わたしについて

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ノート

コンプレックスのゆくえ

生まれつき、左目だけが一重まぶただった。
右目は二重まぶたなので、左右で大きさが異なっている。写真で見ると特にその差は歴然で、そのことをなんかやだなと思い始めた思春期の頃、母がアイプチというものの存在を教えてくれた。

とはいえ、ものすごく朝に弱いわたしは、ちょっと早起きできた日だけ気まぐれに付けるような有り様で、トータルで考えると何もしていない日の方が圧倒的に多かった。
要するに、当時はそれほ

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あたしと別れられないあたし

飲むみたいに読めてしまう本がたまにある。
昨日、古本屋で見かけて手に取った本谷有希子さんの『生きてるだけで、愛。』はまさにそれで、ほとんど気味がわるいくらいのスピードで読み進め、腹におさめるに至った。

まず、どきりとさせられたのが「過眠」というワードだった。
「(自称)鬱から来る過眠症」をわずらう25歳で無職の主人公・寧子は、1日の大半を寝て過ごす。およそ清潔とは言い難い、暖房をガンガンに効

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3年目のラ・ラ・ランド

かれこれ3年、わたしの中で不動の1位を保ち続けている映画がある。

2017年の冬、はじめて映画館で鑑賞したその日から、すっかり虜になってしまった『ラ・ラ・ランド』。
あまりのインパクトに、計3回映画館へ足を運び、その後ブルーレイディスクを購入してくり返し鑑賞。もう10回以上は観ただろうか。

アカデミー賞を6部門で受賞し、日本でも空前のブームを巻き起こした作品であるゆえ、説明するまでもな

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『愛がなんだ』が好きなんだ。

あなたが心の底から愛している小説は?

そう問われて真っ先に思い浮かぶのは、角田光代さんの『愛がなんだ』だ。
27歳・OLのテルコがマモちゃんに出会って恋に落ち、しかし恋人同士にはなれないままでひたすら想いを加速させていく、究極の片思い小説である。

物語の中では、特筆すべきなにかが起こるわけではない。
ただテルコは、とにかくマモちゃんのことが好きで好きでたまらず、時に、いや頻繁にちょっと行き

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初夏の夜の悪夢

「死ぬほど」と形容できるくらいの強い感情が、わたしの中にはふたつある。

一つめは、すきな人を好きだと想う気持ち。
そしてもう一つは、この世に存在する虫たちに対する、たいへん激しい嫌忌である。

と始まるエッセイを2年前の9月に書いたのだが、寸分たりともこの頃と気持ちが違っておらず、我ながらちょっと驚いた。

初夏。
今年も彼らにおびえて過ごす季節がやってきたのだ。



今の部屋に越し

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社会人まいご

新卒入社から3ヶ月。
「働く」ということがわからなくなってしまったので、いったん会社を辞めました。



好きなことを仕事にして全力投球するか、仕事は生きる手段として割り切り、プライベートの時間を充実させるか。

昨年、就職活動をするにあたって、目の前にあるのはその二択だと思っていた。
どっちかしかないから、どっちかを選ぶしかない。強迫観念のようにそう思い込み、しかしほとんど迷うことなくわた

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高感度で光っていたい

わたしの身体の中には感度センサーみたいなものがあるのだが、歩いているだけで反応しまくるほどやたらめったら敏感なときと、腹立たしいほど鈍感なときが不規則にやってくる。

ここのところはずっと後者だった。

負の感情を昇華させることをもっとも得意としているゆえ、幸福な状態が続いていると、とめどなく感度が鈍る。
それでいいじゃんと思う反面、体のどこかが常に警鐘を鳴らしているような気もしていた。

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まっすぐなひと

夏が来ると思い出す。

吹奏楽にこの身を捧げた中学・高校の6年間。一年の集大成ともいえるコンクールの地区大会が、毎年7月に開催されるからだ。

部活全体で目標を掲げ、5〜6月ごろからコンクールに向けたスパートがはじまる。

時は高校三年生の春。
学生最後のコンクールを目前に控え、わたしは日々頭を悩ませつづけていた。



部活を取りまとめる副部長に任命され、少なからず張り切っていたのだ

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わたしらしさに彩りを

思いかえせば、小学生の頃からわたしは人肌恋しかった。
とんだませガキだったと思う。いやらしい意味など何もなく、というか知らず、ただ好きな人と一緒に眠れたらいいのにと毎夜のように考えていた。

好きな人と隣の席になったとき、身を寄せ合っておしゃべりしている最中にふれた左腕が、たまらなく熱かった。
百人一首のかるたを好きな人と同じ班でやることになったとき、その人がわたしのそばにある札を取るたび、体を

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メンヘラの矜持

自分の恋人、ないしは好きな人に「かつて愛し合った誰か」が存在するという現実を、いつまでも受け入れられずにいる。
自分だってそうじゃん! というまばゆいほどの正論は、ごみくずほども役に立たぬ。そんなこと、かしこい頭の方はとうの昔に理解しているのだ。誰にだって過去はある。わかる、ようくわかっている。

問題は心の方である。
どうにもややこしいことに、頭と心がうまく連動しない事案はしばしば発生する。な

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