という感覚でしかなかった。
先生を「〇〇さん」と呼んでいた。

その当時はホットヨガに通っていた。
汗をかけて運動もそこそこできて一石二鳥だったからである。
しかし、何年通おうが、週に何回行こうが、ちっともヨガの良さがわからなかった。
身体も変わらなかった。
深い呼吸もアーサナも「できている風」であった。
全くもって、ヨガの良さなど実感がなかった。

好きな先生は可愛くてなんかオシャレな先生。
声も大事よね。
以上。
良い指導やシークエンスとか、ヨガの内容とかどうでも良かった。
キツすぎなければOK。
先生も見た目と声の相性で決めていた。
今では、当時の自分を「お子ちゃまでちゅね〜」と振り返り、どれだけガキンチョであったことか。。。

と、こんな様子でヨガをやっていたわけなので、
当然素直ではない。

好き嫌いで仕分けしていたので、聞くことも聞きたいことだけを聞いていた。

例えば、
ヨガのアーサナで「ウッターナアーサナ」とサンスクリット名で呼ぶ立位前屈のポーズがある。
そこの先生が、この名前をクラスの中で何度も言うとする。
でも私は、無視である。
意図的に無視をしていた。
「何それ?意味わかんない。ここ日本だし。知らねー」と心の中でピシャリとシャッターを閉め、自分が綺麗であることだけに集中していた。
頑張ってアーサナを取り、頑張って自分を大きく見せようとして、周りの要らないもの(だと勝手に決めつけていたもの)を跳ね除けて、一人ツンツンしていた。

さて、この女の中はどうなっていたか。というと、
ガチガチである。
氷の如く、岩山の如く、カッチコチである。
心と身体は繋がっている。
何かを仕分けし、跳ね除け、ひたむきさや謙虚さを持たず、自分自分で生きていたこのガキンチョは、カッチコチな心で生きていたから、考え方もものの捉え方もカッチコチなのは当然のこと。
蝶形骨も横隔膜も骨盤底も、表情もカチコチである。
そんなことにも気が付かず、身体が柔らかい風に、体幹がある風にどうにか自分を鍛え、頑張って頑張ってヨガをしていた。

「あ〜さっぱり。汗かいて。」

こんな調子で、何年通おうが、終わった後自分に残るものは何もなかった。

ヨガなんてストレッチの延長だと思っていた。


指導者トレーニングに通い始めるやいなや、豹変する。
いきなり生徒モードになり、人が変わったように背筋を伸ばし、
(まぁ、あいも変わらず頑張ってはいたが)
乾いたスポンジのようにぐんぐん吸収していった。
自ら積極的に真摯に話を聞き、みんなに笑われるような馬鹿な質問もした。
先生が話をする時には、真っ直ぐに見つめ、1秒たりとも聞き漏らすまいと全身全霊をそこに向けていた。
ヨガの時間でも、必死に、先生に、みんなに追いつこうとしていた。
身体はやりすぎてたくさん怪我をした。それでもやめなかった。
綺麗になることなど、一瞬でどうでも良くなっていた。
どの先生も素晴らしく、どの先生にも個性があって、良さがある。
自分に共鳴する部分と、自分と違う部分の双方が自分を成長させてくれるものであり、気づきという教えをくれるものだった。
激しく動くクラスも、まっっったくといって動かないクラスも、ゆるーーーいクラスも、どんなに短い時間のクラスも、初心者向けでも上級者向けでも、終わった後にはたくさんのものに満ち満ちた自分がいた。


これはたった数日での変化だった。
というか、たった一瞬で変わったと思っている。

それは何というと、「意識」。

何かに向かって、学ぼうとする意識。

知りたい。

やるんだ。

それだけだったと思う。

自分の意識一つで、
何年やっても一向に気持ちよさがわからないヨガが、一瞬にして至福の時間となった。

一年ごとに私の身体もどんどん変化した。
(長い年月の間では太ったりもした笑)

変わることで出会えると思っていた自分の理想は、ここにあった。
すでにあったのだ。
自分が生徒となり、無心で学びの時間を過ごしただけであった。
それだけで、多くのものを享受することができた。

結果として、たくさんのものがみるみる変わった。

たったそれだけである。

たった、それだけの話。

おわり。