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長距離を走るためのおまじない

自灯明という言葉を反芻している。自らをよりどころとすること。

明かりもまばらな夜の町を歩いていると、月の灯りにまじって「光はあなたとともにある」という言葉が降ってくる。みずからを頼りにするには、自分の心が光とともにあることを信じることから始まるように思う。

気を抜くと、心は翳ってくる。
苦しく、悲しく、腹立たしい気持ちがあっという間に光を飲み込み、闇で包んでいく。
そんなとき、立ち止まって光のことを思い出す。思い出したとたん、ろうそくに火をともすように目の前に光があらわれる。

思い出すきっかけになるものがあるとよいのかもしれない。それは旅に出るとか、本を読むとか、神社に行くとか、散歩をするとか、大好きなジュースを飲むとか、好きな絵を見るとか、なんでもいい。そういう行為をおまじないとして心の中に置いておくことはきっととても大事だなあと思う。

人生は短い。けれど、短距離走のように全力で走り抜けるにはあまりにも長い。もういいかな、と思うような日もある。そんなときのためにおまじないがあるのだと思う。わたしの絵も、言葉も、そのために在ればいいと思う。

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