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磨かなければならないのは、どう人生をより豊かに生きるか。

イタリアのミラノから日本に帰ってきて、ホッとしている反面、イタリアの生活を恋しく思っている自分がいます。

もちろんミラノの生活にも、プラスとマイナスの面があります。

私が思うミラノの生活のマイナスは、治安(空き巣にも入られたし、スリというかバックを丸ごと奪われたこともあります 泣)、時間が正確でない(電車が遅れるはもはや普通で、たまにキャンセルになってこないこともある)、電車の音が異常にうるさい(キーっという、耳を塞ぎたくなる音)、人々が賑やかすぎる(基本うるさい)、ミラノ市内は車が多く、そして喫煙者が多く、空気が悪い(もちろん郊外に行けば空気が澄んでいて美味しい)。

世界の中でもトップクラスに治安がよく、時間に正確な日本に生まれ育った私は特にこの2点が本当にストレスでした。治安は防犯ベルを常に持ち歩き、あとは自分の荷物と周囲に気を付けるしかない。日本のように電車の中で居眠りをするなんて考えられません。時間感覚に関しては、あえて目盛りのない時計を身に付け、自分の時間感覚を鈍くする努力をしました。笑 


でも、そんなイタリアの生活から離れて、恋しいと思うのは、主に3つ。


一つは、自然を体の中に取り込む生活。

オーガニック や自然食品のお店が日本よりも充実していて、野菜が本当に美味しい。野菜ってこんなに甘かったっけ?といつも驚いていました。味付けをしなくても素材が美味しく、そのままでも十分食べれる。友人に季節の野菜、旬の野菜を選んで体に取り込むことの大切さを教えられ、その通りにしたら、体の調子が変わったのを覚えています。日本に住んでいると、スーパーにはいつも同じ野菜が並び、どれが季節の野菜なのかがわからなくなります。その点、イタリアのオーガニック スーパーは旬の野菜がメインで並べられるので、どれが本当の自然のサイクルでつくられたものなのかがわかります。野菜だけでなく、スープを頻繁に飲むようにしたり、ハーブティーを毎日飲むようにしたなど、他の要因もあるとは思いますが、日本にいた時は胃腸が弱く、そしてアレルギーもあり、常に薬を手放せない生活をしていたのですが、イタリアでの生活を通じて薬を飲む必要がなくなりました。

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*ベジタブルショップ

また、ミラノから少し足を伸ばせば、美しい湖や山にすぐ行くことができ、美しい景色と新鮮な空気を吸うことができます。

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*ミラノから1時間で行けるコモ湖

そして2つ目は、美しさに触れる生活。

美の都と言われるミラノには、美しいデザイン、アートが溢れています。これは住んでわかったことですが、本当に美しいセレクトショップやカフェ・レストラン、アートギャラリーは、実は隠れたところに多くある、ということ。観光地化している場所も十分見所はあるのですが、それ以外にも建物の中庭だったり、奥まったところにも沢山あるのです。これは私の考えですが、大通りの家賃は高額なため採算が取れるような万人受けするテイストになりがちになってしまう。でも実は、人に好かれるか好かれないかという物差しではなく、オーナーの趣味やその人のセンスを極めたデザインほど、ハッと息を飲む美しさがあるのです。そういうものはちょっと外れた場所にあったりします。もしくは、単に知る人ぞ知る場所の方が感度の高い人が集まるから、という、あえての戦略なのかもしれません。

そして、ただでさえ数の多い美術館は、展示の内容が頻繁に変わります。美術館だけでなく、多くのブランドが世界観を表現するための展示やイベントがそこら中で開催され、美しい世界に飽きることがありません。

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*Louis Vuittonのイベント

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*インテリア・アートギャラリー

また、ファッションウィークをはじめ、デザインウィーク、ミュージックウィーク、フォトウィークなど毎月何かしらのイベントがあり芸術を後押ししています。

3つ目は、人と繋がりのある生活。

家族との距離が非常に濃く、密接なイタリア人。毎日1回は家族に連絡をしている人が多い。イタリア人だけでなく、他の国の友人たちも家族と頻繁に連絡をとる人が多いようで(もちろん、それぞれの家庭によりますが)、日本人である私が家族に連絡をするのは週1回程度、実家に帰る頻度は数ヶ月に1回という話したら、なんて冷酷!親孝行をしないなんて、といった反応をされました。

そして、イタリアにはアペリティーボ(食前酒という意味)という習慣があるため、アペリティーボで軽く飲んで話す、そしてまた別の友人とディナーをする、そして更にはバーでまた別の友人と、というように、同じ日にダブル、トリプルブッキングをし、沢山の友人に会い、時間を共にします。

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*アペリティーボ

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*家の近くのお気に入りのレストラン


スキルを磨きたい、センスを磨きたいと思って選んだ留学。

もちろん、スキルもセンスもプラスになる。でも、自分が幸せになるために、本当に磨かなければならないのは、”どう人生をより豊かに生きるか”、ということ。

価値観はひとそれぞれで、正解は特にないですが、

自然を体の中に取り込む生活、美しさに触れる生活、人と繋がりのある生活、この3つが私にとっては、自分の人生を豊かにする大切なものであることだと、今、感じています。




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