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大慶寺37世 密葬謝辞

 謝 辞


 大変高いところからでございますが、遺弟を代表して一言御礼の言葉を申し述べさせていただきます。

 本日は、當山第三十七世・岩清山蓮久寺第三十世 慧光院日修上人の密葬儀に際しまして、大変お忙しいところ、このようにたくさんの寺院の各聖、大慶寺、蓮久寺檀信徒の皆様、地元上伝馬の方々をはじとする有縁の皆様のご参列ご焼香、ご回向を賜りました。遺族として心より篤く御礼申し上げます。

 殊には、、(中略)


師父は、一昨年の3月に肺がんのステージ4を宣告されました。当時は東京池上にあります日蓮宗宗務院に総務部長として奉職をしており、総務部長としての初めて臨んだ定期宗会が終わった矢先のことでございました。

 前々から体調が優れない様子でしたが、なかなか病院に行く機会がなく、病院に行った時には末期癌という現実。その時はこのまま何も治療せずにいると二週間の命であると医師に宣告されました。

 医師からは、そのまますぐに入院し、治療を開始するように告げられましたが、師父は「2時間だけ時間を欲しい」ということで2時間だけ大慶寺に戻ってきました。
 師父がその二時間で行った事は、3つでした。

 まず1つに大慶寺のこれからを考え、大慶寺の様々な記録やデータを私に託してくれたこと。おかげ様で徐々にですがスムーズな引き継ぎができました。

  そして2つ目に、日蓮宗の宗門のために、共に宗門改革に励んだ、岡山県妙楽寺御山主北山 孝治上人に自分の現状とこれからのことをお伝えしたことです。師父が宗門改革で行いたかったこと、しかしまだ成し遂げられなかったことを、一番信頼していた同志である北山上人を通して、後進に伝え、託したいという思いではないかと拝察します。

 そして3つ目には、我々遺族が困らないようにと、衣に着替えて遺影を撮影したこと、本日の遺影がその時に母と兄と私との4人で撮った写真でございます。数時間前に余命二週間と言われたばかりです。よくその状況でこのような笑顔でいられたなと、今さらながら感じます。

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 自分の「死」という現実が眼前に迫り、現実味を帯びている中、それでもなお、自分自身のためでなく、日蓮宗宗門やお寺や家族のことを考えて行動をしておりました。狼狽せず、慌てあわてふためくことなく、自分の今の状況をしっかりと客観視して、行うべきことを行っていきました。本当に父として、師匠として、そしてなにより宗教者として、心から尊敬をしています。

 その後も病を抱えながら東京へ通い法務を続けておりましたが、やはり徐々に徐々に体力も衰えていき、最後は自宅で静養をすることになり、今月9日の朝、母と寝室で寝ている時に、静かに息を引き取りました。宣告から2年でございます。近くで見ていて遺弟からしても本当に頑張ったと思います。

 これまでお寺を出ることが多かった師父でございますが、最後、自宅で看取るまでの期間は、一緒に暮らす我々にとってとても大切な、かけがえのない時間となりました。
 
 そして、大慶寺の様々なデータを引き継ぐ上でわかったことがあります。
 師父から引き継いだパソコンのデータをを調べていると、師父が癌を宣告され日、先ほど申し上げました2時間の帰宅時に更新されていたファイルがありました。
 そのファイルを開いて見るとそこにあったのが師父の妻であり、私の母でもある幸世の法号、つまり戒名を記した文書でした。

 自分が先に逝く、それをわかった上で、自分の事ではなく、母を心配し、母の法号を自分自身で考えていました。どんな思いで法号をつけていたかは、想像も出来ませんが、自分が遷化した後の心配とそれ以上に母への愛情とがあったのではないかと思います。
 
 そしてもう一つ、師父の心残りがありました。それは生前本人も述べていたことではございます。檀家さんに直接御礼を言うことができなかったということです。

 末期癌を宣告されたのが、まさにこの大慶寺の宗祖降誕800年記念事業の本堂改修、庫裡新築の着工時期と重なりました。お陰で様で記念事業は、大慶寺檀信徒の皆様の力強いご協力により、本堂改修、庫裏新築、客殿改修、境内整備とほとんどの工事が終了を迎えようとしています。そして師父も新築の庫裡の寝室で息を引き取り、改修を終えた客殿・本堂で本日の密葬儀を行う事ができ、この本堂から出棺ができる訳でございます。
 本人も本当に感謝していることと存じます。檀信徒の皆様への御礼は、師父に成り代わり今後我々遺弟・寺族が引き継いで、これから「恩返し」をしていく所存でございます。
 
 令和に入り、これからより一層速いテンポで時代は変わっていきます。だからこそ師父のように、お寺や自分自身の「あり方」をしっかりと客観視し、時代に流されることなく、且つ時代に逆らうことなく、どんな苦しい状況でも師父のこの遺影のように笑顔を忘れず、母・兄をはじめ寺族また、大慶寺・蓮久寺檀信徒・さらには地域の方と共に、お寺づくり、安穏な社会づくりに邁進していきたいと思います。

 それにつきましても本日ご参列を頂きました各上人、関係各位の皆様の今後ともご指導なくしては、なし得ないことでございます。皆様にはおかれましては、今後とも変わらぬ指導ご鞭撻賜りますよう改めてこの場を借りお願い申し上げまして、本日の密葬儀 御礼の言葉に代えさせて頂きます。本日は誠にありがとうございました。

遺弟 大場唯央


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お寺の三男として生まれ、早稲田大学に進学するも、20歳過ぎて僧侶の道へ。 藤枝市に戻りNPO法人SACLABOや一般社団法人SACLABOを仲間と立ち上げまちづくりに励む。 お寺と地域の関係性のリノベーションを目指し活動している。
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