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『トレイン/ケツメイシ』 の楽曲分析|転調の前に何が起きた?

第4回の楽曲分析は『トレイン/ケツメイシ』。

ケツメイシとしては初めてのアニメーションでのMV。

このMVはケツメイシの中でも上位で好きです。グッときますね。

そういえば、大人になるにつれて『電車』に対する印象って変わりませんか?

まぁ…コレは今回関係ないので置いといて、楽曲分析をしていきましょう。

※ココで書いているキーやコード、専門用語の使い方は間違ってる可能性もあるのでご了承を。。。

【関連サイト】
ゆーじの自由時間

キーとコード進行を確認しよう

キー(調性)は『B♭メジャー(変ロ長調)』。

前回の【『仲間/ケツメイシ』の楽曲分析|曲構成から伝わる物語性】でも書きましたが、ケツメイシの中でも比較的多い『B♭メジャー』ですね。

コード進行は以下の通り。


コードネーム   E♭|B♭|F |Gm |E♭|B♭|F |B♭
ディグリーネーム Ⅳ |Ⅰ |Ⅴ|Ⅵm|Ⅳ |Ⅰ |Ⅴ|Ⅰ|


基本的にはⅣ-Ⅰ-Ⅴ-Ⅵ(4156進行)の繰り返し。

サブドミナントから始まることで浮遊感があって、マイナーコードで終わることでどこか哀愁も感じます。

Ⅳ-Ⅰ-Ⅴ-Ⅵはポップパンクコードとか言われているみたいですね。

調べてみると『Lemon/米津玄師』や『We Are Never Ever Getting Back Together/テイラースウィフト』とかで使われていました。

『トレイン』はラストのサビで半音上に転調して【キー:Bメジャー】に、コード進行は【E|B|G♭||A♭m~】となります。

半音上の転調は「転調したな」と分かりやすいですが、この曲は半音上に転調する直前で“半音上の転調ではない何か”が起きてますよね?

今回はその正体を探っていきたいと思います。

何か分からないけれど何かが起きてる

私が引っかかったのは歌詞で言うと【加速するために前を向いて~】の部分のラスト【今 夢と言う名の駅へ 名の空へ...】の部分(MV4分13秒)。

ここのコード進行を確認すると以下の通り。


加速する為に 前を向いて 誘惑の風に 目をそらして
花びらを舞い散らして 進んで行く
ただひたすらにひたすらに

E♭|Dm|Cm|B♭|E♭|Dm||Cm|Cm
---
(Cm/F)今 夢と言う(F)名の駅へ
(E)名の (G♭)空へ...


半音上の転調は定番だし、それだけで高揚感を掻き立てるので、そのまま転調してもいいはず。

でも、『トレイン』では転調する前に工夫がされてる。

なんだろう…結果的にスムーズに転調してるんだけど、その直前で『一瞬別世界に連れてかれる感じ』って言ったらいいのかな?

ちょっと違和感を感じる部分がある。

そのまま転調できるのに、あえて工夫したということはココには何か狙いがあると考えるのが妥当かなと。

じゃあその狙いは何か?

もう少し詳しく分析していきましょう。

転調前に鳴る【E】コードの正体は何だ?

この【Cm/F | F | E | G♭】の部分で気になるのは【E】のコード。

『キー:B♭メジャー』には出てこないコードだし、この後の【G♭】が『キー:Bメジャー』に転調する橋渡し的な役割をしている。

だから、この【E】が私が感じた転調直前の何かの正体になる。

つまり、この【E】の意味が分かれば謎が解けるのでしょう。

…で何だコレは?笑

全く見当がついてない。どうしよう。。。

とりあえず【E】が使われるキーを探してみると、【E】【A】【B】【C#m】【F#m】【G#m】の6つが該当。

曲の雰囲気的にマイナーキーではなさそうだから、【E】【A】【B】のどれかに関係してるのかなと。

この中で【B】は転調先のキーになるし、転調前に違和感を感じているからココの可能性は低い気がする。

そう考えると、【Eメジャーキー】か【Aメジャーキー】のどちらかの【Eコード】が関係していると推測できる。

別の言い方をすると【減5度上】か【短2度下】のどちらかを経由してると考えられる。

んで、いろいろ調べてみたら半音下がる(短2度下)の転調は穏やかな印象で、あまり違和感を感じないスムーズな転調みたい。

一方で減5度上の転調は“裏コード”と呼ばれる技法で、ドラマティックな展開に出来るみたい。

『トレイン』の転調部分を何回も繰り返し聴いてて、ドラマティックな転調に感じたから、おそらく“裏コード”の転調(?)が起こったんだと思う。

仮に“裏コード”だとした場合、この【E】の後に続く【G♭】が『キー:Bメジャー』のⅤに当たるし、『キー:Eメジャー』のⅤが【B】になってるから、スムーズに転調も出来るはず。

もともとスムーズに転調してるんだけど『その直前で一瞬別世界に連れてかれる感じ』がしてたことを踏まえると、“裏コードを使った”というのが“工夫の正体”なのかなと。

自信はないけれど。。。

現実逃避させないドラムのリズム

浮遊感のあるコード進行で、歌詞にはキーワードとして夢という言葉もあるし、現実逃避してもおかしくないのにそう感じさせない魅力がこの曲にはあるかなと。

今回は正体があまりにも分からなかったからいつも以上に何度も繰り返し曲を聴いたわけですが、そしたらだんだんと「ドラムが電車みたいだなー」と感じてきました。

「ダッダァダッダァダッダッダッ」みたいな。笑(;^ω^)ツタワル?

「ガタンゴトン」ではないけれど、在来線の各駅停車に乗ってる気分を感じて、コレが浮遊感はあるけれど、地に足着いた感じがして私は好きです。

細かいところに私なんかじゃ気づけないいろんな工夫がもっとあるんだろうなと思いますが、今回は調べるのと自己理解を深めるので精一杯でしたね。

このくらいで終了にしましょう。

まとめ

【『トレイン/ケツメイシ』の楽曲分析結果】


・転調前に起きた何かの正体は裏コードの可能性が高い
・裏コードによってドラマティックな印象が生まれて、別世界に行ったような感覚になる
・ドラムの一定のリズムが電車っぽさや現実感を生み出してる


素直に半音上に転調してもいいと思うけれど、その前にドラマティックなコード音を入れることでより引き立つというか、この曲には半音上に転調する前に【Cm/F | F | E | G♭】というの必要だったというのがわかりました。

このコード進行が入ることで劇的だし、劇的すぎるのが逆に半音上がる転調の印象をいい意味で抑えてる。

だから、浮遊感があるけれど現実離れしすぎないし、夢を叶わない気分にさせない魅力があるのかなと。

それと、一見単調な曲に感じるけれど、全然そんなことないというか、単調さも表現の1つのような印象を受けました。

それを受けてのリリックと考えると、より言葉に説得力も生まれますね。

そして、裏コードという存在を知りましたが、まだよく意味が分かってないので、もっと詳しく調べたいと思います。

音楽は奥が深いですね。そして、面白い。

少年のようなピュアなハートでこれからもいろんな曲に触れていきたいですね^^

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