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未知なる山へ、あのときの感動を求めて

このところ、ずっと登山の計画をしている。私が行きたい山は高山だ。特に、北アルプス病にかかっている。

まだ登山をしていなかった頃、ひとり旅で上高地を訪れたことがある。2020年の11月だったので、人は少なく、朝焼けに照らされオレンジ色に輝く穂高連峰を静かに拝めた。こんな美しい世界があるのか。本当に感動したときは、「綺麗」という言葉さえ出てこないものだ。

その後もドイツ人のパートナーと閉山期の上高地に訪れ、雪景色に包まれる山々に心を奪われた。ふわふわの雪の上を歩く感覚もたまらなく気持ちよかった。これが本格的な登山を開始するきっかけになったのは間違いない。

それから、北アルプスの焼岳と西穂丸山をソロで登り、今年の4月に残雪期の唐松岳で雪山登山をした。これらは北アルプスの中では難易度が低いとはいえ、登り応えがある。その分、山頂にたどり着いた瞬間や絶景に出会えたときの感動はひとしおだ。

最近は引っ越しやら仕事やらで遠くの山に行けていないが、彼と9月に登山する話になり、絶賛計画中(8月も行くのだけど)。私が山を決めていい雰囲気だったので、300名山地図を広げて、どこに行こうかな〜と考えていた。そこでやっぱり一番最初に浮かんだのが、北アルプス。だって、まだまだ登りたい山があるし。

ただ、アクセスや時間のことを考えると、今回はちょっと厳しい。これには訳があるのだが、私たちが神戸と東京の遠距離恋愛をしていることが大きい。強行突破もできるけど、登山以外で彼とゆっくりする時間も欲しかった。

だけど、北アルプスを諦めきれない私もいた。他の山をリサーチしても、なんかピンと来ない。でも行きたい山は遠くて、コストもかかる。さて、どうしよう。こんな状態がずっと続いていた。

しかし、アクセスの良さを起点に考えて、再度リサーチし直すと、北アルプス以外の山がどんどん魅力的に映ってきた。私は好奇心旺盛なところがあるが、いったん「これがいい!」と思うと、それ以外が見えなくなる。かなりの単細胞だ。

私にとって、北アルプスはいつのまにかコンフォートゾーンに入っていた。今でも憧れるし、これからもきっと私の推しだろう。

それでも、初めて行く地域の山は、北アルプスとは違う感動を与えてくれると思う。私が初めて上高地を訪れたときに抱いた、言葉にできない感動を得られるかもしれない。

実際、鳥取県の伯耆大山で雪山登山したときも、2,000メートルに満たない独立峰でありながら、ヨーロッパのような壮大な山容に驚いた。ちょうど前日に大雪が降ったことで、木々の枝まで真っ白に染まり、裾広がりの富士山のようなかっこいい佇まいに、一気にファンになった。

振り返ると、今まで行ったどの山にも感動があった。低山であろうと、高山であろうと、特別な瞬間は存在する。

結局9月は、長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳を登ることにした。最高峰の赤岳を経由して、横岳、硫黄岳と縦走する予定だ。高さは3,000メートルに至らないが、岩場や鎖場、ハシゴなどスリリングな場所もあるのが面白そうだと思った。コースによっては長い山行になるので、北アルプスのためのトレーニングにもなりそうだ。今まで足をまったく踏み入れたことのないエリアだから、登山口にたどり着くまでも冒険のようでワクワクする。

10月にはまた北アルプスに行く計画をしているけど、まだまだ知らないエリアも発掘したい。東北や北海道の山、四国、九州の山もアルプスにはない面白さがありそうだ。

自分の思考の枠から飛び出て、新たな場所を歩いてみようじゃないか。未知な世界はきっと予期せぬ感動をくれるから。




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