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クリスマスに縁のある聖女

フィレンツェ、シエナ県公認ガイドの佐藤由佳です。


もう12月も半ばに差し掛かり、クリスマスシーズンまっしぐらですね。ライトアップされたウインドウやツリー、歴史地区の街並みを歩くだけでウキウキします。

今日はクリスマスに結び付けられる聖人について。聖ニコラウスがサンタ・クロースになったことはご存じの方も多いと思いますが、もう一人縁のある聖者をご存知でしょうか。

シチリア島、シラクーザの聖女ルチーアという人です。


伝説によると、まだキリスト教徒が迫害されていた3世紀、ローマのディオクレティアヌス帝によって迫害を受け殉教したと言われています。

彼女はローマ貴族の出でしたが、病弱の母親や貧しい人達を助けて、キリスト教の博愛の精神を元に暮らしていました。

ですがある日、彼女はキリスト教徒であることを通報され捕らえられてしまいます。

彼女に想いを寄せていた人がいたのですが、ルチーアはすべての財産を生活苦の人のために費やし人生を捧げる決意をしていたため、彼の気持ちを断ります。彼は怒りから復讐に燃え、彼女を帝国に差し出してしまったのでした。


捕まったルチーアは沸騰した油をかけられたり、火炙りにされたりとひどい拷問を受けます。その過程で目をえぐられ斬首されて絶命したと言われています。


実は目をえぐられた話は民間伝承で、彼女の名前ルチーアがラテン語で「光」を意味することから、視覚の守護聖人とするために広められました。そのため彼女はお皿に両目を乗せた姿で描かれます。


そして彼女の名前が「光」という意味なので、キラキラした光に満ちるクリスマスシーズンにも結び付けられます。主に北イタリアのロンバルディア州(ミラノがある州)の習慣ですが、フィレンツェのお隣シエナでも聖女ルチーアは祝われます。毎年彼女の日である12月13日には市が立ちます。


今日はフィレンツェでは珍しく聖女ルチーアを描いた作品を。


右端にいる女性が聖女ルチーア。抉られた両目と殉教のシンボル棕櫚の葉を持つ。

ドメニコ・ダ・ヴェネツィアーノ 「マーニョリの祭壇画」 1445年頃 ウフィツィ美術館


光の画家と呼ばれた画家の作品らしく、明るい光に包まれた作品です。


ウフィツィ美術館にいらした時の参考になさってみて下さい。


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