まとめの文の書き方

小学生向けですが、大人も同じなのでどうぞ。

私の作文講座で5年生の課題の一つに「日本に生まれて良かった」というものがある。理由を添えて自分の考えを述べるというもの。年齢的にも世界の中の日本を見ることができる年ごろ、このテーマは改めて日本について考える良い機会にもなっている。

理由はいろいろ。戦争がない、食べ物が豊富、四季がある、兵役がない等々。理由は何でもいい。そこを見るテストじゃないから。

今回のポイントは「まとめの文」。学校でどう教えているのか、発表の終わりのようなセリフが多い。例えば次のようなまとめの文。

①このようなことから、私は日本に生まれて良かったです。
②以上が私が日本に生まれて良かった理由です。
③このように、私が日本に生まれて良かった理由はAとBです。

間違ってはいない。間違ってはいないが、これでは前の段落で、せっかく理由を書いた意味がない。

短い文で例を見てみよう。

Ａ 私が日本に生まれて良かったと思うのは、戦争がないからです。戦争があると、死ぬかもしれないので、外で友達とも遊べません。
Ｂ また、水道が通っていておいしい水が飲めるのも日本に生まれて良かったと思うところです。世界の国の中には、水汲みで一日が終わってしまう子どももいて、遊ぶ時間もあまりありません。
このように、私が日本に生まれて良かったという理由は戦争がないことと水道が通っていることです。

このＡとＢの各段落で、この子は理由を考えて書いています。それなのに、最後のまとめの文が、繰り返しただけ。おーい、理由を考えた頭はどこにー？（笑）

理由を見てみると、
Aでは、戦争だと外で友達とも遊べない
Ｂでは、水汲みがあると遊ぶ時間がない

はい。共通点、見っけ！

この子は実は「子どもが遊ぶ時間があるから日本に生まれてきて良かった」ということなんですよ。

だから、こうかくべきなんです。

　私が日本に生まれて良かったと思うのは、戦争がないからです。戦争があると、死ぬかもしれないので、外で友達とも遊べません。
　また、水道が通っていておいしい水が飲めるのも日本に生まれて良かったと思うところです。世界の国の中には、水汲みで一日が終わってしまう子どももいて、遊ぶ時間もあまりありません。
　このように、日本では、子どもが遊ぶ時間がしっかりあります。だから私は日本に生まれて良かったです。

理由は人それぞれです。価値観とも似ています。「安心」「自由」「衛生的」などなど。十人十色の作文になるはず。共通点が見いだせない場合は、もう少し考えてみることをすすめます。この部分は、思考が浅いと、たどり着けない領域です。

「なんで？」を6回くらい繰り返して自分に問いかけて見てください。真相にたどり着けます。そしたらそれを並べてじっくり観察して。

抽象度を上げる作業になるので、発達的に、4年生までだと少し無理かも。

親子や兄弟であーでもないこーでもないと会話を重ねることも、とっても大事。そういう子は、つまりどういうこと？の答えが出てきやすい。

ではでは。