【追悼】パラ・パワーリフティング シアマンド・ラーマン選手
衝撃的なニュースを、今もまだ受け止められない。
昨晩はなかなか寝付けず、2時か3時になってようやく眠りについたはず。
最近はそんな日が続いていて、7時のアラームは止めて9時か10時に二度寝からようやくベットから起き出す生活だった私。
今日もいつも通りかけていた7時のアラームを止めて、再び眠りにつこうとしたけれど、なんとなくFacebookを開いたら目に飛び込んできたのがこのニュースだった。
衝撃だった。
今も、その衝撃が、消えない。
衝撃的過ぎて呆然とリビングに現れた私に両親は「どうしたの?!」と驚いた。
「ラーマンが、死んじゃった…」
「え、ラーマンってあのイランの…」
齢60の両親ですらも知っているくらい、私がよく名前を出していた選手だ。
シアマンド・ラーマン選手とは
イランのパラ・パワーリフティング選手であるシアマンド・ラーマン選手。
読み方はカタカナだと難しく「ラフマン」「ラハマン」とも表記される。
重量別で行われるパラ・パワーリフティングの最重量クラスである108㎏超級で、体重は170㎏とも200㎏ともいわれる大型選手。
ギアをつけずに上半身の力のみで勝負するパラ・パワーリフティングで、310㎏のバーベルを持ち上げる超人。
2020年の東京パラリンピックでは、世界新記録を生み出すことが期待されていたし、昨日まで誰もそれを疑っていなかった。
享年は31歳。
身体は私の3倍以上あるけれど、年齢は私よりも下。
心臓発作だったらしい。
スーパーヒーローだった
パラ・パワーリフティングという競技は、ベンチプレスの重量を競う競技。
主に下肢に障がいのある選手がプレーをする。
ラーマン選手はポリオという小児麻痺で足は幼少期からほとんど発達していない。
歩くことはできず、常に大きな車いすに乗っていた。
パラ・パワーリフティングの国内認知度はあんまり高くないと思う。
テレビや映像ではなかなかその魅力が伝わらないけれど、選手の試技の美しさや、3秒の試技に賭ける緊張感、繊細な駆け引きなど、会場で体感するとその世界観に引き込まれる競技だと思ってる。
日本人選手も毎パラリンピックに出場しているけれど、なかなかメダルには手が届きにくい競技でもある。
パラリンピックを日本で開催することは、日本人選手の活躍だけでなく、世界中のトップ選手のプレーを間近でみることができる機会という点で私はすごく価値があると思っている。
その中でも、パラスポーツ初心者にも見てもらいたかった世界のトップ選手のプレーの一つがラーマン選手だった。
だから私は、パラ・パワーリフティングの魅力を友達に伝え続けていたし、パラリンピックのチケットで、パラ・パワーリフティングの最終日を取るべし!と伝えて、友人が何人もこの日のチケットを抑えている。
みんなでラーマンを応援しようと、ついこの間の渋谷の体育会でも話していたばかりだった。
ラーマン選手の金メダルは確実で、2位以下を圧倒的に引き離している。
勝ちが確定している試合であっても、310㎏という想像もできない重量を素手で持ち上げるその迫力は、間近で体感してもらいたいものだった。
パラパワーリフティング=ラーマン選手
パラ・パワーリフティングの魅力を少しでも魅力を伝えたい。
そのためにも、ラーマン選手の存在が絶対的に必要だと思っていた。
そう思って、2017年には来日に合わせて職場でイベントも開催していた。
この記事は私も登場している。
目の前にいて、話をして、その大きさとチャーミングな笑顔に圧倒された。
当時2歳の姪にも会場に来てもらった。
記憶にないだろうなと思うけれど、彼女は写真を見せると「あったことある!」と当時のことを覚えている。
2020の大会を5歳になる姪も楽しみにしていた。
トップで紹介した大分合同新聞の記事で使われている写真も、職場が主催で開催したイベントの時の写真。
このイベントの2日後、ビックサイトで開催されたデモンストレーションマッチも観に行った。
圧倒的な身体の大きさと迫力。
スポルテックというジムやトレーニング好きな方々が集まるイベントで、パラパワーに詳しくない人も圧倒されていた。
昨日まで、1ミリも疑っていなかったけれど、あっけなく人の命が終わってしまうことに少し絶望した。
コロナの騒動で楽しみにしていた3月のパラスポーツイベントはすべて中止。2020の楽しみまでも1つ失って、絶望感に拍車がかかる。
それくらい、偉大な選手が旅立ってしまった。
身体がとにかく大きくて、それでも威圧感はなくて、チャーミングな笑顔を見せていたラーマン選手。
ラーマン選手の存在のおかげで、私はパラ・パワーリフティングの魅力をさらに知ることができたと思う。
パラ・パワーリフティングの魅力を教えてくれて、圧倒的に世界をリードしてくれて、彼の功績は計り知れない。
彼の存在にただただ感謝しています。
衝撃を受け止めるには、まだ少し時間がかかりそうです。
ラーマン選手、安らかにお眠りください。
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