消費者の誤解を招く、ローソンの新パッケージデザイン
少し前にローソンが、自社ブランド製品の大幅なデザイン変更を行った。
「分かりにくい」という批判も多く、良くも悪くも話題になったことは記憶に新しい。
「分かりにくいローソンの新パッケージ、店員は見分けが付くのか挑戦してみた(秒刊SUDAY)」
↑この記事では、パッケージが似すぎていて区別がつかないことがよく分かる。
「シンプル」を履き違えたデザインのせいで、同ジャンル商品の見分けがつきにくいそう。
消費者にとっては不便極まりないだろう。
コロナ流行中だったこともあり、私はコンビニにしばらく行っていなかったのだが、今日やっとそのデザインの実物を目にした。
店内をまわりながら「あぁ…こりゃダメだわ………」と何度も感じた。
SNS上で議論になったのも頷ける。
しかし私はローソンのクーポンを持っていて、ローソンブランドのお菓子が1個無料で買えた。
お菓子の棚を見ながらもモヤモヤは止まらないが、無料で買えるんだから、それは欲しい。
デザインはよろしくないけど、お菓子そのものの質が悪いというわけではないから。
なんてことを心の中でブツブツ言いながらも、私はこのチョコチップクッキーを手に取った。
このパッケージから得られる情報は
・チョコチップクッキーであるということ
・ザクザク食感であること
・イラストから、ツヤツヤした表面のクッキーであるということ
のみである。
短い紹介文と、商品写真ではなく「イラスト」で、商品のイメージをつかまなくてはならない。
これだけで、消費者はかなりストレスを感じると思うし、少なくとも私は感じた。
しかし最大の問題はその後に発覚した。
それは、実際にパッケージを開けて商品を見たとき。
あろうことか、この僅かな情報にさえも裏切られることとなった。
実際の商品と、パッケージの比較をご覧頂こう。
あれ……?イラストと実物、なんか違くない…?
感じ方は人それぞれ…にしたって、イラストで表現されている「ツヤ感」「テカリ」は、実際のクッキーの質感とは大きく異なるのは明らかだ。
なんなら色だって、実物よりイラストの方が濃く描かれているように見える。
わかりやすい例を出すと
私がパッケージから想像したクッキーはこっち↓
全体がココアの色で、表面にツヤ感がある。
しかし実際はこっち↓
生地の色はベージュ系で、表面もツヤ感というよりむしろサクサクホロホロした感じだ。
これはもう、パッケージとの相違を感じざるを得ない。
ちなみに一緒に買い物した母は、パッケージを見て「チョココーティングされていると思った」そう。
まぁだからといって「詐欺だ!!金返せ!!」なんて騒ぐつもりはない。
チョコチップの入ったクッキーが食べたかっただけなので、パッケージと違ったもののクッキーは美味しくいただくことにする。
ただ…
・この調子だとパッケージ詐欺は他にもあるんじゃ?という懸念
(実物とのギャップという意味で「詐欺」と表現した)
・そもそも何で商品写真じゃなくてイラストなんだよ…という疑問
この2点はずっと引っかかったままだろうし、今後ローソンで買い物するにあたっても「実物はどんなんだ?」という不安がつきまとうと思われる。
ローソンのデザイン変更に関する議論は、ネットで眺めていたときから「こりゃないわ…」と呆れていた。
一応デザインを勉強して、2年間デザイナーとして働いていた身として…という部分もありつつ、しかし実際に店舗に足を運んだわけではないため、外野から覗いてたレベルだった。
それが今回、実際に商品を選び購入するという経験によって、身をもってこのデザインの「ヤバさ」を実感した。
「デザインとは〜」なんて語れるような人間ではないし、このローソンのデザインを手がけた方だって、実績や知識がある上で仕事をしたのだと思う。
それでもやっぱり、このデザインはちょっとおかしい。デザインの知識を一旦ぜんぶ忘れたとしたって、これはおかしい。
デザインは、フォントや配色、イラスト…色んな要素の集合で、それぞれ理論や技法がある。
ただ、その全ては「よりよく伝える」ためのものだということを、忘れてはならない。
店舗に訪れるあらゆる消費者の目線になって「伝わってるかな?」という問いかけをしていれば、このような結果にはならなかっただろう。
そして、私がパッケージに裏切られることも無かっただろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?