見出し画像

TradTechという世界に誇る日本の伝統文化のデジタルアップデート

デジタル社会になり、様々な産業がデジタルアップデートされています。特に今まで様々な事情でデジタル化が遅れていた産業の変革(トランスフォーメーション)の効果は絶大です。X-Tech(クロステック)のような産業(X)×テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語も、金融産業のデジタル化が浸透してきたことで「FinTech(フィンテック)」という言葉がメディアで盛んに使われるようになり一般化してきました。

AdTech(広告×IT):広告分野
AgriTech(農業×IT):農業
CleanTech(環境×IT):環境分野
ConTech(建設×IT):建設業
EdTech(教育×IT):教育分野
FashTech(ファッション×IT):ファッション業界
FoodTech(フードテ×IT):食品業界
GovTech(行政×IT):公的分野
HealthcareTech(医療・健康×IT):ヘルスケア分野
HRTech(人事×IT):人材分野
InsurTech(保険×IT):保険業
LegalTech(法律×IT):法律分野
ManuTech(製造×IT):製造業
MarineTech(漁業×IT):漁業
MarTech(マーケティング×IT):マーケティング分野
MedTech(医療×IT):医療産業
RealTech(不動産×IT):不動産業
RetailTech(小売・物流×IT):小売業
SalesTech(営業×IT):営業分野
SpaceTech(宇宙×IT):宇宙産業
SportTech(スポーツ×IT):スポーツ産業
TourismTech(観光×IT):観光業

一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会の活動として様々な業界のデジタル化を支援しています。業界(業種・業務)×ITという形で「X-Tech(クロステック)」の造語が各方面で作られて、変革・変容すべき業界の未来の姿をイベントなどでイメージしてもらっています。

昨今のコロナ禍で、インバウンドなどの観光産業や大きな打撃を受けています。移動が制限されてマイクロツーリズムなどの近場の観光が見直されていますが、観光そのものの産業定義をポジティブに見直してデジタルアップデートしようとする試みも生まれています。

TourismTech(観光×IT)からの発展形で、「ResorTech(リゾート×IT)」になっています。なんか楽しそうな響きなのとリゾート地全体のデジタル化という概念であれば小売や物流、公共事業全体との連携もイメージできます。特定業種のIT化というアプローチではなく、デジタル化が急速に進んだ社会で必要となるサービスを創造するために新しい業界を定義するということになると思いますので、非常に興味深い沖縄での取り組みです。

観光産業で言えば、インバウンド観光客などが求めているのは日本古来・固有のモノ(名勝地)やコト(伝統文化)ですが、その分野のモノ、コトのデジタル化は遅れていると感じています。今、特に力を入れているのはコロナの影響で日本に来れなくなった世界の方々に日本の伝統文化に良さを感じてもらうということと、来れなくてもモノやコトを消費してもらうということです。そのために伝統文化産業のデジタル化を支援しています。コンテンツをデジタル化してもらえば、移動せずにオンラインでも流通できます。

例えば、伝統産業である佐賀県有田町・伊万里市の陶磁器「有田焼」「伊万里焼」ですが、古伊万里(KOIMARI)などの名称で世界でも人気のブランドです。しかし、売上は低迷して産業としては非常に苦しい状態が続いています。産業自体のIT化も遅れていますが、産業自体のデジタルアップデートができないかということを考えています。

こちらの事例は、有田焼の職人の方の技術と現代アートの掛け合わせた取り組みです。現代美術のアーティストである小松美羽さんの描いた絵を基に有田焼の狛犬を職人さんが作成し、焼きあがった有田焼に小松美羽さんが絵付けして作品を仕上げるというものです。その作品は、米国ニューヨークのイベントでも大好評で完売しています。また、英国「チェルシー・フラワーショー」にて庭園デザイナー・石原和幸の作品『江戸の庭』とコラボし有田焼の狛犬を製作しゴールドメダルを受賞し、その後、その狛犬がイギリスの大英博物館に所蔵されることになりました。このニュースは、伝統産業のデジタル化事例ではなく、伝統産業と現代アートのコラボレーションの事例、海外のオンラインメディアが取り上げることで日本の伝統文化のデジタルPR事例として取り上げています。コラボレーションというニュースを作り、デジタルメディアに取り上げてもらうことで世界中に拡散され、日本の文化に興味を持っている富裕層に認知してもらうことに成功しています。

そして、今年の日本テレビでの24時間テレビで小松美羽さんはライブペインティングを行い、完成後チャリティーオークションもライブで行われました。オークションはオンラインで開催されたので、世界中から入札できる仕組みです。欧米やアセアン諸国の富裕層にも人気のアーティストですので、テレビの企画とは別の視点でも注目を浴びていたのではないでしょうか。

作品の完成後5時間のオンラインオークションの落札額が2054万円!!
これから、日本の伝統文化はアートとして注目され、デジタルの仕組みで所有権が売買されるという世界が広がってくるのではないかと思います。

日本の伝統文化である陶磁器、着物、建築など、生活様式の変化で日常生活では使わないものも増えてきました。それが、根本的な産業不況の原因でもあります。使わなくなったものを「使う場を増やしましょう!」という活動も必要なのかもしれません。しかし、新しい生活様式(NewNormal)を目指す次世代(デジタル社会)では、デジタルコンテンツとして日本の伝統文化ファンの世界中の富裕層の間で流通しやすい形に変えていくという工夫も必要になってきます。今回の小松美羽さんの作品のオンラインオークションには大きな可能性を感じました。地上波で放映されたことで、多くの方々が今まで言葉は知っていたけど、あまり目にしなかったオンラインオークションというものを目にして印象が変わったのではないかと思います。

伝統文化をアート業界に!

伝統文化のデジタル化を推進していくために、X-Tech的な発想も必要になってきています。日本の伝統文化(Traditional Japanese culture)のX-Techを造語として表現するならば『TradTech(伝統×IT):伝統文化」になるのではないかと思います。

これからは、『TradTech(トラッドテック)』も強烈に推進していきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?