「ファーザー」を観ました
映画鑑賞備忘録です。
2021年5本目は「ファーザー」。
認知症を題材にした映画はいろいろとありますが、今作は独特のシーン構成が特徴的です。主要人物で、認知症を患うアンソニーをいわゆる”信用できない語り手”のように使い、まるでミステリー映画のように謎を散りばめ、観客を惑わせる手法は斬新です。
冒頭から娘のアンが全くの別人に変わってしまったり、存在しないはずの夫が現れたり、デジャヴュのように同じシーンが繰り返され、まるでループものかのような展開もあり、一体何が本当のことで何がそうじゃないんだ?と多くの疑問が浮かびます。
アンソニーの現在に至るまでの道程がパズルのピースをちぐはぐに繋ぎ合わせたように描かれているため先の展開は読み辛く、ストーリーにグイグイと引き込まれました。
また、老いた父親を演じるアンソニー・ホプキンスの演技が素晴らしいですね。アンソニーは認知症ということもあり、急に激昂したり疑心暗鬼に陥ったり、かと思えば楽しげにタップダンスを踊ってみたりと、とにかく感情が忙しないんですよね。そんな目まぐるしく変わる喜怒哀楽をどれも本物の感情かのように演じています。特に、全ての点が繋がった末のクライマックスシーンでの感情をむき出しにする表現力はまさに名演でした。
アンソニー・ホプキンス、すでに83歳ですが名優衰えずですね。
等身大リラックマをいつか購入したいです。