渡辺由佳里

ボストン在住。著作業、翻訳、洋書の書評「洋書ファンクラブ」、『洋書ベスト500』、『ど…

渡辺由佳里

ボストン在住。著作業、翻訳、洋書の書評「洋書ファンクラブ」、『洋書ベスト500』、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)

最近の記事

理想のパートナーは戦友(24回目の結婚記念日に)

*このコンテンツは無料です。9月25日発売の『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)刊行を記念した、書き下ろしエッセイです。 ********* ロマンスやラブストーリーの好みには、個人の恋愛観が反映すると思います。 「洋書ファンクラブ」という別のブログで洋書をご紹介していますが、売れるラブロマンスには、理由なく運命で繋がるとか、ヒロインが強く美しいヒーローに愛され、守られる、というパターンがよくあります。でも、私はあまり好きではありません。それよりも、ぐっとくるの

    • 今朝の森、今朝のキノコ?

      *このコンテンツは無料です。9月25日発売の『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)刊行を記念した、書き下ろしエッセイです。 ********* 私には、嫌なことがあっても「これをやると気持ちがすっきりする」という魔法のようなアクティビティがあります。それは、森を走ることです。 私にとってのジョギングは、全身マッサージと瞑想、そして心の洗濯のようなものです。ちょうどよいゆるいペースで走っているうちに、心と身体が離れていくような感じになります。すると、走っていること

      • ツイッター程度のことで人間関係やめないで

        *ツイッターで書くには長すぎるので書いた文です。ですからもちろん無料です。 ギャグや笑いには「地雷」が含まれていることが多いし、仲が良い人(たとえば夫)の「笑いとりギャグ」に「それって無神経よ」と思うことはよくあります。 それを(そっと)指摘するのはOKだと思うし、自分もそうされたら受け止めたいですけれど、公共の場であるツイッターで、@でいきなり怒鳴りつけたいとは思わないし、怒鳴り合いも見たくないです。ツイッターでのちょっとした視点や意見の食い違いでイヤな感じになっちゃう

        • オリーブの枝を差し出されたら......

          *このコンテンツは無料です。(タイトル写真は、ウィキペディアからです。撮影者:Hans Bernhard) ********* 人間関係がうまくいっているときには仕事でつらいことがあっても日常生活で幸せを感じることができますし、人間関係の悩みがあるときには他のすべてのことがうまくいっていても暗い気持ちから抜けだせません。人間関係は、幸福を左右する最も重要な要因といえるかもしれません。 これほど重要なものなのに、良い人間関係を維持するのは難しいものです。それまでとても良い

        理想のパートナーは戦友(24回目の結婚記念日に)

          気軽に助けあおう

          *このコンテンツは無料です。 ********* 日本人は気軽に助け合うのが苦手です。 「ひとさまに迷惑をかけるな」と言われて育つので、困ったときにも「助けてください」と援助を求めることができず、「自分だけでなんとかしなければならない」と思いつめてしまいます。 ベビーカーで電車に乗る若いお母さんや妊婦に席を譲ることに関する話題でもそれを感じます。 「ベビーカーをたたんで乗れ」、「混んだ時間を避けろ」という批判だけでなく、「せっかく助けてあげようとしたのに断られたから次

          気軽に助けあおう

          美人から「美人はソン」と教えてもらった日

          *このコンテンツは無料です。 一般的には「美人は得をする」と考えられています。「美人」の定義には客観性がないので、たとえそれを裏付けるデータらしきものがあっても信用できないのですが、見かけが周囲の人びとの行動に影響するのは事実です。 私がまだ18歳のときのことです。初めての帰省で同じ路線に住む同級生の女の子と一緒に汽車に乗り込んだところ、初対面の男子大学生二人が彼女に「重そうだから荷物を荷台にあげてあげましょう」と申し出ました。その同級生は目がぱっちりとして可愛く、しかも

          美人から「美人はソン」と教えてもらった日

          『百年の孤独』と、始まる前に終わった恋

          *このコンテンツは無料です。 『どうせなら、楽しく生きよう』の刊行を記念して書いたエッセイです。 私ほどたくさん失恋をしている人はいないのではないかと思いますが、そのなかでも26歳のときの失恋は最悪のものでした。 結婚の約束をしていた人と期限付きの長距離恋愛をしていたのですが、その待ち時間がようやく終わり、仕事をやめて異国に引っ越してきたその翌日に「母が猛反対するから無理」と別れを持ちだされてしまったのです。 異国で無職でホームレスになった私は、プライドだけを武器に学

          『百年の孤独』と、始まる前に終わった恋

          宇宙飛行士とミートボールスパゲティ

          *このコンテンツは無料です。『どうせなら、楽しく生きよう』の刊行を記念したエッセイです。 ********* 人類が初めて月面に着陸したアポロ11号と、重大な故障にも関わらず地球に無事期間したアポロ13号は今でも有名なのに、それ以外のアポロは人びとの記憶からほとんど消え去っています。 日本人の宇宙ファンはアポロ11号のバズ・オルドリンとアポロ13号のジム・ラヴェル船長にしか興味を抱きませんが、私が一番会いたかったのはアポロ12号の月面着陸船パイロットとして人類で4番目に月

          宇宙飛行士とミートボールスパゲティ