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営業資料を読むだけになっていないか?”顕在”ニーズだけではなく”潜在”ニーズを見つけられる営業になるために

先日、会社のメンバーから営業後に「クライアントのニーズに応えられる機能がまだありません」というコメントをもらって、顕在化しているニーズだけではなく潜在ニーズを見つけ出す営業力を身につけてほしいと思い、このnoteを書くことにしました。

営業パーソンと記載していますが、カスタマーサクセスなどB2B領域のビジネスサイドに関連する仕事には共通する点だと考えています。

スタートアップは潜在ニーズの追求から始まる

B2Bサービスの創業者にとって初期ローンチ後の営業は非常に重要な仕事です。また、その中でもサービスローンチ初期は機能もユーザー母数なども限られるので、ほぼクライアントの顕在化ニーズには応えられてないことが当たり前だったりします。そんな中でも販売実績を作らないといけない、そのためにどうしたら良いか考えるところから始まります。

まず一番大事だと思っていることは徹底的にクライアントの潜在ニーズを探り当てていくことです。つまり今提供できている機能で、顕在だけではなく潜在ニーズにどれだけミートできるかです。

例えば、Findyの場合、採用サービスで「フロントエンド周りでTypeScriptの経験があり、過去にバックエンドもある程度、触ったことがあるエンジニアは登録しているか?」に対してユーザーが6万人いれば、「います」と即答できますが、2,000人の時は当然、自信を持っていますと言えないわけです。

つまり顕在化しているニーズに対してできる、できないだけ応えていたら使う価値のないサービスになってしまうのです。

上記の場合ですと、「フロントエンドの経験ありで登録している人はいるので、実際に転職意欲のある方に会いに行って御社への関心や印象なども聞いてきます。その中にTypeScriptの経験はまだそれほどではなくとも、Reactの経験が長い方がいればご紹介可能でしょうか」と言えば、それは知りたいし、お願いしたいかもとなる可能性があるのではないでしょうか。

とは言え最初のクライアントは友人だったり、過去にサービスへのアドバイスをくれた人だったりするので、スタートアップの営業というのは本当に何もない中で個人の関係値から始まったりします。だからこそファーストクライアントはいまだに決して忘れないというのがあります。

大事なのはクライアントの課題を深掘りすること

では、潜在ニーズにどう気づけば良いのか。それはクライアントの課題を徹底的に深掘りすることです。クライアントも、薄らとニーズはあるような気がしているが、言語化できている顕在ニーズと違って、潜在ニーズはまだ言語化する前なので、ニーズだけをヒアリングしても答えにくいものです。

そのため、どんなことに悩んでいるか、今の課題は何かを具体的に聞いていくのが大切です。例えばエンジニア組織の可視化サービスであるFindy Teamsだと、「エンジニア組織の生産性を上げるために、デプロイ頻度を測りたいが、まだFindyのサービスだと数値が取りきれない」というケースがあるとします。

ただ、そこでデプロイ頻度をもっと正確に取れるようにしましょうと開発サイドにフィードバックするだけが営業の解ではなく、例えばそれに至る指標も取れるのであれば、「プルリクのクローズ時間やレビューまでの時間などは見ているか」など、提案できる可能性はたくさんあります。そしてこうした提案の際に重要になるのは、そもそもなぜ「デプロイ頻度を図りたいのか」をヒアリングすることです。

例えば、「開発スピードをあげたい」や「エンジニア採用が計画より遅れているので期初計画通りにエンジニア人数が増えていない」といった課題をヒアリングしていれば効率性の改善に関する提案が刺さるかもしれないですし、エンジニア採用強化の関連の提案ができるかもしれません。

上記は自社の事例でしたが、課題が何かをヒアリングをした上で潜在ニーズにたどり着けるかが営業パーソンの腕の見せ所だと感じています。


ヒアリングしたい課題を因数分解しておく

課題のヒアリングは非常に難易度が高いものです。
まず、単に「課題ありますか」と聞いていても、まさに顕在化されているニーズしか、クライアントから返ってこないかもしれません。答える側もざっくり聞かれているので、ざっくり答えるだけになってしまいます。

大事なのは、課題を分解してヒアリングすることです。例えば上記の通り「エンジニア組織の生産性をあげたい」というニーズがあったとします。

上記に対しては
- どの部分の生産性をあげたいのか
- マネージャーの負荷はどの程度か
- 人事評価周りで困っていることはないか
- 社員の離職は課題になっていないか

などなど、事前に課題を分解しておき、その課題を見せながらヒアリングしていくとクライアントも話が弾んで、いろんな話をしてくれます。その中に潜在ニーズが潜んでいることが非常に多いです。

ヒアリングした課題を言語化しクライアントにも見てもらう

ライティングの能力が問われるテーマですが、課題をヒアリングできたら、できる限りその場でテキスト化してクライアントと認識をすり合わせることをお勧めしています。オンラインでの商談が一般的になった今、テキストの共有は以前よりも容易であり、言語化して認識をすり合わせることで相互のズレがなくなります。

クライアントサイドも、自分たちの思っていることが言語化されるのでその後の説明を聞く際にも重点的に聞くポイントが分かり、安心してその後の説明を聞くことができます。

ちなみにFindyではこのロジカルライティングがとても大事だと思っており、戦略コンサル時代の同期を招いて、徹底的に社内研修を行っており、現場のレベルアップにも一定の効果が出てきています。


ヒアリングした課題に沿ってサービスの説明をする

課題が言語化できたら初めて自社サービスの説明に入っていきます。
その際に意識するのは、クライアント課題の優先順位に合わせて説明していくことです。

クライアント毎に一番解決したい課題が分かれる事が常ですが、その場合も一番改善したいところから順に話していきます。そのほうが当然ですが、クライアントにとって有用なサービスに感じられることが多くなるのではないでしょうか。自分が営業トークを聞く場合でも興味のない話から始まるばかりではしっくりこないですね。

資料を読むだけの営業になっていないかを確認

良い営業とは、クライアントの課題に向き合うことですが、常に気にしておきたいのは、資料を読んでいるだけの営業になっていないかです。新人であったり、転職したばかりだとどうしても、覚えることに必死なので「読んでいる」営業やCSになりがちです。

ただ、残念ながら、クライアントが欲しい情報に絞れていないため、読んでいる営業は頭に残りません。また以前に営業トークのデータ分析をしている方と議論した際も、いかに営業初期段階で、営業トークではなく営業ヒアリングに徹する事ができているかで、成約率が変わるというデータもあると聞きました。


以上、いかがでしたでしょうか?
Findyでは、若手を中心に採用して、エンジニアリング✖️セールスやCSという難易度の高い領域に挑戦してもらっており、そのための研修や市場価値が上がるようなレベルアップにも力を入れています。