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新しいお弁当箱の素材を探しに、竹を知る旅@台湾

私がお弁当を好きな理由はいくつもありますが、残り物をお弁当箱という器に詰め替えるだけで、それは残り物から「お食事」に変わります。ラップでおいて置かれたり、タッパーに入れたままなら、もしかしたら誰にも食べてもらえずに冷蔵庫の片隅で傷み捨てられてしまうものも、救われる。しかも、お弁当箱ってそれ1つでごはんもおかずも抱えてくれるから、茶碗もお皿も1つの器で兼ねてくれて、ラップもいらない。お弁当に入っていると、わざわざ温めなくても美味しく食べられる。その、ささやかな動きと器だけでいくつもの小さな新しい価値がつくられる、そこがとても好きです。

日本が誇るBENTO文化、などと言われます。手頃な価格で買える可愛いデザインのお弁当箱は世の中に溢れていて、本屋さんに行けば専用棚があるほどお弁当のレシピ本も溢れている。ソーシャルメディアを見ても、お弁当写真の洪水。それなのに、意外とお弁当箱そのものの素材についてはあまり語られることがありません。
機能性と美しさを兼ね備えた「わっぱ」は、天然素材を用いています。一枚板、しかも柾目の部分を使っているからこそ「時間が経ってもごはんがおいしく、食べ物が傷みづらい」という特性を発揮します。でも、世の中には粗末な木材に薄く化粧板を貼って、形だけワッパ風に作られた模造品がときに「わっぱ」そのものとして紹介されていたりします。

樹脂製のお弁当箱も同様。私は仕事柄、樹脂製のお弁当箱もたくさんあるのですが、実はいつも処分するときに困ります。お弁当箱には愛着があるので、どう処分することがものの命を粗末にせず、そして近年プラスティック問題を見聞きすればするほど、地球にも負担をかけずに済むのかなあと、いつも悩みます。もしもお弁当が、使っている間も、そして処分するときも地球に優しい価値をもたらすものなら、これこそ日本のBENTOっていいよね、と心から言えるのに。

竹はサスティナブル な素材、とよく言われます。成長が早く、普通の木よりも酸素を多く作り出し、化学肥料や殺虫剤を使わずに雨水で育てることができる、などの理由があります。そしてとても多岐にわたって各部位が利用されます。葉や皮は包みや調理道具(粽などの)、笠、屋根材などに使われ、灰は肥料などに、枝は竿や掃除用具(ほうき)などに、稈の部分は家具や建築材などに、そのほかにも楽器になったり、そして若芽は筍という食べ物になる。この自在な感じって、なんだかお弁当とよく似ている気がするのです。

そして、その竹素材を活用した素材を商品企画している生活雑貨ブランド「TZULAï」と偶然出会いました。
展示会で「その商品に使われている素材で、お弁当箱ってつくれないですか?」と声をかけたことが、台湾に竹を知る旅に出るきっかけになりました。


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