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書評:『ブレイクアウト! ハーバード・メディカル・スクールが教えるNo.1自己啓発原則』

春になった。入学や入社など多くの人が新しいチャレンジに挑むと思う。自分の個性を存分に生かせる人もいれば、新しい環境に適応するために自分を変えなけれなならない人もいるだろう。人にとって変わるというのは本当に難しい。変わりたくても買われないという人が多いのではないか。「ブレイクアウト! ハーバード・メディカル・スクールが教えるNo.1自己啓発原則」では、変わりたい人にとって参考になる一冊だ。

この書籍の著者は、ハーバード・メディカル・スクールの教授であるベンソン博士とプロクターの二人。著者によると、これまで、多くの自己啓発に関する書籍が出版されてきているが、どのような状況においても効果があったというのは存在しないと言う。
彼等は、ハーバード・メディカル・スクールにおいて、分子、生化学、神経学の分野の研究に基づき、根本的な自己変革原則の存在を発見した。これを「ブレイクアウト原則」と名付けた。

ブレイクアウト原則とは「従来の精神的なパターンを打ち切り、創造性や生産性の向上だけでなく、身体的、精神的なパフォーマンスまでも高める強い刺激」のことを言う。絶好調なスポーツ選手が「ゾーンに入った」というのを聞くことがあるが。まさに肉体的パフォーマンスが向上した一例だろう。

このブレイクアウトが高まっていく際、心身にさまざま現象が及ぼされる。具体的には四つの段階があり、

  • 第一段階:「精神的・肉体的苦悶」

  • 第二段階:「懸命モードからの解放(引き金を引く)」

  • 第三段階:「ピーク体験」:自己認識、創造性、生産性、運動能力、若返り、超越などのピーク

  • 第四段階:向上した心身パターンである「ニューノーマル」な状態

それでは、このブレイクアウトの引き金を引くには、どうすればいいのだろうか。著者はいくつかの方法を提言している。

  1. 繰り返しの精神的、身体的な活動を行う。手順としては、

    • 一回の呼吸で静かに繰り返すことのできる言葉を選ぶ。

    • ゆったりと座れるところで、眼を閉じ、規則正しいゆっくりとした呼吸を10~12分続ける。息を吐き出す時に先ほど選んだ言葉を繰り返す。

    • その後、眼を開けて数分間静かに座り。日常の出来事を思い出す

  2. 信念に浸る

  3. 流れに身を任せる:環境や出来事をコントローするのをやめる「なるようになる」

  4. 重要な人との交流

  5. 利他的になる:自分のことを忘れ、他人に注意を向ける

  6. 自己の心を感覚の印象で満たす:感覚を強く刺激することで、注意が固定され、従来の思考パターンが打ち切られる

自分自身が変われないのは、これまでのクセにとらわれているからだ。この精神的なパターンを打ち切るために、瞑想や繰り返しの運動などで脳の働きを活性化することで、これまで蓄積された知識や情報が再構成され、パフォーマンスが向上する。速読法でも「マントラ」を唱えるというテクニックもあり、脳の機能を向上させるためには有効な手段と考えられる。最近、ビジネスマンの間でジョギングや瞑想が流行っているのも納得させられる。まずは実践だろう。

「ブレイクアウト! ハーバード・メディカル・スクールが教えるNo.1自己啓発原則」 ハーバード・ベンソン博士、ウイリアムス・プロクター


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