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トランスジェンダー女性の女性スペース使用の権利

トイレや更衣室は「体の性」では分けられていない。

性別は、社会生活や人間関係における個人の属性の一つとして取り扱われており、個人の人格的な生存と密接かつ不可分のものということができるのであって、個人がその真に自認する性別に即した社会生活を送ることができることは、重要な法的利益である。

そして、トイレが人の生理的作用に伴って日常的に必ず使用しなければならない施設であって、現代においては人が通常の衛生的な社会生活を送るに当たって不可欠なものであることに鑑みると、個人が社会生活を送る上で、その真に自認する性別に対応するトイレを使用することは、当該個人が有する上記の重要な法的利益である。

女性トイレの構造に照らせば、利用者が他の利用者に見えるような態様で性器等を露出するような事態は考えにくい。

身体的性別又は戸籍上の性別が男性であることに伴って女性との間で生ずるおそれがあるトラブルの可能性は、せいぜい抽象的なものにとどまる。トラブルが生ずる抽象的な可能性が何らかの要因によって具体化・現実化することを措定したとしても、回復することのできない事態が発生することを回避することができないものとは解し難い。

これらのスペースは身体的性別、生来的性別によって区分けされていない。そのことは各スペースとも、社会的性別(gender)である「men/gentlemen」「women/ladies」表示が通例で、身体的性別(sex)である「male」「female」表示となっていないことからも窺える。また、🚹🚺などのピクトグラムも、国際的に社会的性別(gender)を表している。

実際、国・法務省は、身体的、生来的な性別はおろか、戸籍上の性別ですら、これらのスペースに関して問題にしていない。

専門の医師に性同一性障害と診断されている者であれば、戸籍上の性別とは異なる、自認する性別用のスペースの使用を認めるよう指導している。
下記サイト事例1参照

その真に自認する性別に対応するスペースを使用することを制限されることは、当該個人が有する上記の重要な法的利益の制約に当たる。したがって、トランスジェンダーは自認する性別に対応するスペースを使用できる。

しかしながら、そのスペースにおいて利用者が他の利用者に見えるような態様で性器等を露出するような事態があるかどうかで、トランスジェンダーのスペースの利用を認めるかどうかを判断する。

つまり、トイレや更衣室などのスペースは、利用者が他の利用者に見えるような態様で性器等を露出するような事態が起こるとは考えられないので、トランスジェンダーの使用を認める。

一方、共同浴場の浴室や脱衣場は、他の利用者に見えるような態様で性器等を露出するような事態が想定されるから、性別適合手術がなされたトランスジェンダーのみに使用を認める。

これが現在までに裁判所が下した日本国憲法の基本的人権から導き出したトランスジェンダーの法的利益であり、裁判前から国・法務省の人権擁護局が各企業・団体・個人を指導・啓蒙している方針だ。

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