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【激変の時】スポーツ界がコロナ下で出来る「具体的」な施策とは?

コロナショックによって、スポーツ界は激変の時を迎えている。
世界の殆どのリーグは中断となり、多くの財政的被害を受ける事で、結果的に米国メジャーリーグ・ラグビーや、XFL等のニッチスポーツリーグは破産までしてしまっている。

また、これまでチームやファンを応援してきたファンにとっても日々の楽しみが消えるという状況を迎えてしまっている。

既にコロナがスポーツ界にもたらせた影響については数多くのメディアで取り上げられていると思うので、そこには踏み込まず、今回はコロナ後どういったスポーツ界に変貌を遂げるのか今回は考察したい。

中でも今回はAfter コロナではなく、With コロナの観点に集中して記載したい。

1. コロナで変わったスポーツ界、唯一開催を続ける台湾リーグ

スポーツ・エンタメ界は他の業種に比べても大きな打撃を受けた業種と言える。コロナ発症から間もなく多くのリーグが中断となってしまったのだから。

その中、恐らく世界で唯一国内の主要スポーツリーグを継続している国がある。

その国とは、日本からも比較的近い台湾である。同国は、過去大量発症したSARSでの教訓を生かし、いち早くコロナ対策に打って出ており、その甲斐あって今では新規発症者ゼロどころか、野球、バスケ、サッカーといった国内主要プロリーグを全て再開できるまでとなっている。

全ビジネスに言える事だが、各種産業の未来を占う上では、先行事例を参考にするのはマストと思われる。その為、先ずは台湾の各リーグがどのように、このコロナ下において運営しているか分析したい。

先ず各リーグの現運営方法を見ていると、以下共通項がある事に気付いた。

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<リーグ運営上の共通項>
1) 無観客試合 : 選手、チーム関係者、審判、試合運営スタッフ、TV関係者のみ入場可
2) 検温: 会場から離れた場所で関係者皆検温が行われ、37.5度以上の場合問答無用で入場不可となる等
3) 消毒の徹底: 入場者は選手・審判以外皆マスク着用が義務付けられ、土足での入場も原則禁じられている。バスケにおいては、ダウンタイム毎に各選手の手の消毒も行われる
4) (室内リーグは)統一会場での試合開催 

上記を見ればわかる通り、これまでと大きく異なる形での運営となっている。中でも特に際立つのが無観客試合での開催という事だ。

これは室内外漏れず同じ条件であり、米国の専門家も促すように、各国のスポーツリーグは最低でも今後一年ほどは無観客試合での試合を強いられるだろう。

2.では具体的にどのような対策が打てるの?

未だにコロナ前と同一条件(観客あり、ホーム・アウェー方式他)でスポーツリーグが再開されると信じているリーグ・チーム関係者が多いが、その淡い期待は早めに捨て、変化を伴う厳しい現実を早期に受け入れる必要がある。

これまで日本で多くのリーグが主要な収入源としてきたチケット収入は当面無いものと想定せざるを得ず、今後は放映権収入を主体としたビジネスに舵を切る必要ある。

ただ、無観客試合は選手にとってのみならず、TV・ストリーミング越しに見るファンにとってもきついものと現状なっている。自分も2月に開催されたバスケ日本代表戦の無観客試合をストリーミング配信で見たが、正直に試合内容以上に会場雰囲気の静けさ?から盛り上がる事が出来なかった。

これまで当たり前のようにあった観客の応援している姿や、その彼らが奏でる歓声が試合を大いに盛り上げていたのだ。今後無観客試合が継続するのであれば、新たな放送の仕組みが必要となり、①AR・MRを活用した試合会場における観客の投影、並びに②観客の音声の注入が必要となる。また、③ファンの楽しみの一つに、試合会場での友人・知人との触れ合いもあるかと思われ、そのソーシャル要素をどう組み込むかが大事になる。

つまり、中継時に如何にこれまで当たり前だった要素(観客の視覚的・聴覚的効果他)に加え、生観戦できないファン向けの施策(ソーシャル要素)を組み込む事が大事となると筆者は考える。
では、具体的にはどういった施策を取ればそれを可能とするのだろうか?

1) AR投影サービス

これまでこのニーズが無かったがために斯様なサービスは開発されていないとの理解も、AR技術乃至はコンピューターグラフィックを活用して、TV中継画面上に、ファンが実際に試合にいるかのような映像を映し出すのは効果的だ。

任天堂

しかも実際のファンがいないことを逆手に取り、スポンサー企業のキャラクターなどをもしファンとして投影できれば、消化しづらいスポンサー広告枠を試合画面中に埋め込むこともでき極めて効果的な施策と言える。

更にハードルを上げると、一定数のファンがアバターとして観客席に登場できる演出をできたらより面白いのではないだろうか。以下マリオスポーツの画面上にいる観客席のキャラの一人が自分の分身となり、自分が表情を変えたり叫んだりすると、それに応じてそのアバターの表情等も変わるのだ。

読者の中には、今こそVRの普及だろ!という者もいるかと思うが、個人的にはVRはハードウェアの発達以上にその普及が不十分であり、ソフトが充実していてもハードウェアの普及率の低さから、VRがコロナ下における救世主になるとは想像しづらい。

2) 聴覚的効果

野球・バスケ等の無観客試合をTVで観戦して思ったのは、その静かさが不気味すぎ、スポーツのだいご味でもある白熱感がスクリーン上から感じづらくなっている。

それを防ぐためには、音声がどうしても必要となる。野球でいう所の応援歌や、サッカーでいう所のチャントといったそれだ。最もアナログに対処するには、事前にそれら大事な音声をレコーディングし、それを試合の適切なタイミングでバックミュージックとして流すという方法がある。

もう少し技術的に作りこむとすると、TV前で応援する観客の音をスマホから広い、それを一定の音声アルゴリズムに基づいてバックサウンドとして、コメンテーターの後ろで流すといったものまである。斯様なサービスの場合、試合の盛りあがりに応じてTV画面の向こうでファンが行う声援・チャント・ブーイングの音量を調整するといった、ファンの応援心をくすぐる施策ができるのだ!

3) ファンとのエンゲージメント

やはりスポーツのだいご味は試合会場での観戦時に感じる選手との接点かと思うが、無観客試合となるとそれが希薄化してしまい、ファン、チーム共に貴重なタッチポイントを失ってしまう。今多くのチームや選手がインスタライブやYouTube等を通じて接点を作ろうとしているが、正直に供給過多な状況になっており、視聴者が付きづらくなってきている。

であれば、競合過多な斯様なSNS配信を辞め、よりスポーツファンとのエンゲージメントに特化したサービスを活用して、ファンが直接選手と接点を持てる機会を作ってあげてはいかがだろうか?

具体的には、手前味噌だが弊社のPlay LiveのVIP Versionといった、チームの選手が定期的にファン一同とバーチャルゲーム上にて対戦するサービスもその一案となる。しかもその中で以下写真の米国マウンテンデュー社(大手飲料メーカー)のようにスポンサーアクティベーションもできるのだから、一石二鳥だ。

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他にも、未だ内容は荒いが今のタイミングで過去の動画を基にESPNがマイケル・ジョーダンのブルズを題材に作ったドキュメンタリー、「ラストダンス」のように、過去の眠っていたアーカイブ動画を活用したドキュメンタリー・ストーリーを作り、ファンの今日をシーズン再開まで繋ぎとめる施策もお勧めしたい。(注:厳密にはラストダンスは、3年前からドキュメンタリー制作が開始されており、たまたまコロナ下で放映開始されたもの)

なお、スポーツドキュメンタリーの重要性については、別途纏めた以下記事をご覧いただきたい。

<纏め>

今回は色々と書かせてもらったが、コロナによって確実にスポーツ界は変革の時を迎えている。
ただ、皆が愛するスポーツは必ず戻ってくると言え、それまでどう工夫して乗り切るか、皆の力が試される時がきている。

お問い合わせは:
contact@sportajapan.com


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