見出し画像

<ラグビー>ブレディスローカップ(オールブラックス対ワラビーズ)第1戦,プレビュー

参考とした記事
https://www.allblacks.com/news/three-new-all-blacks-named-i/
https://www.nzherald.co.nz/sport/rugby-all-blacks-coach-ian-foster-reveals-reasoning-behind-contentious-selections-for-first-bledisloe-cup-test/ELKB4GBSTVVRRXN5ZTA4SF76KI/
https://www.rugby.com.au/news/2020/10/08/wallabies-team-named-to-play-all-blacks-in-bledisloe-cup-2020-wellington
https://www.nzherald.co.nz/sport/bledisloe-cup-rugby-dave-rennies-first-wallabies-side-to-face-all-blacks-revealed/IRXG7J2OGUGNVFRPVYLJSPKSW4/

日時:10月11日(土) 16:00キックオフ
場所:スカイスタジアム,ウェリントン
レフェリー:ポール・ウィリアムス
アシスタントレフェリー1:ベン・オキーフ
アシスタントレフェリー2:アンガス・ガードナー
TMO:マイク・フレイザー

オールブラックス:( )内はキャップ数
ジョー・ムーディ(46),コーディ・テイラー(50),オファ・トゥンガファシ(35),
パトリック・ツイプロツ(30),サムエル・ホワイトロック(117),
シャノン・フリッゼル(9),サム・ケーン(68,キャプテン),アーディ・サヴェア(44),
アーロン・スミス(92),リッチー・モウンガ(17),
ジョージ・ブリッジ(9),ジャック・グッドヒュー(13),リエコ・イオアネ(29),ジョルディ・バレット(17),
ボーデン・バレット(83)
(リザーブ)
ダン・コールズ(69),カール・ツイヌクアフェ(13),ネポ・ラウララ(26),ツポウ・ヴァアイ(初),ホスキンス・ソツツ(初),TJ・ペレナラ(64),アントン・リエナートブラン(43),カレブ・クラーク(初)

オーストラリア・ワラビーズ:
ジェイムズ・スリッパー,フォラウ・ファインガア,タニエラ・ツポウ,
ラッカン・サラカイアロト,マット・フィリップ,
ハリー・ウィルソン,マイケル・フーパー(キャプテン),ピート・サム,
ニック・ホワイト,ジェイムズ・オコナー,
マリカ・コロイベテ,マット・トゥムーア,ハンター・パイサミ,フィリポ・ダウグヌ,
トム・バンクス
(リザーブ)
ジョーダン・ウエレーゼ,スコット・シオ,アラン・アラアラトア,ロブ・シモンズ,ロブ・ヴァレティニ,ジェイク・ゴードン,ノア・ロレシオ,リース・ホッジ

プレビュー:
両国の過去の対戦成績は,167戦,オールブラックス115勝,ワラビーズ44勝,7引き分け。前回の対戦は,昨年の2試合で,パースでは47-26でワラビーズが勝ち,オークランドではオールブラックスが36-0で勝利している。

オールブラックスの新監督イアン・フォスター,アシスタントコーチのジョン・プラムトリー,セレクターのグラント・フォックスは,昨年RWCのメンバーから基本構想は変えていないものの,リザーブに,19番LOツポウ・ヴァアイ,20番NO.8ホスキンス・ソツツ,23番WTBカレブ・クラークの3人の初キャップとなる選手を入れた。

また,CTBは新たなコンビとなる,12番ジャック・グッドヒュー,13番リエコ・イオアネとした他,今シーズンFBで大活躍したジョルディ・バレットを14番にして,兄のボーデン・バレットをFBに据え,SOにはリッチー・モウンガを入れた。

この結果,WTBセヴ・リースと今シーズン大活躍したウィル・ジョーダンは,メンバー外となったが,ローテーションで次の試合に出る可能性がある。

 FWは,神戸製鋼でプレーするブロディー・レタリックの不在及びスコット・バレットの怪我により,4番LOにパトリック・ツイプロツが入り,6番FLにはシャノン・フリッゼル,NO.8には引退したキアラン・リードの後継者としてアーディ・サヴェアが入った。

今回デビューする3人の新人の概歴は以下のとおり。
カレブ・クラーク:
21歳,WTB。1992~98年にオールブラックスのCTBとして活躍したエロニ・クラークの息子。マウントアルバートグラマースクール代表でNZ高校王者,2017年にU20代表として世界選手権優勝,2018年オークランド代表としてマイター10カップ優勝,2018年セヴンズワールドシリーズで,オールブラックスセブンズのメンバーとしてシーズン総合優勝。

ホスキンス・ソツツ:
22歳,NO.8。オークランド及びブルーズでプレーしたワイサケ・ソツツの息子。2019年,NZU20代表及びオークランド代表としてマイター10カップでプレー,同時にブルーズのリザーブでスーパーラグビーにデビュー。2020年のアオテアロアでは,100回以上のボールキャリー,80回以上のタックルを記録。

ツポウ・ヴァアイ:
20歳,LO。元ウェズレイカレッジ高校代表キャプテン。2018年にマイター10カップのタラナキ代表入り。同年,NZU20代表で6試合プレー。2020年アオテアロアのチーフスでスーパーラグビーにデビュー。

イアン・フォスター監督のコメント:
「チームは新しくなったが,2人の素晴らしい判断力ある選手(ボーデンとモウンガ)がゲームをリードしてくれるだろう。ただし,このテストマッチはセレクションの意味合いも兼ねている」
「ボーデンは,今も10番を希望しているが,彼は15番からもチームに影響を与えられる」
「おそらく,今NZで最も良い15番はジョルディだろう。彼がバックスのどこにいても活躍する姿を見ているだろうが,ジョルディは14番でも15番でも世界最高の選手だ」

(ジョルディは,今シーズンのハリケーンズでアタックの判断をしていた他,飛距離のあるパントキックとフィジカルの強さでチームをリードしていた。)
「ジョルディのプレー振りは,どれだけ印象に残ったことだろうか。ハリケーンズでは,チームリーダーの一人に成長した。また,チーム全体をコントロールしていた他,仲間に指示をしてゲームをうまく進めていた。私はジョルディを殻に閉じ込めることなく自由に伸ばしてやりたい。ジョルディには,さらに影響力有る選手に成長して欲しいので,多くの経験を積ませたい。そうすることはチームのためでもある」

(リエコ・イオアネの13番CTBは,スピードあるランニングによるアタック能力と良くなったディフェンスを評価したものと思われるが)
「我々はリエコが13番をプレーできると判断したが,馴染むまでにどれくらいかかるかはわからない」
「リエコはブルーズのゲームで本当によくやっていた。我々はリエコにWTBをプレーしてもらいたいと思っているが,リエコは我々の考えを変えるほど良いプレーをしていた」

「(アントン・リエナートブランがリザーブになるなど)CTBについては,厳しいセレクションだったというのが,正直な気持ちだ。リエナートブランには大きな信頼をしているし,彼のプレー振りは良くわかっている。しかし,今回はリエコを起用することにした。リエコは信頼がある上に,スピードがある」

「(FWは特に大きな変更はないが)若い選手たちが成長した姿をお見せしたい。彼らは,必死にやってきて,夢を追いかけ,そしてつかみ,現実のものにした。それらを確かなものにすることはとても重要なことだ。チームは我々のスコッドに信頼を置いており,今年はチームに自信を取り戻すことが必要だと思っている」

ワラビーズのNZ人監督デイヴ・レニーは,3人の初キャップとなる選手を先発させる。6番FLハリー・ウィルソン,13番CTBハンター・パイサミ,14番WTBフィリポ・ダウグヌだ。また,22番のリザーブには,同じく初キャップとなるノア・ロレシアが入った。

世界トップクラスのCTBであるジョーダン・ペタイアは,怪我から復帰した後のフィットネスが不足しているとして除外となった。またFBダン・ハイレットペティもメンバー外となったが,この2人は来週18日のゲームでメンバー入りすると見られている。

レニー監督は,チームにアタックする気持ちを持たせる一方,良いディフェンスが鍵になると見ている。

デイヴ・レニー監督のコメント:
「オールブラックスとのゲームには,我々は持てる力の全てを発揮せねばならない」
「我々はまた,このメンバーが今週のゲームだけでなく,将来を見据えて成長することを期待している」

「我々は,チームのディフェンスを強化するように仕向けてきたが,それが大変に重要であると認識している。チームが過去オールブラックスに勝利した時は,15~16点に抑えたときだった。これが我々の目標になる」

(ジェイムズ・オコナーを,2013年のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦以来となる10番で起用するが)
「オコナーは,10番として日に日に良くなっている」
「彼のプレー振りには良い印象を持っている。ゲームの裏表を理解しており,10番をやるには最適だ。さらに,仲間への指示ができる」

(SHの先発には,ベテランのニック・ホワイト,リザーブにはジェイク・ゴードンを入れ,好調のテイト・マクダーモントは除外となったが)
「多くのポジションが僅差の争いになった。マクダーモントはレッズで素晴らしいプレー振りだった他,インパクトプレヤーとして特にアタック能力が高い」
「しかし,最終的にはゴードンのキッキングゲームの能力を評価した。彼の能力は,プレッシャーのかかる状況でとても重要になる。とはいえ,両者の差はわずかだ」

【個人的見解】
オールブラックスについては,12番と13番がちょっとインテリジェンスに欠けるような感じがする以外は,こんなもんだと思います。やはり,CTBには,タナ・ウマンガのようなリーダーシップや,コンラッド・スミスのような知性が欲しいです。グッドヒューもリエコもフィジカル自慢という感じがあるので,そこが心配です。

そういう点では,アントン・リエナートブランは良い選手だと思いますし,特に12番としてのSOをサポートするスキルが優れていると思います。なお,ナガニ・ラウマフィーの怪我も癒えてきたようなので,次の18日のゲームではリザーブに入るかもしれません。

他のBKでは,セヴ・リースとカレブ・クラークは似たタイプなので,これからはどちらか一人に絞られそうですが,クラークは,来年の東京オリンピックのセブンズに専念する可能性が高いので,リースが戻ってきそうです。

それよりも,やはりウィル・ジョーダンを使うべきだと思います。賞味期限が少なそうな,リースやクラークよりも,これからのオールブラックスのBKを背負っていきそうなジョーダンには,早くから多くの経験値を積ませるべきだと思います。そのため,フォスター監督も18日のゲームでは,クラークに代えてジョーダンを23番に入れるのではないでしょうか。

FBは,ジョルディ・バレットが良いと思います。そうするとボーデン・バレットの居場所がなくなります。また,モウンガのSOも残しておきたいので,私の理想は,万能型のボーデンを12番で使うことです。こうなれば,13番にリエコが入っても良いですし,グッドヒュー,リエナートブランを加えた3人で競ってもらいます。もっともリエコはWTBだと思うので,11番をジョージ・ブリッジと争うのがベターではないでしょうか。

FWは,ほぼ固定です。スコット・バレットが怪我から戻ってきそうなので,18日にはヴァアイに代えてスコッドが入りそうです。来年以降にブロディー・レタリックが戻ってきたら,LOの一人はレタリックで決まりです。もう一つの先発枠は,サムエル・ホワイトロックから,徐々にパトリック・ツイプロツかスコット・バレットに交代していきそうです。ホワイトロックは,2021年が最後のプレーになるかも知れません。

LOはリザーブも含めて,レタリック,ツイプロツ,スコットで固定されそうですが,さらに今回のヴァアイ,怪我で今回対象外になったパリパリ・パーキンソンが絡んでくれば,安泰ではないでしょうか。

FW3列は,アーディ・サヴェアがリーグへの移籍を匂わせているのが心配です。サヴェアについては,往年の名NO.8ウェイン・(バック)・シェルフォードが,今のNO.8としては一番理想的と褒めていました。一方,リッチー・マコウはFLとしては最高の選手でしたが,NO.8のプレーは上手くなかったそうです。

サヴェアがいなくなった場合は,ホスキンス・ソツツがNO.8に入りそうです。また,スコット・バレットを6番にして,シャノン・フリッゼルをNO.8にすることもできますし,カレン・グレイス,アキラ・イオアネ,ダルトン・パパリイ,トム・サンダース,トム・クリスティー,ディロン・ハント,ラクラン・ボシアーと多士済々なので,心配無用でしょう。

FW1列は,リザーブ含めて,これがベストではないでしょうか。

一方のワラビーズですが,だいたい予想通りです。オールブラックスに比べると見劣りしますが,イングランド,アイルランド,ウェールズ,南アフリカやアルゼンチン相手にも勝てるメンバーだと思います。

しかし,もっとも心配なのが,長年の懸案であるSOです。ジェイムズ・オコナーは良いSOですが,彼の代わりがいません。ノア・ロレシオやウィル・ハリソンを育成していくのでしょうが,オコナーとの落差が大きすぎるように思えます。その落差を調整するのが,マット・トゥムーアなのでしょうが,リース・ホッジを12番や13番の先発にする試合がありそうです。

勝敗予想は,もちろんオールブラックスの圧勝です。リエコのタックルミスで1~2トライを取られるかも知れませんが,サヴェア,モウンガ,ブリッジ,リエコ,ジョルディ,ボーデン,ソツツ,ペレナラ,リエナートブラン,クラークらが多くのトライを取ることを楽しみにしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?