PAIN & GLORY #43 旅とは。
ふと考えた事がある。今の自分は旅をしているのだろうか。
辞書で"旅"の定義について調べてみると
"住む土地を離れて一時他の土地にいること"
と出てくる。その定義に沿って言えば、自分は今旅をしていないことになるだろう。だが本当にそうだろうか。
"人生とは旅であり、旅とは人生である"
この言葉は昔からよく耳にするが、最も記憶に新しいのは、サッカー元日本代表の中田英寿氏が、ドイツW杯を最後に現役を退く際の引退メッセージだ。
時小学3年生だった自分は、リアルタイムでテレビを観ていて、ヒデの引退報道あった時は心底悲しかったのを覚えている。サッカーを好きになったきっかけが彼であり、初めて憧れた選手であった。
そんな選手が、引退という人生の岐路で綴ったメッセージの中にあったこの言葉。当時の自分には、彼が何を言わんとしているのか全く分からなかった。
時は流れ、カンボジアに来て丸5ヶ月が経とうとしているが、自分が"帰る"という言葉を用いるとすれば、未だにそれは間違いなく日本を指すだろう。カンボジアに生活拠点を移したとはいえ、自分が生まれ育った環境を離れ、人知れずさすらいを続けている。
しかしそれ自体もまだ旅の途上であって、人生が終わらない限り旅は続いていくのではないだろうか。生きていれば色んなことを感じ、傷つくこともあるだろうが、それと同じだけ成長するチャンスもある。そうやって自分の人間としての価値観や見聞を広め、色んなことを経験して成長していく。それこそが"旅"。故に死ぬその瞬間まで旅は終わらない。
そう思えば、カンボジアでの時間も日本に戻った時も全てが旅であり、全ての時間が尊い。今の自分なら、あのヒデの言葉の真意がわかる気がする。
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