2月16日放送分 #渋谷の体育会 収録後記(パラ卓球 渡邊剛選手)
こんにちは。
パラスポーツ大好き女子・パラスポーツエバンジェリスト(この名前については後日)のまえゆかです。
ちょっと遅くなりましたが、2月16日放送分の収録後記です!
16日、23日と2週連続でパラ卓球クラス3の渡邊剛選手をゲストにお迎えしています。
まだお聞きになっていない方は以下からどうぞ★
すごろくをベースにインタビュー
年始から本格始動したすごろくプロジェクト。
いざマス目が出来上がってきたので、車いすの個人競技を中心にパラアスリートの生のエピソードを聞いていきました。
目的はすごろくのアイテムとして大事な「アスリートカード」を作成すること、そしてすごろくの本体のストーリーに違和感がないのかを確認していこうと思っています。
すごろくプロジェクトの進捗を知りたい方はこちらをご覧ください。
パラアスリートにも面白いって思ってもらえた!
私たちが一番危惧していたのが、このプロジェクトをパラアスリートがどう思うのか、という点。
もしパラアスリートが嫌だというのならやめようと思っていた部分もあり。
今回、渡邊選手には、「嬉しい」と言っていただけて本当にホッとしました!
パラアスリートにとっても私たちにとってもよいすごろくになっていたらいいなと思っています。
障がいを負ったきっかけ
13,4年前に交通事故で脊髄損傷に。当時は33歳くらい。
事故に遭った直後、両肺挫傷と急性くも膜下出血も引き起こしており、その夜が山という状況だったそうで。
深夜に実家に連絡が行った時、家族は詐欺だと思って一回病院からの電話を切ったそう。
それくらい現実感がなかったそうです。
一生歩けないという現実を家族の誰が伝えるか、という緊急の家族会議が開かれたりもしていたようですが、渡邊選手自身は「そうなんだ」くらいにあっさりしていたとのこと。
というのも、五感のうちのみぞおちから下の感覚を失っただけだったので、4.5感は残っているからそんなに大変なことじゃないと思っていたらしいんです。
生活に戻ってからのギャップ
その後、だんだんと生活の中で現実を知ってギャップが…
入院中は身の回りのことを何でもやってくれていたので、退院して日常生活に入って壁の高さに気づいたとのこと。
特に、移動・お風呂・着替え。
普通の生活に比べて時間を要してしまうこと、わかってもらうために周りに説明をしなければいけないことに煩わしさを感じてしまっていたと。
当時の渋谷駅で半蔵門線などはエレベーターがなく、エスカレーターを逆走して移動したときに、自分は悠々と移動しているけどそのために他の人がみんな階段を移動するのを見て少し気になったり。
仕事中にトイレに行くと同僚から「トイレ長かったですね」と言われたり。
ネガティブなイメージを抱いてしまうことが多々あったそう。
競技を始めたきっかけ
仕事のために福岡から上京していたにも関わらずその仕事を辞めないといけないことに。
絶望していたときに、なんと中学の同級生が同じように事故で脊髄損傷でパラ陸上のトップアスリートになっていると知ったそう!
なんとその選手が洞ノ上浩太選手。
再会して「ワタこう、卓球部だったじゃん。車いすでも卓球できるからやりなよ」と言われたそう。
でも逆に学生時代の経験があったからこそ、目線の高さや腕の振りの難しさとかから卓球は難しいんじゃないかなと思ったらしく。
でも、目の前にいた洞ノ上選手はみるからにアスリートで、当時今より25㎏ぐらい体重も重く、洞ノ上選手のようにかっこよくなりたい!と思って始めたそう。
当日のパラ卓球の車いすの卓球を観て、「これは卓球じゃない」と思ったからこそ健常者の卓球を車いすの卓球で実践すべくハイブリット卓球を目指し始めたのがきっかけ。
競技生活
競技を始めた当初は東京都北区にある障害者スポーツセンターに。
しかし渡邊選手は部活動のような追い込んだ練習をしたかったけれどここではできず、一般の卓球場でのトレーニングを希望します。
都内の卓球場を探し出しても、車いすの対応ができなかったり、都内の体育館でも車いすでフロアに傷がつくからNGと言われたり。
なかなか練習場を見つけることができず、地元の卓球連盟に問い合わせて練習環境を捜している旨を伝えたところ、新しくオープンする卓球場の情報をもらい、バリアフリーで対応可能のまさにベストな環境を見つけたそう!
ちなみに話題に上がった車いす対応の卓球台はこんな感じです。
膝の部分が当たらないように設計されている台なんですね!
全部の体育館で導入されているわけではないので、試合会場によっては予め未対応の卓球台でプレーすることを承知の上で実施することもあるそうです。
日本代表へ
2013年から競技を始めて、日本代表に挑戦したのが2014年の秋。
すごいスピードですね。
競技生活の初試合はローカルな大会で、見たこともない選手がいると注目されるそう。
1試合目に勝利し、周りには少しライバル視する方が現れたり。
「うちに来ても台あいてないよ」って言われたりもするそう。
渡邊選手はそれを言われて落ち込むのではなく「みてろよ!」と思って逆に燃えたそうです。
「俺を誘わなかったことを逆に後悔させてやるぜ」と思った渡邊選手、かっこいいですよね!
アスリートカード用にメモメモ。
プレースタイル
車いすクラスのプレースタイルは様々。
渡邊選手の場合は、車いすのブレーキをかけず、動けるスタイルを取るそう。
聞くだけだと動けるスタイルの方がよさそうですが、渡邊選手のクラス3というのは体幹の機能がないクラスなので、体がグラグラしてしまうそう。
なので、ブレない体制でブレーキを使うスタイルもあれば、ブレない体づくりをしつつ動くスタイルを取るという2タイプあるそうです。
このあたり、知っているとパラ卓球の見方が変わるかもしれないですね!
渡邊選手はもともとスマッシュで打ち抜いてこそ卓球だと思っていたけれど、車いす卓球では手の届かないネット際ギリギリのところに球を落とす戦術でその洗礼は今も浴び続けているそうです。
ネット際に落とすのは車いす卓球ではよく見るプレースタイルですが、渡邊選手としては卑怯に感じるため、自分はやらないというポリシーがあるそう。
それがまた、かっこいい。
たぶん攻め方にはいろんな意見があると思うのですが、渡邊選手の考えとしては、観戦するのは圧倒的に健常者が多いからこそ、健常者の目から見ても「カッコいい」と思われるプレーを目指しているという美学。
またさらに、かっこいい。。
ゆくゆくは、「チョレイ!」と叫ぶそうです。笑
クラスによっても様々
車いすのクラスの卓球は静かに展開するように見えますが、クラス4やクラス5は立位と同じように激しいスタイルがあるそう。
パラ卓球の車いすのクラスはクラス1からクラス5まであり、クラス1が一番重く、クラス5が一番軽いので、「車いすの卓球」とざっくり見てしまうのではなく、クラスごとの特徴も知って観戦するとより楽しくなりそう!
「パラの選手村で待ってる」
やばい、かっこいい一言。
これは絶対にアスリートカードに使います!!
洞ノ上選手に再会した時、中学ぶりの再会だったそうなのですが、洞ノ上選手に「パラの選手村で待ってるよ」と言われたそう。
これを言った洞ノ上選手がマジでかっこいい。
その言葉を胸に、競技生活を始め、2015年から国際大会に出場できると声がかかるとすぐに世界を目指すように。
最初の国際大会はスペイン
元々フランス料理店で働かれていた渡邊選手。
デビュー戦はフランス大会!と思っていたそうなのですが、テロの影響で中止になり、スペイン大会がデビュー戦となりました。
大会の成績うんぬんよりも、移動とかホテルでの生活での印象が大きかったそう。
ホテルではシャワーチェアに移動して浴びるのが初めてだったり、飛行機での移動も初めてだったり。
でも、日本選手団として行っているのでやってみれば大丈夫だったという経験をたくさん積むことができたようです。
海外選手や外国で生活される方からの影響もたくさん。
ヨーロッパの人とのコミュニケーションや食文化にすごく感心したそう。
例えば信号のない横断歩道で待っていると必ず車が停まってくれたり、食文化に興味のある渡邊選手としてはカフェの魚料理がすごく美味しかったりと。
いろんな経験を積んだことが日本での生活にも好影響を与えたそう。
何事もやってみることが大事なんだなぁ。
私自身は未経験なことに挑戦するのが不安な私にとってはすごく学びになるお話でした。
ターニングポイントは洞ノ上選手との再会
振り返って一番大きいターニングポイントは洞ノ上選手との再会。
他には、苦労した中で見つかったコーチ。
そして、障がい者スポーツトレーナーとの出会い。
人との出会いが大きく人生を変えたそう。
特に障がい者スポーツトレーナーというのは、障がいの知識も併せ持っているためすごく難しいライセンスらしく。
脊髄損傷の渡邊選手のどこの筋肉が機能していないか、逆にどこが機能するのかを的確に見極めてトレーニング方法を指示できる方なんだそう。
それまでは自己流で行っていたトレーニングに対して、プレーにあったトレーニングで、具体的には関節の可動域が広がって手の届く範囲が変わったそう!
これはすごい。メモメモ。
年齢は40代になっているとのことですが、気持ちは中高生の頃と同じように卓球に夢中とのこと!
月刊の卓球雑誌は毎月購入して、選手のメンタリティとかトレーニングとかを参照しているそう。
これもアスリートカードになりそう!
1週目から濃厚なお話をお伺いできました。2週目もお楽しみに!
ここまでのアスリートカード案
アスリートカードは+3~-2、?のカードを含めて10種類用意する予定です。
この回のお話を集約してみました!
+3
パラアスリートとして活躍する同級生に再会。
「パラリンピックの選手村で会おう」の一言に奮起する。
+2
試合でライバルに圧勝。「うちの卓球場に来ても台は空いてないよ」と言われて「みてろ!」とエネルギーが沸いた。
+2
障がい者スポーツトレーナーとのトレーニング。障がいに適応したトレーニングの効果で手の可動域が広がった。
+1
海外遠征で異文化でのコミュニケーションや食文化に刺激を受ける。たくさんの経験が日本での生活にも糧になった。
+1
バリアフリーな卓球場に出会い、練習環境が整う。
+1
卓球の月刊誌を購読。トップアスリートのメンタリティから刺激を受ける。
ー1
卓球の練習がしたいが体育館に傷がつくと利用を断られてしまう。
-2のエピソード2枚と「?」のエピソードが必要だな。
これは次週に!
さて、渋谷の体育会の音源が公開されてすぐにお聞きになりたい方はこちらのマガジンをフォローしてください。
まえゆかの私見中心のパラスポーツ雑記帳をご覧になりたい方はこちらのマガジンをフォローください!
今週もありがとうございました^^
サポートありがとうございます。Twitterではパラスポーツの情報を発信しているのでそちらもフォローしてもらえたら嬉しいです。 https://twitter.com/yukacharin