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リアルとオンラインの境界線はあるのか?

リモートワークが続き、イベントもオンラインでの開催が急速に増えているこの状況下において「リアルとオンラインの違い」について議論する機会が増えてきました。

これまでは「リアル」と「オンライン」の違いが何であるかを考え、リアルにはリアルの価値提供を、オンラインではオンラインの価値提供をすることを考えてきました。
しかし、仕事含め日常の大半の時間を「オンライン上」で過ごす人にとって、オンラインもある種の「リアル」になってきているのではないでしょうか。

今日は、「リアルとオンラインの境界線」について考えていきたいと思います。

「リアルとオンラインは分ける必要があるのか?」

先日、ファシリテーターとして参加したレジャーサミット2020のセッションで、「加速するオンライン体験市場 体験価値の新たな届け方」というテーマでディスカッションしました。
リアルに集まることを前提にしたレジャー業界で、価値提供をしてきた登壇者の皆さまは急激な世の中の変化に対し、オンラインによる価値提供に見事にシフトされていました。

そのようなリアルの価値とオンラインの価値を熟知された皆さまと議論を進めていくうちに、出てきたのが「リアルとオンラインは分ける必要があるのか?」というお題でした。

オンラインを活用することで「空間を超えて」様々なエリアからイベントに参加出来るようになり、新しい体験に触れる機会は以前より確実に増えています。

これまで三密の象徴とも言えた渋谷のハロウィンも今年は仮想空間で実施されるとのこと。こうしたオンラインを活用した体験の価値提供は今後も増えていくでしょう。

オンラインの場が増えて来ると、自分の日常のメインがオンラインになっている人も増えてきています。では、目の前の画面を通じて触れている世界はリアルではないのか?オンラインでの体験はリアルな体験とは言えないのか?
マトリックスの世界のように、オンラインを通じての体験もリアルになっていくのではないか。これは非常に興味深いお題です。

リアルとオンラインの定義

そもそもの話になりますが、「オンライン」の対になる言葉として「リアル」という表現をしましたが、果たしてそうなのでしょうか?

自分含め、様々な場で「リアルとオンライン」という表現を口にし、耳にしています。この分け方こそがある種の誤解を生んでいるのではないでしょうか。

良く考えてみると「オンライン」の対になる言葉は「オフライン」です。インターネットなどの通信による「オンライン体験」と、実際にその場に行く・いることによる「オフライン体験」に分けてみます。するとその瞬間に「リアル」の立ち位置がはっきりするのです。

すなわち、オンラインで体験することも、オフラインで体験することも、体験をするその人自身にとっては紛れもない現実、すなわち「リアル」な体験なのです。あくまで方法が違うだけです。

「リアル」と「オフライン」という表現は混同して使われがちです。(実際私自身混同しておりました。)まず2つの言葉の線引きをはっきりすることが大事なのではないでしょうか。

「オンラインもオフラインもリアルである。」そうであればオンラインだけで良いのではという声も聞こえてきます。果たしてそうでしょうか?次はオフラインが生む提供価値について考えてみたいと思います。

「移動」が生むオフラインの提供価値

オンラインの提供価値については、「空間を超える」ことでより多くの人にリーチできるということが挙げられます。オンラインでは「移動による制限がない」ため、どこの場所からでもアクセス出来るというメリットがあるわけです。
イベント時にも登壇者との議論の中で、このオンラインの「移動による制限がない」ことが逆に「オフラインの価値提供になる」のではないかという意見が出ました。
オフラインで集まる場合「移動する」必要があります。そこが逆にメリットではないかという考えです。

旅行であれば旅行先に着くまでの道中であったり、イベントであれば友人と集合して会場に向かうまでの時間にも価値があるのではないか。

移動のないオンラインではその場に着くまでの過程はありません。一方で、旅行にしてもイベント参加にしても、周辺観光や移動の時間、つまり「過程」や「余白」も大切な価値だったことが思い出されます。

また、移動することで街中のお店や看板、人々の表情などから多くの情報を受け取ることが出来ます。移動がインプットのソースとなり、新たな発想の源になることも多くあります。移動することが少ないリモートワーク中心の生活では、今までに意図せずに行っていた移動によるインプットの量が一気に少なくなっています。

このようにオフラインの提供価値の一つに「移動する」ことが挙げられるのではないでしょうか。

「五感」が生むオフラインの提供価値

オフラインならではの体験としては「人との接触」があります。新しい出会いであったり、イベント会場で偶然友人・知人と会うことで喜びが生まれるのです。そして重要な要素として五感が使えることが挙げられます。先月、ドライブインフェスというイベントに参加したのですが、久々のオフライイベントで私が感じたオフラインであることの最大の価値は「五感を駆使して感じることが出来る」ことでした。オンラインでは視覚と聴覚の2つの感覚のみ使うことになりますが、オフラインの場では五感を使うことが出来ます。周りの人の笑顔や空気の揺れ、匂いを感じることで確実のその場にいる価値が高まり、イベントへの満足度も上がっていることを感じたのです。

オフラインとオンラインの境界線

では、本日のお題であるオフラインとオンラインの境界線はあるのかということですが、確実にその境目が混ざってきていると考えています。
オンラインでの接点がオフラインの入り口になっていたり、オフラインでの体験を深める意味合いでオンラインが活用されるケースが増え、その境目は確実に曖昧になってきているのです。
そして、1つ確かなことは「オフライン」と「オンライン」での体験のそれぞれどちらか、もしくは融合した形での体験によって「リアル」な体験価値が高まっていくということです。
今後も「オフライン」と「オンライン」がどのように混ざり、進化していくのかを追いかけていきたいと思います。

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