Design concept: simple design②

前回simple designのうち、①では美しさに触れたので今回は機能面に関してお話ししたいと思います。

機能というのは考える時、例えばバッグという製品の本来の目的は『ものを入れて運ぶ事』ということです。これを細分化すると『ものを入れる』と『運ぶ』に分けられます。これにより、『ものを入れる』ために必要なものを包むデザイン ⅰとどう『運ぶ』かのデザイン ⅱを組み合わせてトータルのデザインを作り上げる事になります。

Bud(蕾の意味)のバリエーション

『ものを包む』デザイン

Natural leatherとDesignの美しさという最優先事項を念頭に、ものを包む機能と一枚革と素材の条件で出した答えがこの緩やかなボックス型です。

一枚革はsimple designでもお話ししました、『平面から立体へ』のコンセプトの重要な要素であると同時に、継ぎ目という不要箇所を取り除き自然のレザーのカーブを作り出します。また、いかに頑丈に作ろうとも継ぎ目がある状態よりもはるかに高い耐久性を備えており、ブランドとして掲げる『持ち主に長く寄り添う相棒』となるバッグを実現する形にもなっています。

そして緩やかなボックス型にした理由は、基本的にボックス型が一番効率良くものを収納できるから。緩やかな、と表現するのは、コシがあるレザーを使うことで底にきちんと4つ角を作りながら上に上がってくると徐々に楕円形に形を変えるからです。これにより、口が大きく上から見て何がすぐどこにあるかわかりやすい様になっています。

これによって、natural leatherの表情を正面の大きな面を楽しむことができます。

『運ぶ』デザイン

トートバッグ、バックパック、クロスショルダーバッグ、トップハンドル。バッグの種類はいろいろありますが、Budは老若男女問わず幅広い方々に長く使ってもらえる様にトートバッグにしました。そうすると必要になるのは二本のハンドルです。長さは、手持ちだけでなく肩掛けもできる長さになっています。(縦長はバッグのバランスと女性だと引き摺ってしまうため基本手持ちだけ)。

そしてこのハンドルに、ブランドとしての個性を加える様にしました。三つ編みのレザーのハンドルです。このハンドルも3本のストラップを組み合わせたのではなく、1本のレザーストラップを途中3本に割いて両サイドはひと繋ぎになっているのでハンドルとしての耐久性を確保しながら、デザインにアクセントにもなっています。

本質的なバッグ

こうして、simpleなメインのバッグ部分とブランドのキーデザインを纏ったハンドル部分を充分な強度を持たせて繋げたのが、このBudというバッグになります。

ここで、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、Budにも僕の他のバッグにもいわゆるポケットはありません。これにより、『機能として不十分』と感じられる方ももちろんいらっしゃると思います。これはプライオリティの問題だと思うのですが、ひとつの大きな空間を提供することで、大きなものもポケットに邪魔される収納ができます。仕分けしたい場合には必要に応じてフラットなPetalと併用して仕分けをすることができます。実際に私はBudの中にPetalを貴重品ポケット代わりに入れて使っていて、例えばランチの時はPetalだけ持って出かけます。結果的にBudにポケットが付いている状態よりも組み合わせることで機能面も向上しています。

1つのモノをシンプルにする事で、そのものの本質が追求できるのとと同時に他のモノとの組み合わせが(コーディネートと機能の双方の面で)しやすくなります。こちらでできる見た目と機能面を備えたデザインをシンプルにすることで、相棒として育ててくれる持ち主の方々に様々なアレンジをしていただけたら(そして教えていただけたら)デザイナーとしてこんなに嬉しいことはありません。

世間ではお盆にあたる週になりますが、国内にしてもなかなかどこかへ行ける状況ではないのが歯痒いですね。真夏本番といった暑い日が続く様なので、まずは水分を十分取ってマスクと手洗いで皆様まずは健康第一でやり過ごしてくださいね。

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