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ゼロから始める伊賀の米づくり3:人の都合・天気の都合に折り合いを見出す

今年1月から毎週のように京都⇄実家を往復しつつ、百姓仕事に取り組んでいる。百姓仕事の性として、「天気の都合」というものがあるのだが…これがなかなかままならない。

『雨が降るやろ〜?そしたらトラクターを走らそうとしても嵌まり込んでしまうわけや〜。それに、土が乾燥していないと耕しても空気が入らん。長い間、晴れが続いて土が渇いたその時に鋤くわけや〜。』

とは、父の学生時代からの先輩であり、この地域ではほぼ唯一くらい自前の苗作りから米作りをしているシオちゃん(仮)の言葉である。シオちゃん(仮)の語尾は、若干長い。

これまで、京都を拠点にしたお仕事として、講演会や研修、ワークショップの計画や構築(前日〜当日〜後日のプロセスのデザイン)を行ってはきていたが、天気の都合まで加味した上で仕事をすることになろうとは…!

米作りに限らず、農業におけるステークホルダー(関係者)は、自然であり、天気である。

人間の思いや都合などお構いなしのこの相手と、どう付き合いながら仕事をしていこうか…?

『百姓はな、家におらんと難しいぞ〜?』

二拠点生活を構築する上で、さらに大きな変数・要素が加わることになった。

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雲ひとつない快晴になったこの日。

一昨日には雨がふり、田んぼのコンディションは「まぁ、スけなくはない…程度」の中、不肖大森、トラクターを駆り、田んぼに繰り出すことに。

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『本来は、稲刈りが終わって一段落したら、漉いておくのもええんや〜。藁が今、地上に残ってるやろ?秋口くらいに一度鋤いて、土の上下を入れ替える。冬の間に、地中で藁が腐れば土の養分になるわけや〜。』

「(天地返しか…!)」

自然の摂理は、合理的である。

『で、今回は1回目。次は、田植え前、水を入れる前にスいてやるわけや〜』

ところで、今回、私はトラクターに乗ることすら初めてである。熱心でありがたいシオちゃん(仮)の指導により、一通り操作のコツと田のスき方を覚えることができた。

『トラクターは特に、車輪の幅と重心、田に入る時の傾斜が大事や〜。小さいトラクターは車輪が狭い。そうすると、幅の広い溝なんかが残っていると土に嵌まり込んで抜けられなくなってしまう。』

『それから、田に入る時、出る時にトラクターとロータリ(後部の爪で土を掻く部品)が、傾斜に対して水平になるように出入りするんや〜。そうでないと、重心のバランスが崩れて転んでしまうこともある。毎年、それで何人も死んでるんや〜。』

『田んぼに入ったらエンジンを吹かせ。土の中で走るにはパワーが要るんや〜。平地を走る分には、それほど必要ないけどな〜。』

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無事に終えてみて、日が照ってくるとあっという間に土が渇いていく。空気が入った証拠だろう。

朝9時から始めて、11時半には終了。多少時間に余裕があったので、田の水のメンテナンスについても伺った。

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『今、お前とこの田んぼの水口は土で塞いであるぞ。チョロチョロと水が入り込んで、土がいつまで経っても乾燥してなかったんや〜。水路の上流に当たる田んぼはみんなこうなるんや。

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『田んぼに水が入る反対側はこうや〜。ビニールで水が通る筒をグルグル巻きにして、ゴムで留めてある。水漏れでビニールが圧されてブヨブヨしてきてるやろ〜?ひとまずこうしておいて、水を排出する反対側の水路を開けておけば、渇きは早くなるわけや。水を入れるとなれば、これは取ればいい。』

ただただ、感謝しかない。

『自分一人でできるもんじゃないぞ。みんなに手伝ってもらうんや。』

これは父の言葉だが、このみんなとはシオちゃん(仮)のような先輩のことだけではなく、自然も含めた様々な関係するものと関係を築いていくことなんだろうなぁ、と感じられる今回の時間だった。

毎年田植えを予定している、5月連休が少しずつ近づいてくる。

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