石巻 再生へ漕ぎ出そう

最高裁が地方議会の出席停止処分の判例変更

                          2020年12月
                      ジャーナリスト相澤雄一郎 

             
 宮城県岩沼市議会の出席停止処分をめぐる裁判の上告審判決で最高裁大法廷(大谷直人裁判長)は2020年11月25日、最も重い除名以外は「裁判の対象外」とした60年前の1960年(昭和35年)の判例を変えた。出席停止処分も「裁判所が常に適否を判断できる」と述べ、岩沼市議会側の上告を棄却した。
 最高裁裁判官15人の全員一致の結論である。
出席停止の1部を裁判対象と認め審理を一審・仙台地裁に差し戻すとした二審・仙台高裁の判決が確定した。今後、地裁処分の違法性が正面から問われる。原告は宮城県岩沼市の大友健(けん)元岩沼市議(71)。少数会派の同僚議員が陳謝処分を受け入れたたことについて2016年(平成28年)6月の議会運営委員会で大友元市議は「政治的に妥協した」と発言した。これが議会で問題視されて大友元市議は23日間・出席停止となり、議員報酬を27万8,300円減額された。
 大友元市議は出席処分取り消しと報酬返還を市に求め提訴した。一審仙台地裁は2018年(平成30年)3月、従来の判例に従い訴えを却下、同8月二審の仙台高裁判決は「議員報酬の減額につながる場合は司法審査の対象になる」と一審を取り消し、仙台地裁に差し戻した。
 総務省によると、地方議会の懲罰は2017年度までの11年間に289件あり、議会出席停止は最も多い125件。
 最高裁は判決で「議会の自律は尊重すべきだ」としつつも、「議員が議会に出られなければ住民代表の責務を十分に果たせなくなる」「地方議会のように運営ルールを独自に決める団体の内部問題に司法は関与しないと決めた1960年(昭和65年)最高裁判例」に変える」と最高裁大法廷は60年ぶりに変更した。
 大友健さんは河北新報社元記者。私が編集局長の時、岩沼通信部勤務だったが、岩手県出身の東北大学経経済学部卒の中堅記者。岩沼の政治関係者が大友記者を岩沼市長に推そうと動いていた。河北新報社を退社して2007年12月の岩沼市議会議員選挙に立候補、  無所属で当選した。岩沼市は竹駒神社のある宮城県南部人口4万4千人の歴史のある地域。元新聞記者だけ市の市政、行政になどに意見を述べた。市議会の運営を巡っても発言した。大友議員は同僚議員の質問について応援は発言しただけで23日間出席停止、仙台地裁に議会活動として仙台地裁に処分取り消しの提訴を起こしに。
最高裁大法廷の地方議会の出席停止の判例却下は画期的な判決だ。大友氏は3期目市議選で落選したが、地方議会の出席停止の懲罰はよほどのことがない限り認められないという最高裁大法廷の60年ぶりの判例変更は、地方議員として活動してきた大友健元岩沼市議(71)の活気的な功績と評価する。地方議会では議会出席停止などの処分が総務省の調査でもかなりの件数がある。大友健元岩沼市議が弁護士、大学教授らの指導を受けて1960年の最高裁判例を変更したことは、元新聞記者の私はうれしい。

 東日本大震災被災地の石巻市では黒須光男市議が災害復興公営住宅建設費3億4千万円上乗せ問題で亀山紘石巻市長を背任告発したことで市議会出席停止処分を受けた。市議会での質問言動が批判されての処分だが、11月25日に行われた最高裁大法廷の地方議会懲罰の60年ぶり判例変更は石巻市議会でどのように対応するのか。
 亀山紘石巻市長は2021年4月25日の市長選挙には立候補しないと発言している。

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