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ワークショップデザイン・ファシリテーション論

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ワークショップデザインやファシリテーションに関する知見や論考をまとめていきます。
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#デザイン

新刊『リサーチ・ドリブン・イノベーション』予約開始! アイデアの可能性を拡げる探究型の問いのデザインとは?

新刊『リサーチ・ドリブン・イノベーション』予約開始! アイデアの可能性を拡げる探究型の問いのデザインとは?

昨年から書き進めてきた新刊『リサーチ・ドリブン・イノベーション:「問い」を起点にアイデアを探究する』(安斎勇樹 小田裕和 著, 翔泳社)が4月20日に発売されることになりました!是非ご予約ください!ありがたいことに、早速Amazonの書籍の人気度ランキング1位に入りました!🙏

これまで企業の課題解決のワークショップデザインやファシリテーションに関わる著作はいくつか出してきましたが、イノベーショ

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"10万年後の問題"を解決するための課題設定は可能か?

"10万年後の問題"を解決するための課題設定は可能か?

問いのデザインの手順を体系化する上で、ワークショップデザインやファシリテーションの技術ばかりに目線が行きがちですが、ワークショップの問いの設定以前に、何を解決するためにワークショップを実施するのか、すなわち「解くべき課題を定義する」ことが重要です。

課題とは「理想的な目標」と「現状」との差分を解消するために「いま向き合うべきテーマやタスク」のことです。適切な課題を定義するためには、漠然とした問題

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プロジェクトにおける良い課題設定の条件

プロジェクトにおける良い課題設定の条件

ミミクリデザインでは、クライアントから事業開発や組織開発のプロジェクトをご依頼いただく際に、課題(問い)を再定義(リフレーミング)するところから始めます。課題の渦中にいるクライアントの目線から語られる課題の切り口は、必ずしも事業や組織のイノベーションにつながるとは限らず、クライアントとの対話を通して、第三者の目線の交えながらブレイクスルーにつながる課題に再定義をするためです。

ところが、再定義し

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問いの「深さ」を測る:ワークショップデザインのシミュレーション

問いの「深さ」を測る:ワークショップデザインのシミュレーション

ワークショップの「問い」のデザイン論を考えていく上で、問いの立て方、組み合わせ方などの「作り方」の議論もとても大事なのですが、試作した問いの「評価方法」についても考えなければなりません。

デザインはプロトタイピングと仮説検証をしながら進めていくプロセスですが、「いま作っている問いは、実際に参加者に投げかけた際にうまくいくのか」についてシミュレーションができなければ、「良い問いが完成した!」と判断

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書籍『問いのデザイン(仮)』の執筆プロセスを公開します

書籍『問いのデザイン(仮)』の執筆プロセスを公開します

ワークショップにおける「問い」の設計について体系化した書籍『問いのデザイン(仮)』を、来年春に出版に向けて絶賛執筆中です。

2015年くらいから問いに関する研究会を繰り返し、知見を貯めながら「書籍を出版します!」と宣言していて、出版社も決まっていたのですが、なかなか筆が進まず..気づけば4年ほど経ってしまいましたがが、ようやく重い腰をあげ、共著者の塩瀬隆之先生(京都大学総合博物館 准教授)と決意

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「遊びのデザイン論」のマガジンを始めます

「遊びのデザイン論」のマガジンを始めます

イノベーションプロジェクト、ワークショップデザイン、ファシリテーションの方法論を「遊び」の観点から読み解く無料マガジン「遊びのデザイン論」を始めます!ぜひフォローしてください。

これまで安斎のnoteでは、商品開発、組織開発、人材育成などのイノベーションプロジェクトに関する知見や、ワークショップデザインやファシリテーションの方法論や理論の解説を発信してきました。

なかでも好評なのは「問いのデザ

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創造性の土壌を耕すとはどういうことか:イノベーションの源泉となる創造性の3階層

創造性の土壌を耕すとはどういうことか:イノベーションの源泉となる創造性の3階層

ミミクリデザインの全体合宿@三浦半島が終了しました。3期目に突入し、正社員メンバーもいつの間にか10名を超え、フルタイムでない業務委託メンバーも含めれば30名弱ほどになりました。採用活動にもさらに力を入れ始め、現在進行形で新たな仲間が増え続けているため、改めて理念を問い直し、組織に求心力をもたらすための行動指針の言語化を進めています。

ミミクリデザインでは2周年を機会に「創造性の土壌を耕す|Cu

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企業内人材育成にワークショップを導入する意義を2つの変化のレベルから考察する

企業内人材育成にワークショップを導入する意義を2つの変化のレベルから考察する

企業の人材育成の取り組みに「ワークショップ」の手法や考え方を活用したいというご相談が増えています。ミミクリデザインでもこれまでさまざまなプロジェクトを担当させていただき、 たしかな手応えを感じています。

他方で「なぜ企業内人材育成にワークショップが有効なのか」と問われると、回答には少し整理が必要だと感じています。

その理由を紐解いていくと、「人材育成」が目標としている変化のレベルには、乱暴かつ

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続・問いの因数分解|問いの探索先のバリエーションと制約の効用

続・問いの因数分解|問いの探索先のバリエーションと制約の効用

イノベーションプロジェクトやワークショップデザインにおける「問いのデザイン」の性質を方法を検討するなかで、以下の記事では「問いの因数分解」という考え方を紹介し、そこから見えてくる問いの基本性質を5つにまとめました。

<問いの基本性質>
1. 「問い」は、いくつかの「前提」「制約」「小問」によって構成される
2. 「小問」は、問われた側に対して、なんらかの探索を誘発する。
3. 「制約」は、「探索

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組織に「対話のコンテナ」の生態系をつくる

組織に「対話のコンテナ」の生態系をつくる

組織開発のファシリテーションの方法論として、中原先生のブログで、クリス・コリガン氏、ケイトリン・フロスト氏の講座の学びがシェアされていました。ブログを読むだけでもかなり学びがありました。

対話を生み出す「コンテナ」という考え方中心的な概念として、対話の場を捉える「コンテナ」というものの見方が紹介されています。

安心・安全の雰囲気のなかで、人々の対話がうまれ、そこで相互の学びあいが起こっ

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問いの「因数分解」から見えてくる、問いの5つの基本性質

問いの「因数分解」から見えてくる、問いの5つの基本性質

拙著『問いのデザイン』では、複雑な問題の本質を見抜き、適切な課題をデザインする方法から、実際のファシリテーション場面の具体的な問いの設計まで、体系的に解説しました。

その中でも、書籍の後半で紹介している問いのミクロな性質分析が、マネジメントの目標設計やミーティングの問いかけなど、さまざまな場面で有用です。

問いを"因数分解"するという考え方ファシリテーションの場面で実際に投げかける「問い」の基

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"ワークショップスピリット"として、何を伝えるか?という問い

"ワークショップスピリット"として、何を伝えるか?という問い

ミミクリデザインのファシリテーター育成の大型プログラム「Workshop Spirit -“ワークショップの魂”を探る」のDAY3が終了しました。次世代を担うワークショップ実践者が自身の"ワークショップスピリット"を研ぎ澄ますための半年間の学習プログラムと銘打っており、ワークショップの先駆者である中野民夫先生、人材開発・組織開発を専門とする中原淳先生、そして安斎の3名が講師を担当しています。スケジ

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ファシリテーションにおける問いの4パターン

ファシリテーションにおける問いの4パターン

イノベーションプロジェクトにおける「問いのデザイン」の照準を検討する上で、「質問」と「発問」との違いと比較することで、ワークショップ的な問いの特徴は、ファシリテーターも参加者も答えを知らない課題について、創造的対話を促すトリガーとしての特徴があることが確認できました。

同じように「問いの答えはどこあるのか」という観点から整理すると、ワークショップの進行中の「ファシリテーション」における問いかけに

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「学習環境デザイン論」からワークショップデザインを考える

「学習環境デザイン論」からワークショップデザインを考える

学びの場作りとしてワークショップデザイン論を捉えた場合、上位概念としての「学習環境デザイン論」の枠組みは大変参考になります。

学習環境デザインとは何か学習環境デザインとは、学習者を「能動的に学ぶ存在」として捉えながら、学習環境を「活動」「空間」「共同体」「人工物」という4つの要素に分解し、それぞれを結びつけながらデザインしていく考え方です。安斎が大学院で師事していた山内祐平先生が専門とする学問領

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