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【短編小説】Zuuto Summer

今回のノベルは前作と入れ子構造になっています。

本作は前作「パスポート」に登場する映画監督の
ヒナタが、作中で製作した映画のストーリー
となります。

よろしければ、本作の作者であるヒナタの活躍する「パスポート」も読んでみてください。


レオとアヤメは、とある夏の国で暮らす兄妹です。この国には四季が存在せず、常に夏の気候が続いています。

アヤメはこの国の夏の陽気が好きで、
いつも元気で明るく振る舞っています。しかし、
レオは違います。彼は季節が同じで変化がない
ことに飽き、退屈を感じていました。

そんなある日、レオはこの国で唯一のひまわり畑を発見します。彼はこの花畑に惹かれ、何度も
足を運ぶようになります。

レオは、ひまわり畑に通い続けていたある日、
異国から来た青年、ケイに出会います。
ケイはあてのない旅の途中、
この国に立ち寄ったのでした。

レオは、異国から来たケイといろいろな話を
するうちに、自分が生まれ育った夏の国の
良さに再び気づくのでした。

その後、ケイが帰国する日がやってきました。
レオは、別れの挨拶を言いにケイの宿に
訪れました。ケイと話をしていると、
レオは、自分たちの国について語り始めました。

「ここは四季がないけど、夏の国で、
いつも太陽が輝いている。美しい海や空、
そしてひまわり畑。たくさん素晴らしいものが
あるんだ。でも、僕は最近、それを
忘れていたんだ。」

ケイはレオの言葉に興味を持ちました。
彼女は、自分が生まれ育った国にも、
同じように素晴らしいものがあるに違いないと
思うと同時に、自国に帰ってもこの国の人々に
宿る"夏の陽気"を心に持ち続けたいと強く
思いました。その後、ケイは自国に帰ると、
夏の陽気の素晴らしさを広め始めました。

レオは、ケイが自国で夏の陽気を広めるために
取り組んでいることを知り、自分の言葉がケイに
しっかり届いていたということに感動しました。
そして、彼は自分自身も、夏の国の魅力をもっと
広めるために、ひまわり畑でのイベントや、
音楽祭の開催を計画しました。

しだいにレオとアヤメの周りでも、夏の陽気が
広がり始めました。人々が笑いあい、音楽に
合わせて踊り出す中、レオは心から笑い、
その顔は太陽のように輝いていました。

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