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糖質の弊害8(高齢者のサルコペニア)

 「サルコペニア」という言葉を御存じでしょうか?
「サルコ」は、ギリシャ語で筋肉という意味で、「ペニア」は、喪失するという意味です。
つまり「サルコペニア」は、筋肉を喪失する事を言います。
筋肉量が少なくなると筋力が低下して、転倒や骨折を起こし
身体機能が低下し、寝たきりになる可能性もあります。

 特に今回は、人生100年時代と言われる時代に健康寿命を短くする
サルコペニアと糖質の関係を考えてみたいと思います。

1)サルコペニアの原因は?

酸化ストレスや慢性炎症は、タンパク質の糖化から始まります。

 加齢だけでも筋肉量の減少は、起こるのですが、上記のように多因子的なものが加われば加速的に筋肉量は減少します。

 その中でもタンパク質の糖化は、糖質過多の食事が原因で起こりやすくなるのは間違いなく、糖化されたタンパク質は極めて酸化されやすくなり
酸化ストレスから慢性炎症、生活習慣病となりサルコペニアを起こすことになります。

 外来で高齢者の血液検査をすると、血液中のアルブミンが低く
また、腎機能が悪くない状態で、BUN(尿素窒素)の値が低くなって
います。つまり、タンパク質が不足しているのです(栄養不良)

 糖質過多の食事を習慣にしてきた高齢者は、歯周病などで歯が抜け
入れ歯が多いために筋肉の原料であるタンパク質(肉、魚、卵、豆類)があまり取れておらずパンや白米、野菜が多いバランスの悪い食事をしているのも原因のひとつと考えられます。
(粗食が健康にいいと思っている人もいます)

 医者が容易に強力に胃酸を抑える胃薬(プロトンポンプ阻害薬)を
処方するのもタンパク質の消化が悪くなり、タンパク質欠乏の一因になっている可能性があると思っています。
(中止することにより、血中アルブミンが上昇してくるからです)

 マイオスタチンとホルモンが発見されました。マイオスタチンは、成長期に筋肉が増大するのを抑えるホルモンだそうです。

 糖質過多の食事で高インスリン血症になると、マイオスタチンが増加してくることがわかっています。
マイオスタチンの増加や高インスリン血症は、筋肉の合成を抑制し、分解を促進するため高齢者の糖質過多の食事は、サルコペニアを
起こしやすいのです。

2)ホルモンの減少について

 サルコペニアの原因にホルモンの減少というのがあります。
因果関係をうまく説明できませんが、ホルモンの材料は、コレステロール
なのです。
 
 高齢になりますと動脈硬化を予防する目的で、コレステロール降下薬を
内服している患者さんが、多くいます。特に冠動脈疾患を予防する目的で
処方されることが多いのです。多くの患者さんは、原因不明の腰痛や下肢の痛みを訴えて整形外科にかかっていることが多いのではないでしょうか?

 薬を3週間中止するだけで痛みはうそのように軽快するのですが、
医者が副作用に気づかないため、苦しんでいる患者さんが多くいると
感じています。これは、医原性サルコペニアだと私は思っています。

 80歳を過ぎた患者さんに対するコレステロール降下薬の処方は、
副作用の方が強く出ている気がしてなりません。
(痛み止めを飲みながらでもコレステロールは下げた方が
いいのでしょうか?)

コレステロール降下薬(スタチン)は、コレステロールの合成を阻害します。

 コレステロール降下薬(スタチン)は、コレステロールの合成を
阻害します。コレステロールが作られなくなるとホルモンの合成も低下
します。筋肉のミトコンドリアでエネルギーを生み出す時に必要な
コエンザイムQ10(キューテン)が作られなくなるため、筋肉痛を起こす
のです。(連続して長く歩くことが出来なくなります。筋力も低下します)

 ただでさえ日本人に必要量が足りていないビタミンDもコレステロール
から作られるため、ビタミンD不足に拍車がかかります。

 ビタミンDは、癌を予防したり、感染を予防したり、骨粗鬆を防いだり
アレルギーを予防したりするとても大切なステロイドホルモンです。
これも作られにくくなるのです。当然その他のホルモンも減少します。
(男性では、男性ホルモンの減少からインポテンツになっている人も
いると思います)

中性脂肪を下げ、悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを増やす
食事は、低糖質食しかありません。

3)ビタミンDとサルコペニアの関係

 海外の報告では、血中のビタミンD濃度が減少すると
転倒のリスクが高まる事。筋肉量が低下し、筋力が低下しやすい事。
肥満になりやすい事。などビタミンDと筋委縮やサルコペニアの関係が
示唆されています。

ビタミンDがどのような機序で、筋委縮を防ぐのかは、解明されて
いませんが、ビタミンDを投与することで筋力が回復するという
報告も見られます。

 日本人の高齢者の90%は、ビタミンD不足になっています。
そして高齢者以外でもビタミンD不足になっているのです。
ビタミンD不足とは、血中ビタミンD(25OH-D)濃度が30ng/ml以下を
言います。20ng/ml以下は、ビタミンD欠乏となります。

日本人のビタミンD不足は、全年齢で高率に起きている。

サルコペニアだけでなく、癌の予防や感染症の予防、慢性炎症性疾患の予防には、早期からビタミンD不足を意識する必要があると思います。

4)まとめ

平均寿命が延びている反面、健康寿命の延びが少なく、老後の人生を楽しく過ごせていないのが、日本の高齢者の現状です。

 食事や栄養不良で起きている多くの病気を、何でもクスリに頼ろうとする
西洋医学では、病気が減ることも治癒する事もありません。

 高齢化が進むから病気が増えるなどという単純な理屈ではなく、
生活習慣病という食事や栄養不良で起きる病気は、正しい生活習慣を
40歳過ぎ頃から身に着ける必要があります。

 高齢者のサルコペニアを防ぐには、糖質過多の食事を改め、
野菜とタンパク質を増やす低糖質食が必要です。

 筋肉の材料が少ない状態(タンパク質の少ない食事)で
リハビリテーションを行っても筋力や筋肉量が増えることはないと
思います。栄養学とリハビリテーションのコラボレーションが
大切なのです。

 増えてもいない皮膚がんをおそれ、紫外線をさける生活習慣は、
ビタミンD不足を招き、かえって多くの病気を招いています。
 過度に紫外線を避ける生活習慣は、良くないと思っています。
(生物は、太陽を避けては生きていけません。人間は、自分が動物だ
と言う事を忘れています。)

クスリには、副作用が必ず伴います。数値ばかりにとらわれる医療を
信じるのではなく、自分の体の調子を信頼してください。
ありがとう!😁

※2型糖尿病の患者さんは、低糖質食ができません。肝硬変の人も
しないでくださいね。低血糖症で死亡することがあります。
絶対にしないでください。


 

 

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