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UXデザインをちょっと始めてみたい人へ

ユウイチローです。今回、現場でUXデザインを取り入れたい・・けどなんもわからない、という人にむけてのUXの基本的なお話しをできればと思います。

noteでも様々な方が素晴らしいUX関連のお話を執筆されているので、どこにでもあるUXの説明をだらっと話しても意味がないと思い、僕の仕事現場・広告会社まわりでの「そーは言っても現実はこーなんだよなー」て話、けど「こーゆうところから初めればできるやん」というような話をできればと思います。

今や現場で溢れかえる「流行り」ワード、UX

「ユーザー、顧客の体験が大事!」「UXをよくしないとね・・!」と、デジタル系のサービスの現場では「UX」にまつわる言葉が溢れかえってますね。「今更感」もあるほどに。

ですが、いろんなビジネス書やニュース記事などでこの言葉を見るが故に、流行りだから取り入れたい、みんなやってるから、みたいな、本質を理解せずに現場に投入しようとする人・組織が大量に存在するのも事実です。

UXデザインは、「モノ」ではなく「コト」のデザイン

そもそも、UXデザインってなんでしょう。

多くの人が「デザイン」と聞いてはじめに連想する「色と形」のある、ようは製品やサービスといった「モノ」とは異なります。

UXはUser eXperience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、UXデザインは、「モノ」を取り巻く環境やストーリーといった「コト」のデザインであると言えます。

素晴らしいUXを提供している例として良く用いられるのはスターバックス

スタバが直接売っているモノはコーヒーですが、人々がスタバに殺到するのはただコーヒーが飲みたいからでしょうか。ほとんどの人は、あの素敵な店員の対応、椅子の座り心地、空間、立地、デザインなど・・コーヒーと言う「モノ」の周りにある全ての「コト」=「体験」を味わいに来店しているでしょう。広告をほぼ出さないスタバが超絶な人気を誇るのは、この「体験」を価値を与えた戦略にあるのです。

YouTube講義でもお話ししていますが、現代の社会は「モノ」で溢れかえっています。UXが大きく叫ばれるようになったのはやはりiPhnoeの登場からでしょう。ハードのデザインだけでなく、音楽やアプリなど付帯サービス全体が一本貫かれた体験を与え、皆体験の価値に気づいたのです。そのあたりから、ビジネスでも顧客体験だ、UXだ、時にはCX(Customer eXperience)だ、などと言われはじめました。

UIとUXの違い

UIはUser Interfaceの略で、webサイトやアプリなどにおいては主に画面まわり、ユーザーとサイトやアプリの接点と言えます。ただ、あくまでモノを使っている時に触れる一部であって、体験の全て、ではないです。(このあたりごちゃまぜになっている人が多いです。)

たとえばECサイトでいうと、サイトのUIはUXの一部です。UIを含め、品揃え、ECサイトのプロモーション、配送、問い合わせサポート、SNSなど、ユーザーの全ての行動、体験がUXです。

人によってUXの指す範囲がずいぶん違う

実際に現場で使われるUXという言葉が、先の定義と異なっていることはないでしょうか?実際、UXという言葉が実はまだ浸透していない(まあそもそもデザインという言葉の定義もほとんどの人がずれてますが・・)ためでしょう。「この画面のUXが悪い」「UXをよくしてほしい」とか、限定的な、UIの使い勝手が悪いことをさしていることがあったり。

YouTubeの講義で「デザインの意味」のお話しをしていますが、幅広いデザインという概念の中で、UXは「広い意味でのデザイン」に属するものとしています。詳しくはそちらで。

現場でのUXデザインの現実

以前いた起業してできた数名の会社では、中小規模の案件を扱うことが多く、逆に今の会社では大手の広告代理店ということもあり、かなり大きなクライアント、大きな案件が多いです。しかし、いずれの場合もUXの文脈を現場に取り入れようとすると、なかなかの大きな壁が会社の規模に関わらず存在します。

簡単にいうと、自分の経験上、UXデザインとは問題の「本質」を扱うため、プロジェクトの最初からUXデザイナーが参加し、ある程度中長期的な目線で取り組まないと取り入れにくいものです。

ただ、例えば規模の大きな事業会社なんかは、「とにかくすぐ新商品が売れないと案件がポシャる」かつ「すでに開発が進んでいる商品で」「ターゲット、ペルソナ像はすでに決まった上で」ような案件がほとんどです。

だから途中からUXの概念を取り入れようとジョインしても

「何、UXってちゃんと儲かるの?」「ワークショップやるほど暇じゃないんだよね」「UX?下のもんと適当にやっといてよ」とか言われていたり、商品開発はすでにされている、ターゲットは勝手に決められている、とかでUXデザイナーが入り込める幅が狭すぎる、など・・

「そもそもユーザーはでですね・・」とこちらが言いはじめても、「今のタイミングで言われても困る!」みたいな現状がってこっちは何も言えずヘエコラ言われるがままになる・・とか、よくあります。

どうUXデザインを取り入れていけばよいもんか?

方法としては、2つ。

①上から、最初から一気に参加して使っていく

②現場から徐々に理解を広げて使っていく

①は、UXデザイナー自身がプロジェクトの核となり、まわりをまきこんで推し進めていくパターンでないと難しいです。それが無理なら、プロジェクトのリーダー(営業や、部長/課長などプロジェクトの決裁者)と併走して進めていく。かなり限定的になってしまいますが、意思決定がコンパクトはプロジェクト、会社であれば実現可能性はあがります。

②は、時間はかかりますが、現実的です。あなたが、現在UXデザイナーでなく、今の仕事をしながら進めるならなおさらこちらが良いと思います。「まず、現場の理解を得ながら」進めることは地道ですが、まだUXが浸透しきっていない現場では効果的だと感じます。

では、何をしていけばよいかという、いわゆる基本のUXのフレームワーク的なことですが、その前に・・

現場で理解を広げていく際にUXの価値を感じてもらうための共感ポイントとしては

「わかってるつもりだったのに、全然ユーザー(生活者)のことをわかっていなかった!!!」

この感覚が、UXに限らず「デザイン」をする上で常に意識するべきことです。この感覚をクライアントや現場のスタッフと共有することで

「これはまずい。急いで解決しないと」「ライバルに差をつけるチャンスだ」「いいサービスができたと思ってたけどまだまだだった・・!」などの良いエネルギーが満ちていきます。この感覚の共有すごい大事。

UXデザインのフレームワーク

①調査

・ユーザ調査 ・ユーザビリティ評価

②方針・施策決め

・カスタマージャーニーマップ

③設計・制作

・構造化/シナリオ/ペルソナ設計 ・プロトタイピング

基本的なことでいうと上記がありますが、すいません!長くなったのでそこはまた後日お話しできればと思います。

ちなみに

一つ、これはYouTube講義でもお話ししていますが、UXデザインはいわゆる「広義のデザイン」として語っています。そして、いわゆる制作フェーズでモノとして形づけて、市場に投入する工程を「狭義のデザイン」としています。僕はグラフィックやエディトリアルデザインからキャリアをスタートさせて14年、今はデジタルをメインにウェブやアプリ開発と様々携わってきましたが、アナログでもデジタルでも、広い意味でのデザインと狭い意味でのデザイン、どちらかだけを扱って良いものが生まれたためしは一度もありません。今は「広義のデザイン」が「良い」とされがちですが、そこだけ語っていてはデザイナーとして本当に価値があるのかは疑問だと思っています。もちろん、ただ職人のように表現だけのデザインを続けるのも間違っています。要は広くも狭くも両方、考え方として必要だということ。それらを束ねていくのが今後のアートディレクターであると思っておるわけで。この辺りはこれまた別枠でお話ししていきたいですので、引き続きどうぞよろしくお願いします。


YouTube動画でも、「デザイン」について広く扱い、お話しさせてもらってますのでぜひ!

ユウイチローのデザインカレッジ

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