
cinema, local, emotional 031
かーっ!泣けたー!
『テルマ&ルイーズ』を、午前十時の映画祭で観たのです。小〜中学生の頃にVHSで観たのが初見なのだけど、やっぱり良かったな。
粗は、ある。テルマ&ルイーズの道行きと追いかける警察陣のカットバックがいささか単調だったり、ハーヴェイ・カイテル演ずる警部のキャラクターがいささか薄っぺらかったり(単なる善人なのだ)。
だがしかし、展開の単純さは力技でギリセーフ持ち直しているし、警部もハーヴェイ・カイテルの説得力(日本なら北野武といったところか。不器用な優しさ)で「まあ、いっか」と思わされる。ハンス・ジマーの音楽も良いし、80年代〜90年代初頭の既成のポップソング・ロックソングの選曲もなんかイイ。
一番はやはり、近年あまりパッとしない、映画に飽きてしまったかのようなリドリー・スコットが、まだ彼なりに真摯に映画と向き合い監督しているように感じられるところだろう。
やたら地面を濡らして光を反射させたり、意味なく雨を降らせたり、排気ガスや砂煙を効果的に使うことで画面に独特な質感をもたらす初期リドリー節は、今作でも発揮されているし、時折コマーシャルフィルム監督らしいセンスのハッとさせられるカットがインサートされるのもドキッとして良い。
ラストシーンは圧巻だ。哀しくも前向きな、余韻たっぷりのラストがこの映画の肝だろう。
あと数回は劇場に観に行きたい!
映画監督/ドキュメンタリー映画「まちや紳士録」('13)「人情噺の福団治」('16)を監督。東京・名古屋・大阪ほか各地で劇場公開/2021年春撮影予定の新作劇映画を準備中/三重県 多度ふるさと塾 世話人/土着と革新の間 info@officearigato.com