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【前編】自然農法から学ぶ豊かな生活づくり〜環境づくり、栽培、収穫、食すという最小のプロセスから〜

およそ三ヶ月前、まだ冬の頃。京都の町家事務所の荒れ果てた庭を、自然農法を取り入れながら、緑あふれるスペースにしていこうとした半年ほどの取り組みの記事を投稿しました。

今回の投稿は、その続編です。

この、京都の事務所の畑作りに関しては、ここ数ヶ月、理由あってじっくり取り組むことができておりませんでした。

それにもかかわらず、畑は私自身の手を離れて自然に、あるがままに芽吹き、太陽に向かって生育し、花開いていました。

それが、この春に撮影した下の写真の様子です。(4月中頃撮影)

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今回の記事は、この状態に至るまでの道のりを、やや時系列が前後しますが、読み物としての流れを整えることに重心を置きつつ、書いていきたいと思います。

環境を整える〜秋の天地返し〜

前回の記事の時点で、『町家事務所に緑あふれるスペースを作り出し、憩いの場としても活用できるようにしていく』という当初の目標は、達成されたように考えていました。

ただ、土や肥料になってもらった枯れ葉、いつの間にかやってきたダンゴムシやクモ、日々育っていく植物や花の様子を目にしているうちに、

『もっと自然の変わりゆく姿を眺めてみたい』

『この自然の時間と、変化していくダイナミックさを、普段の仕事、生活にうまく取り入れていきたい』

と感じ始めていたのでした。

まだ、何の野菜を育てるのかは明確には決まってはいないけれど、まずは環境だけでも整えておくことにしよう。

そう考え、まずは天地返しを始めることにしたのでした。

前回の記事の最後の写真は、その天地返しを終えた時のものです。

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この天地返しですが…一人でやると想像を絶するしんどさです。

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穴を掘れば、出るわ出るわ。石の数々。

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次第に、赤煉瓦や陶器まで出てくる始末。

「……これじゃあ、野菜や花が根を張れないじゃん💦」

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ようやく、石を取り除きつつ、土を掘り返し、表面と深層をひっくり返す準備ができてきました。

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石やレンガを取り除き、明らかに土の量が減ってしまった空洞に、庭掃除お手伝い等で集めてきた枯れ葉を突っ込みます。やがて、地中で肥料になってくれることを願います。

ここから、土を被せ直してようやく、天地返し終了です。

どうして、ここまで必死でやっているのか、途中からわからなくなっていました。

「石、無限に出てくるじゃないか……。」
「爪より小さな石まで含めると、これ、いつまで続ければいいんだろう」
「スコップが土に差さらない…。土壌が固いな。」
「これ、埋め直す中でまた小石が出てくるじゃないか……。」
「でも、やろう。ここに育つ野菜のためだ」
「この準備を怠ったら、おそらく植物は深く根も張れない」
「これも、良い運動だ」

何度も何度も思考が行きつ戻りつし、ようやく天地返しが終わりました。

「さて、後片付けまでやっておかなきゃ、事務所にくる仲間たちが泥だらけになってしまう……。」

そんな作業中に撮られたのが、この写真でした。

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さて、環境づくりだけはしておこうと考えていたわけですが、

次なる野菜のアイデアは持ってはいません。

そんな時、自然の循環していくプロセスを大事にしながら、普段の生活の中に小さな農的な時間を取り入れ始めた人たちの集いの場に、参加する機会がありました↓

力強い後押し『とりあえず、ネギ挿そう!ネギ!』

昨年の秋、東京の目黒で開催されたその集まりは、畑の先輩や仲間たちが集い、土や野菜、畑に向き合う中で得られた気づき、学びをシェアする機会だったわけですが、自分にとっては、次なる野菜のヒントが得られるまたとないチャンス!

「野菜って、何から育てるのが良さそうですか?」

と、先輩や仲間に尋ねて回りました。

そうすると、

『まずはネギを挿すと良いんじゃないかな🌱暑さ・寒さ、日照時間とか、割とどんな環境でもたくましく育ってくれると思うから!』

『それだ!ネギ挿そう!ネギ!!』

『めざせ!ネギ長者!!』

などなど、力強く推薦されたため、新しくネギ畑を作ることとしたのでした。

「……でも、ただネギ畑だけ作るのも味気ないかな」

ということで、冬を越せるマーガレットや、小松菜も加えて雑多に育ってもらう畑作りにやや方向転換。

東京・目黒から京都に戻った後、こんな具合に整ったのでした。

やはり冬ですね。絵面がとても寒々しい…❄️

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上の画像左側、チョロチョロと黄緑色の何かが挿さっているのが見えるでしょうか。

ネギです。

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ネギは、スーパーで買ってきたごく一般的なネギです。

そもそも、土に挿したら伸びてくるなんて発想は、今までしたことはありませんでした。

「……みんな、自信満々に『ネギ挿そう!』って言ってたけど、本当に伸びてくるのかな」

この時点では、半信半疑どころか、二信八疑くらいでした。

ところが、そんな疑いも1週間もすればあっという間に払拭されることになりました。

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明らかに、伸びています。

2週間もすれば、なんとこんな具合に!

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ネギらしい、先がツンと尖った形に見事に育ってきてくれました。

また、一緒に蒔いた小松菜も少しずつ小さな葉を出してきています。

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あまりにも伸びすぎたネギは、自分の重さで折れ曲がってしまう始末。

見事に育ってくれました。

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その収穫したネギをまな板に乗せ、

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刻んで、

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タッパーづめすれば、見事!食卓の友になってくれました。

見事食卓に乗ることができた自家製ネギ。

我が家の食卓には、二人共好きなことから納豆ご飯が出ることが多いのですが、ちょっとした味のアレンジに大活躍。

「あ、こういうの、良いかも。」

自分の作ったものを、それも、自然というままならないものとのプロセスで作られたものを、誰かとわかちあえる喜びは得難いものでした。

この時点で、季節は冬。

ここから、自分にとっては長い冬が待っていました。

……後編に続きます。



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