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「良い人」止まりの人生は、もういい加減やめにしたい。

私の性格を一言で表すならば
平和主義という名の臆病者である。

我を出すことが苦手で、いつも人と足並みを揃えることだけ考えて生きてきた。その方が誰とも喧嘩にならないし、ほんの少しだけ気が楽だって思ったから。それでも心のどこかでそんな自分のことを好きになれなかった。


私が周りから抱かれる印象は決まって
「優しくて温厚な人」


褒められているように聞こえるけれど、私には「ありきたりで中身のない人間」と言われているような気がしてあまり好きではない。

それでも、ここで私が今以上に我を出してしまったら、この可もなく不可も無い評価はこれ以上あがることはなく、むしろ下がっていってしまうのだろうと思うと怖かった。


「もっとわがままに生きても良いんじゃない?」


そんなふうに言われたこともあるけれど、今更なにを言われたって染み付いた「良い人」を拭う方法なんて思いつかない。それに、わがまま放題な人や、喜怒哀楽を思いのまま表現する人を見るたび、心がざわついて仕方がなくなる。


私にはわからない


なんでそんなに人前で意見できるの?

嫌われるかもしれないのに


なんでそんなに人前で泣けるの?

痛い目で見られるかもしれないのに


なんで自分の思いのまま怒りをぶつけるの?

言葉一つで人を傷つけることもあるのに


私はそんなことしたくないよ


でも


心のどこかで
それを「羨ましい」とも思っていたりする



感情とは心の安定を保つための道具だ。

感情の起伏は綱渡りのようなもので、自制心でバランスをとりながら、感情表現という道具を用いて足を進めたり、止めたりを繰り返している。


この綱渡りの命綱となるのは”自尊心”だ。


命綱さえあれば綱渡りから足を踏み外したとしても、立ち直ることはできるだろう。
喜びや楽しい感情に浮き足だってしまっても、哀しみに打ちのめされても、怒りに支配されても、自尊心さえあれば「私なら大丈夫」と心を立て直すことができるはず。


しかしソレが無いとどうだろう?


いつ踏み外すかわからない綱渡りを、できるだけ安全に渡ろうとして、感情という道具を無理に使おうとしなくなる。
そうして使われなかった道具は錆びつき、いつしか使い方もわからなくなってしまうのだ。むしろ綱渡りすらしようとせず、心を閉ざしていた方が楽だとさえ思ってしまうかもしれない。


きっと、これが今までのわたしだ。


自尊心のない私は人からの評価ばかり気にして、自分を自分で評価してあげられていないから、いつまで経っても他人の顔色を窺って生きようとした。でも私なりに他人の期待に応えながら着実に人生を歩んできたつもりなんだ。


それなのに、先に成功を掴むのも、先に大きな幸せを得るのも、私よりわがままで感情の赴くままに生きていた人ばかりだった。


自分を自由に表現し成功して、さぞ幸せな人生だろう。

私は妬んだ、羨んだ、そして自分がもっと嫌いになって、わたしの命綱である自尊心は失われる一方だった。


だけど成功した人のこれまでの人生は、全てが華々しいものではない。

なぜなら”自尊心”という名の命綱は
落ちる恐怖を知らないと芽生えないものであるから。


そもそも綱渡りに落ちるリスクがないと分かっていたら、恐れもせず渡れるはずだろう。誰しもはじまりは無知な状態で恐れも不安もなく歩み始めたはずなんだ。

そして歩みを進めるにつれ、次第にこの綱渡りは簡単に渡れないものであると理解するようになる。


きっと一度は大きな転落をすることになるだろう。
命綱なんてないのだから。


そこで自分を責めないでやることが重要だ。


落ちてしまったことに嘆くのではなく、そこまで歩んだ自分に誇りを持ち、何が良くて、何が良くなかったのかを知ることで、次に進むための自尊心を養う。

そして今持っている喜怒哀楽という道具をピカピカに磨いて出直し、失敗や落ちる恐怖を顧みず進み続けることで、いつかそれを見ていた誰かが命綱を渡してくれたり、進み続けるための知恵を与えてくれたりもする。

きっと怖気付いて、渡ることを躊躇っている自分には到底見えない景色だろう。


「我を貫く」ということはそういう事だ。


感情は、失敗を繰り返して磨かれるものであって、それを使おうとしなければ一生磨かれることはない。


もっと泣いていい

もっと怒っていい

辛いことや悲しいことがあったぶんだけ
たくさんの喜びと幸せを味わうことができるのだから


これまでの人生で
自制心というリミッターは嫌というほど備わっただろう

だから自分は誰よりも優しくて
わがままな人間にもなれるはずなんだ

「ありきたりで中身のない人間」だなんて
もう自分に言わせたくない

もう大丈夫

恐れずに進め





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花崎由佳(はなさきゆか)

フリーフォトグラファーをしながら
メンタル心理カウンセラーもやってます

日々の小さなお悩み、人間関係のお悩み、
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