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ひとりぼっちのように思えるとき

陶芸のために電車を乗り継ぎ別の町へ行く。

「土と自分が半分ずつ協力して作るんです」と教えてもらって、うれしい、と思った。と同時に、「それが大変なところでもあるんです」と先生が言うように、一から形を作り最後は焼くという工程がある分、「神のみぞ知る」部分はあるのだと思うのだけど、陶芸の持つその要素はいまの自分に必要なものだと感じている。

大人になるために、なんでも一人でできることは大切だと思ってきたけれど、何かと、誰かと協働することに、だんだん焦点が合うようになってきた。協働するうえで自分が自立していることは大切なのだけど。

協働するむずかしかも、楽しさも、大人になったいまあらためてわかる。

夫婦だって始まりは恋でも、だんだん暮らしていくなかで「同じだけど違う」「仲間なのに伝わらない」ことがきっかけでひどく孤独を感じることがあるし、そうかと思えばある日突然からりと明るい、このうえなく幸福な日がやってきて安堵したりすることもある。

おたがいに日々変化していく生き物同士だから、コツをつかんだつもりでも、ぬるりとはみ出してしまう。本当に一筋縄ではいかない。そのたびに自分の未熟さを感じて落ち込んだり、相手を責めたりじたばたする。そうやっていろんなことがあるけれど、それでもその関係のなかで得られる喜びは大きいから、続けられる。

教室へ向かう坂の途中、青い空の真ん中を飛行機がまっすぐ飛んでいった。まるで魚の透明標本のように、秋の空が飛行機の体を透過している。何度も見ている風景でも、そうやって新しく見えるものがあるから、暮らしていくことは楽しい。

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