見出し画像

【かんたん量子力学⑬】量子宇宙論

みなさん、こんにちは!この記事は、ふしぎな小さな世界を探求するする「かんたん量子力学」シリーズの第13回目です。私たちの目には見えない、原子よりもっと小さな世界では、とってもびっくりするようなことがたくさん起こっています。このシリーズでは、そんな不思議な世界について理解を深めていきます。


はじめに

今回は「量子宇宙論」というものです。難しそうに聞こえるかもしれませんが、ゆっくり一緒に考えていけば、きっと面白さが分かるはずです。

量子宇宙論って何?

量子宇宙論は、宇宙の始まりや成り立ちを、とても小さな世界の法則(量子力学)を使って説明しようとする考え方です。大きな宇宙と小さな粒子の世界をつなげる、とても挑戦的な分野なんです。

宇宙の始まりと量子の世界

宇宙の始まりは、ビッグバンと呼ばれる大きな爆発のような出来事だったと考えられています。でも、その瞬間の宇宙はとっても小さかったんです。

想像してみてください。一粒のお米よりもずっと小さな点から、今の広大な宇宙が生まれたと言われています。そんな小さな世界では、量子力学の法則が大活躍します。

インフレーション理論

宇宙が急激に膨張した時期があったという考え方を「インフレーション理論」と呼びます。

風船を膨らませるときのことを思い浮かべてみてください。最初はゆっくり膨らみますが、あるところから急に大きくなりますよね。宇宙も同じように、とても短い時間で急激に大きくなったというのです。

この理論は、宇宙がどうしてこんなに均一に見えるのかを説明するのに役立ちます。

量子のゆらぎと宇宙の構造

量子の世界では、物事がはっきりと決まっていないことがあります。これを「量子のゆらぎ」と呼びます。

マーブルケーキを作るところを想像してみてください。最初は、白い生地と茶色い生地を別々に用意します。これは、まだ何も起こっていない均一な宇宙の状態です。

次に、二つの生地を一緒に入れて、ゆっくりとかき混ぜます。するとどうなるでしょうか?白と茶色が混ざり合って、きれいなマーブル模様ができますね。でも、完全にまざるわけではなく、白っぽい部分と茶色っぽい部分がまだらに残ります。

宇宙の初期の状態も、このマーブル模様によく似ているんです。最初はほぼ均一だった宇宙に、量子のゆらぎという「かき混ぜ」が起こりました。その結果、宇宙にも微妙な「まだら模様」ができたのです。

このわずかな「まだら模様」が、長い時間をかけてどんどんはっきりしてきました。マーブルケーキの模様が焼くことでくっきりするように、宇宙の「模様」も時間とともにくっきりしてきたのです。

そして最終的に、この「模様」の濃い部分が星や銀河になり、薄い部分が宇宙空間になったと考えられています。つまり、私たちの住む宇宙の大きな構造は、量子の小さなゆらぎという「かき混ぜ」から始まったマーブル模様のようなものなのです。

このように、とても小さな世界の出来事が、私たちの住む大きな宇宙の姿を決めたと考えられているんです。マーブルケーキを見るたびに、宇宙の姿を思い出してみてくださいね。不思議で面白いと思いませんか?

ホーキング輻射(放射)とブラックホール

ブラックホールは、一度入ったら何も出てこられない天体だと思われていました。でも、有名な物理学者のスティーブン・ホーキング博士は、実はブラックホールからもわずかに粒子が出ていると考えました。これを「ホーキング輻射(ふくしゃ)」と呼びます。

お風呂の栓を思い浮かべてみてください。水は全部流れていきますが、ほんの少しだけ水滴が飛び出すことがありますよね。ブラックホールも同じように、ほんの少しだけ粒子を外に出しているというわけです。

この考え方は、量子力学の法則を使わないと説明できません。つまり、とても大きなブラックホールの中でも、量子の世界の法則が働いているんです。

多世界解釈

量子力学には「多世界解釈」という、とてもワクワクする考え方があります。

学校で給食を選ぶときのことを想像してみてください。カレーとラーメンがあったとしましょう。あなたはカレーを選びました。でも、「多世界解釈」によれば、ラーメンを選んだ「別のあなた」もどこかに存在するかもしれないのです。

つまり、可能性のある全ての選択が、それぞれ別の世界で実現しているという考え方です。宇宙全体で考えると、無数の可能性がある無数の宇宙が存在しているかもしれないのです。

弦理論

最後に、「弦理論」という考え方を紹介しましょう。これは、「ひも理論」と呼ばれることもあり、全ての物質や力の根源に、とても小さな「ひも」のようなものがあるという理論です。

想像してみてください。あなたが遠くから大きな木を見ているとします。木は一つの塊に見えますね。でも、近づいていくと枝があることがわかります。さらに近づくと葉っぱが見えてきて、もっと近づくと葉脈が見えます。

科学者たちは、物質の世界でも同じようなことが起きていると考えています。普段目に見える物は一つの塊に見えますが、顕微鏡で見ると分子でできていることがわかります。さらに小さく見ると原子が見えてきて、もっと小さく見ると素粒子が見えてきます。

弦理論は、「もしかしたら、素粒子よりもさらに小さな世界があるのでは?」と考えます。そして、その世界では全てのものが、とても小さな「ひも」のような形をしているのではないか、と提案しているのです。

この「ひも」は、まっすぐだったり、輪っかになったり、くねくねしたりと、いろいろな形や動きをします。そして、その形や動き方の違いによって、私たちの世界のさまざまな物質や力が生まれるのだ、と考えるのです。

例えば、輪ゴムを想像してみてください。輪ゴムは伸ばしたり、ねじったり、いろいろな形に変えることができますね。弦理論の「ひも」も、そんな風に形を変えることで、電子やクォーク、重力や電磁気力などの粒子や力を作り出すのかもしれません。

この理論は、今まで別々に説明されてきた量子力学(小さな世界の法則)と相対性理論(大きな世界の法則)を、一つの考え方でまとめようとする、とても野心的な試みなのです。まだ証明されてはいませんが、もし本当だったら、宇宙の全てを説明できる「究極の理論」になるかもしれません。

まとめ

量子宇宙論は、私たちの宇宙の始まりから、その構造、そして可能性のある別の宇宙まで、幅広いテーマを扱います。小さな粒子の法則を使って、大きな宇宙を理解しようとする、とても挑戦的で面白い分野なのです。

まだ分からないことがたくさんありますが、科学者たちは日々研究を重ねています。いつか、この謎を解き明かす人が現れるかもしれません。宇宙の不思議に興味を持ち続けることが、新しい発見への第一歩になるのです。

かんたん量子力学:シリーズ概要説明

私たちの身の回りには、スマートフォンやコンピュータ、LEDライトなど、最新技術を使った製品があふれています。これらの製品の多くは、「量子力学」という物理学の一分野に基づいて開発されています。量子力学は、私たちの目には見えない、原子やそれよりも小さな粒子の世界を記述する理論です。この世界では、日常的な感覚では理解しがたい不思議な現象が起こります。

「かんたん量子力学」シリーズは、この不思議で魅力的な量子の世界への探検の旅にご案内します。本シリーズは、社会人の学び直しを前提に量子力学を初めて学ぶ方から、より深い理解を求める方まで、幅広い読者を対象としています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?