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数学の超戦略的・効率的な勉強法

第0章  数学はセンス?

 数学においてある一定以上のレベルになるのには天才的な発想力が必要と思っている受験生がとても多いのですが、はっきり言ってその考え方は極々一部の問題を除いて間違いです。多くの難関大学の入試では5〜6割近く取れれば合格点に達します(国公立医学部は除く)し、天才的な発想力が必要な問題が解けるほど地頭がいい人なんて受験生のこれまた極々一部なのですから、入試においては結局みんな解けなくて点差は開かず合格最低点は下がります。ですので、数学という教科もしっかりと戦略的に勉強計画を立てて勉強を進めていけば地頭が悪く、発想力がないと思っている人でも得点源にすることができます!!!!

第1章  入試数学とは

 まずは入試数学の特徴について書いていこうと思います。僕は数学を”氷でできた鋭い刃物”のような科目だと思っています。多くの入試において数学は一問一問の点数の配点が大きいため点数のブレが大きくなりがちであり、数学が成功すれば合格を確信できるが、できなかったために逆に不合格を確信してしまうケースも多いと思います(合格、不合格どちらの決定打にもなりうる)。多くの人が(1)で計算ミス等のケアレスミスをしてしまったがその後の設問において連鎖的に間違えてしまい、ひどい点数をとった経験があるのでは無いでしょうか?
そのため、数学は鋭い刃物のように相手にとどめを刺すことができることもあれば薄い氷のように脆い教科でもあるわけです。

入試において数学では過度に期待をしすぎず、とるべき最低限のラインを確実に取るようにして、余った時間で点数を上乗せしていく意識を持つのが無難だと思います

(超高得点で安定させられる自信がある人は稼ぎに行っていいのですが)
あと、この”氷のでできた鋭い刃物”という例え、友達に話したら「わかりにくい、それ、諸刃の剣でいいやん」って言われました。なるほど。間違い無いですwww

第2章  全体概観

数学全体の方針としては
1.勉強する分野に優先順位をつけること
2.全ての発想、変形に意味を考えること

1.勉強する分野に優先順位をつけること
 多くの難関大学で入試数学は大問が4〜6問であることが多いです。しかし、先ほども述べたように難関大学における数学では5〜6割程度得点することができれば他の受験生に点差をつけることができます。それに加えて数学は大問ごとに0点か満点かであることが多いこと(もちろん分野にもよりますが難関大学の数学において、ある一定以上の力がないと数学ができない人は初手がそもそも思い浮かばないことが多発します)も考えると、理論上全ての大問中半分全くわからなくても半分完全にわかれば合格点をとることができます(あくまで極論ですが)。さらに入試数学では頻出分野というものがあって多くの大学において、理系であれば数3微積分、整数問題、ベクトル、確率、数3複素数、図形と方程式(軌跡領域や図形の通過領域)。文系であれば数3微積分を数2微積分に置き換えて複素数を除き方程式などを足したものといったところでしょうか。ここに含まれていない二次関数や三角関数、数列などの分野はそれぞれ計算のツールとしてとして使われることが多い印象です。もちろん数列であれば数学的帰納法が頻出であったり、それぞれの単元の中でも頻出テーマの問題などがありますが、そのような頻出テーマ以外において三角関数や数列などが主題として使われる問題が頻出分野に比べて少ないです。以上のこと、ある一定以上の実力をつけれていないと白紙答案を作ってしまう可能性が大であることから、まずは分野を絞って頻出分野において難関大学の入試でも点数を取れるような一定以上の実力をつけることが重要です。(第3章において頻出分野をさらに目的、得られるだろう能力を考慮した上で分野別に優先順位をつけていきます)

2.全ての発想、変形に意味を考えること

 これは要するに解法暗記をするなということです。数学ができない人は解法暗記に走りがちですが、ではなぜ解法暗記をするのが危険なのでしょうか?
 解法暗記の問題点は二つあります。一つ目は、そもそも暗記が難しい点です。地頭が悪い人はそもそも暗記が苦手な人が多いのではないでしょうか?仮に数学を解法暗記で攻めるとして網羅系問題集を一冊仕上げるとします。有名な青チャートで例題だけやるにしても文系だったらIAIIBの723問、理系だったらこれに数3を加えた994問。ここまで膨大な量を暗記しその状態を維持するには相当な時間とある程度の才能が必要に思えてしまうのは僕だけでしょうか?二つ目の問題点は、その覚えた問題を”応用”しなければならない点にあります。難関大学の入試数学においては一度出会ったことがある問題と同じ問題が出てくることはほとんどありません。つまり、網羅系の問題集を仮に完璧に解法暗記できたとしてもその覚えた解法をさらに応用して入試の問題を解く必要があるのです。しかし、この覚えた解法を”応用”するという段階にもある程度の才能を要するのではないでしょうか?以上二つの理由から暗記力や応用力に優れているのならまだしもそのような才能もない人間が解法暗記をとるのはとても悪手であるように思えます。

しかし、そもそも全ての発想、変形に意味を考えることなんてそれこそ頭がいいとダメなんじゃないかと思っている人。それは違います。数学には入試数学全般に通じる基本的な考え方、それぞれの分野における基本的な手法がありその基本事項を一つ一つ確実に抑えて一つ一つの問題を深く理解すれば確実に伸びます。ではその入試数学全般に通じる基本的な考え方と何かというと

0.困難を解消(もしくは分割)する方向に考える
1.順々に考える
 問題文・条件を図>数式の形へ
 式を構造的に見る
2.終わりから考えていく
3.実験をして具体⇄抽象

順々に掘り下げていこうと思います
0.困難を解消(もしくは分割)する方向に考える
:数学において一番基本的かつ重要な考え方でないかと僕は考えています。なんならこの考え方は数学に限らず問題解決全般に必要な考え方だと思います(金田一少年も推理をする際にこれは基本的な考え方だと言っていましたしね)。こんなことあんまり考えていないよ〜という人も無意識にはこの考え方をして数学を解いていると思うのですが、これを意識して解くのか無意識に解いているのでは安定感が全く違います(数学の振れが激しくて安定しないよという人は、基本的な思考を意識的にできておらず無意識的にしているため、たまたまその思考を出来なかったときに途端に解けなくなってしまい、その日の気分やコンディションなどで振れが生じてしまうのでないでしょうか?)。例えば、みなさん二次関数の平方完成をする際にどのような動機で平方完成をするか考えてしていますか?ほとんどの人が考えられていなく脳死してとりあえず平方完成しているのではないでしょうか?二次関数において平方完成することが多いのは、二次と一次の文字が含まれているがどちらも異なった動き方をします。この際に動き方が違うものが同じ式内に存在するとその式全体の動き方はわかりにくくなりますようね?そのため 困難:異なった動き方をする文字がある  を解消するため  動くものを減らしたい  と考えた上で平方完成を行うのです。何でもかんでも二次関数だったら平方完成というわけではなくこのような細かな動機を意識して数学をできているかいないかでとても差をつけることができます。なお動くものを減らすという動機は三角関数の合成なども同様の理由です。
1.順々に考える
 問題文・条件を図>数式の形へ

:これも無意識にやってしまっている人が多いのでないでしょうか?特に、図>数式にすることを意識的にして行えている人は少ないのでないでしょうか?例えば不等式の証明などの問題を見た瞬間どちらかの辺を0にしていませんか?それもどうして片辺に式を移行するか考えたことはありませんか?例えば2^n > n^2の証明のような問題でまずは図を書いて見てください。その際に、どうも後半は2^nが大きくなりそうだな。しかし、厳密に後半で2^n > n^2が成立するのを示すのは二式の大小比較がきついから難しそうだな(困難)⇨ 一式にまとめよう まで考えてから片辺を式に移行するべきでないでしょうか?また図示して答えの予想をつけることができれば2.(終わりから考えていく)の思考からそれを証明するためにはどのような解法か変形をすればいいのかなどを考えられるため、断然に発想しやすくなります。(この問題の場合、図示するかしないかで数学的帰納法を思い浮かべられるかがかなり変わってくると思います。
式を構造的に見る
:これも意識してやることが大事です。対称式である・四つの未知の文字があるのに三個しか式がないから条件が足りていない・無理数か有理数か・実数か定数なのか
など式の構造にも細かな注意をおいて意識的に見ることが大事です。些細なことに感じるかもしれませんが本当に大きな差が生まれます。

2.終わりから考えていく
:先ほど軽く具体例を出したのですが、その結果を得るためにはどのような変形をするべきか?また、どのような式を作れたら結果につなげることができるか?などを考えるだけで発想のハードルはかなり下がります。

3.実験をして具体⇄抽象
:数学において全く解法が思い浮かばない問題は大きく分けて二通りあり、
  ・そもそも該当する基本的な解法が入っていない
  ・抽象性が高いため何をすればいいかわからない
この後者において非常に有効な手段になります。数学で一般的に難問と言われるのは抽象度が高い問題であることが多いです。冷静に考えてn=1と決まっている問題よりもnと一般性を持たせられて議論する方が難易度は何倍にも膨れ上がりますよね?もし具体性が高い方が難易度が高いなら全部の問題一般的に議論して代入してしまえば済む話です。では抽象的な問題を処理するためにはどうすればいいのでしょうか?それは具体例を代入して規則性を把握することです。n=1or2の場合は一般性が高い場合よりも比較的簡単である場合が多いです(よく(1)でn=1とかの場合求めさせられますよね?)。比較的具体性が高い場合の解き方から規則性や流れを把握、答えの予測をすることによって上にあげたような基本的な考え方で解くことができるレベルまで持っていくことができます。


初めからこの全てを実践するというのはかなり難しいと思うので、まずは復習の際に以上にあげたことを意識的に行い、訓練をし体系的に思考できるようになることで初見の問題でもこの考え方を実践できるようになります。初めはとても大変かもしれませんがこの過程を乗り越えられか否かがいくら数学をやってもできるようにならない人とできるようになる人の差ではと感じます。(しかし、自分一人ではそのようなこと考えられない〜という人に対しては最後に述べます。

第3章  戦略的な学習の進め方

以下、本当に基本的な問題(公式を使えば解けるような問題)の解き方は学び終えていて数学の量を重ねてはいるが伸び悩んでいるな難関大志望の人に向けて書きます。
数学には大まかに分けて二つの必要な能力があります。それは
1.計算力
2.思考力

2の全体概観の後半では主に 2.思考力 を培うために必要なことを述べたのですが、やはり計算力も必要です。これはどちらかが大事とかではなくどちらも大事であるため両方を伸ばす必要があります。後に勉強する分野の優先順位を考える際に考慮します。
さらに数学の問題は解答の自由度が高いか低いかで場合分けすることもできます。これは上にあげた必要な能力の話に似てくるのですが、


解答の自由度が高い:場合の数など何通りもの解法が考えられるもの。問題の自由度も高くなるため、解答の自由度が高いほど発想力や思考の柔軟さが求められる。いわゆる努力が結果に結びつかないことも多い分野。


解答の自由度が低い:微積分など解法が数通りに定まってしまうことが多いもの。問題の自由度も低くなるため、量をやれば伸びることが多い。解法暗記でもどうにかなったりすることが多くなる。

以上述べてきたことからその分野をやることで得られる能力・得点への結びつきやすさ等から僕が思う効率的な優先順位を述べていきます。


1.微積分(理系なら数3、文系なら数2)
やはり計算力がなければ何も始まりません。なおかつ、解答の自由度が低く入試への出やすさもトップであるためやったことに対する得点の伸び、つまりリターンが出やすいため確実に抑えられる分野になり得ます。どんなに数学が嫌いな人でもこの分野だけはしっかりと最低限をとるべきです。また、理系であれば数3微積分による解答のゴリ押しが可能になること、数3に関しては数列、三角関数などと結びつきが強いためそ微積分という分野以上にできるようになる分野が多いです。さらに微積分を抑えて計算力を身につけることができればその後に学ぶ数学の問題の処理速度が上がり効率が良くなります。以上の理由から一位にさせてもらいました。
2.整数
問題の幅広さに加えて入試でも頻出、なおかつこの分野の勉強を抑えることができれば思考の体系化という意味で数学の実力が、間違いなくワンランク上になれます。
しかし、どうしようもなく難しい問題が出た際に発想が思い浮かばず白紙になりうるのでその際は注意が必要です。しかし、しっかりと勉強ができた際に得られるものが多いので優先的に勉強する価値は大いにあります。
整数問題に関していうと上の思考に加えて整数問題の3大方針
・余りに着目・合同式
・約数・倍数関係(互除法)
・絞り込み(不等式・約数の条件)
を踏まえた上で学習することで数学全般に関わる考え方や分野ごとの指針となるものを2軸持って勉強することも他の分野において非常に大切な考え方・勉強の方向性を得られます。
2.図形と方程式(軌跡領域・図形の通過範囲:順象法・逆象法)
こちらは難関大において頻出であること、さらに解答の自由度が低いため(順象法か逆象法かなど)確実に得点できる分野となり得ます。さらにこの分野は実数条件などが深く結びついていて、2で述べた式の構造を見る力が養われます。論理性などの面からも得られるものが多い分野であるため数3は微積分、数IAIIBは整数と図形と方程式を並行もしくは順々にやるのがいいのではと思います。

4.その他
以上にあげた分野の問題を深くやったあとは主に頻出分野なおかつ得点に結びつきやすいものを志望大学などに合わせてやればいいと思います(個人的にはベクトル→複素数やった後に数列の数学的帰納法、確率漸化式をやりその後、他の分野を埋めていくのがいいと思います)。しかし、ここで注意しなければならない分野があります。それは場合の数、確率です。この分野は非常に解答の自由度が高いことに加えて有名問題(一種解法を知っていなければ解くのが難しいような稀に出る問題)が多いことから時間をかけすぎて沼にハマってしまうことが多いです。この分野の問題に関しては、基本的な考え方を学べる問題を深掘りした上で周りと差をつけられないレベルに持っていき、他の分野が大方終わった後やるのが重要ではと感じます。個人個人にあった分野別の優先順位があると思うので相談したいという方は、コメント欄かメールをお願いします。

第4章  特別編 〜数学を独学でやるべきか否か〜

個人的に、完全な独学は厳しいと思います。自分で以上に書いたことを考えられる人ならいいのですがそうでは無い人向けに理由を書いてきます。
1.独学の数学は、量で押す勉強になりがちである(問題の選定が難しい)
2.正しく思考できているか判断できない
3.数学的には重要であるが、教科書や参考書には載っていないような知識、問題、考え方等がある
そのため、以上のようなことを学べる環境に身を置きましょう。個人的には学校の授業や参考書をただ受けたり解いたりしただけで、数学が伸びず自分にセンスがないと感じてしまうのはめちゃくちゃバチコリと残念なことだと思います。正直以上に述べた考え方であったり知識を得ていない状態で数学をやっているのに数学ができるようにならないのは、天才的な人以外当たり前だと思います。しかし、僕自身、闇雲に勉強してしまった時期が長く全く伸びずセンスがいるのかなと悩んだ時期と、上のような考えを得て数学が馬鹿みたいに伸びた時期両方経験したため、ぜひ今数学で伸び悩んでいる人などメール等でより詳しく相談していただけたらなと思います!!!!この記事が皆さんのお役にたてていたら幸いです!!!!!!!!


*超効率的・戦略的な勉強法の全体概論を知りたい人次の記事へ!!!


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