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疲れた時は、魚卵に限る〜酒処ユイじょりのカラスミそば

あなたはうどん派、そば派、どっち?

きのこたけのこに次ぐ、あなたはどっち系クエスチョン。

今の回答は、全力で「そば」なのだが、20台後半まで私のこたえは、「うどん」だった。

うどんが好きというより、そばが苦手だったのだ。

私と、そば

私はそばのメッカ、信州で高校卒業までを過ごした。

そばが大好きな両親に連れられて、よく安曇野方面や信州の山奥、秘境感ただよう村までそばを目当てに訪れたものだ。

なのに、私はメインのそばではなく、サイドメニューにうどんや丼ものがあれば、後者を選択することが多かった。

それに、ざるそばを頼んでも、1枚食べきれない。通称バキュームチチに、食べられなかった分を託していた。

それでも、小学生の後半くらいまではすすんでそばを食べていた気がする。もしかしたら、いくらを食べすぎて食べられなくなったように、そばも食べ過ぎたのかもしれない。昔好き嫌いが多すぎた話はこの記事でちょっと触れている。

なぜ苦手だったのかは定かではないが、パラダイムシフトが起こり、俄然そば派になった理由は、わかる。

日本酒が飲めるようになったことだ。

私と、お酒

実は私、本格的な飲兵衛化が始まったのは、社会人になってから。

大学時代は、パンケーキ屋に並ぶことを厭わない甘党だったので、お酒の席でも、梅酒とか甘い系のサワーを飲んでいた。

一度だけ、恋愛沙汰で荒れたときに、ヤケになって芋焼酎を飲みすぎた。
翌日「私はイモになってしまったのか?」状態に陥り、大変なことになったことだけは覚えている。今でも、芋焼酎だけは食指が動かない。

社会人になって、最初は営業職だったので、この世で一番苦手な車の運転をして毎日得意先を回っていたのだが、仕事後の「とりあえずビール」の美味しさに目覚める。

そこから芋づる式に、甘党から塩党に。
甘いサワーから、ハイボールに。
デザートから、ナスの一本漬けに。

でも、日本酒だけはなぜか苦手意識があった。

普通の居酒屋で少し嗜んだだけでも、なんだか翌日に残る気がしていたからか。はたまた、鋼の肝臓をもつ母(スーパードライ党)が「私は日本酒だけは好きじゃないし、飲まない。甘いから」と昔から言っていて、それに自然と影響を受けていたのかもしれない。

日本酒との出会い

浪人時代に出会い、大学時代、そして社会人になってからも仲が良く、それはもうしょっちゅう飲んだくれていたHという友人がいる。今でも家族ぐるみで仲良くしてくれる、親友のひとりだ。

そんな彼女の十八番は、日本酒。日本酒会と称して、美味しい日本酒のお店を開拓したり、日本酒を持ち寄ってホムパ的なことをしょっちゅうしていた。フランス駐在が決まった時も、日本酒会のみなさまに壮行会をしていただいたことを今でもよく覚えている。

日本酒つながりで友人の輪が広がり、あの頃はよく働いてよく飲んで、楽しかったものだ。

そんな日本酒会の結成当初のこと。私は日本酒得意じゃないし、ちょっとなあ…と思っていたけど、Hの日本酒愛と情熱に感心していたので、思い切って参加させてもらった。

今でも覚えている、日本酒へのパラダイムシフトが起きたお店。
三軒茶屋の赤鬼だ。

Facebookで写真をあさってみたら、2011年のことだった。
この時のコメントに、「日本酒ってこんなに美味しいのか、次の日に全然残ってない」と、日本酒に開眼した様子が書かれている。

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ここで目覚めて以降、2013年までは、日本酒漬け。

そしてフランスに渡ってから2017年までの4年間でずぶずぶなワイン漬けとなり、今のような「なんでもスキ」なオールマイティ系飲兵衛が出来上がったというわけなのだ。

棚から、そば

外出禁止中に、そうめんやそばといった日本で仕入れてきた麺類をすべて消費してしまった我が家。今年の夏は冷製カッペリーニのバリエーションや重曹パスタ冷やし中華で乗り切った。

ところが昨日戸棚を整理していたところ、ジップロックに入ったそばが1束、ぽろっとお皿の影に隠れて出てきたのだ。

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いやもうこれは、棚からぼたもちならぬ、棚からそば。衣替えしたらなぜかポケットから千円札が出てきた時のラッキー感に似ている。

そういえば前日夜に、明日はもしかしたら同僚と軽く一杯飲んでくるとOtto氏は言っていたし、こりゃあひとりでしっぽりと日本酒とそばのペアリングを楽しむことにしよう…ククク。

オレンジに輝く魚卵、カラスミ

私の数ある座右の銘のなかのひとつ、

「疲れたときは、魚卵」

最近寝不足でつねに疲れている感じだし、私の大好きな魚卵、カラスミを使って、日本酒にあう最高のつまみ、カラスミそばを作ることにした。

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こちらがカラスミ。ちなみにこちらではボッタルガというが、割と手に入りやすいので、魚介系のパスタにファサーすることが多い。こちらは、以前ひとりランチで作った、しじみ真空パックを使ったしじみボンゴレ。

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削るだけでなく、スライスもする


今宵のおしながき

今宵の酒処ユイじょりは女将がひとりでしっぽり、と思っていたので、カラスミそばとなめたけおろしと酢の物くらいでいっかと思っていた。でも、普通にOtto氏がおかえりになったので(連絡くらいよこしてほしい)、こんな感じに。

もはやお好み焼きとだし巻きたまごは、酒処ユイじょりの定番となりつつある。

・カラスミそば
・ちょっと洋風お好み焼き
・だし巻きたまご、だし120ccバージョン
・わかめときゅうりの和え物
・自家製なめたけおろし、涙の糸唐辛子のせ
・カブとにんじん、きゅうりの浅漬け
・自家製イカのあたりめ

なんだか品数が多くて大変そうだが、下4つは日々の自由研究などですでに出来上がっているようなものだし、和えものは切って和えるだけなので、実際つくるのは上3つ。

アサヒスーパードライで気合をいれながら、レッツ調理スタート。

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1、まずは、お好み焼きから。何がちょっと洋風かって、豚の薄切り肉がなかったから、生ハムで代用した。生ハムはしょっぱいので、こまかく切って、ランダムにのせるのみ。チェダーチーズとパセリもいれてみた。

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あと、洗い物を増やしたくなくて、今日の焼きものはすべて卵焼き用のフライパンだけで済ませることにした。

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以外にひっくり返すのも簡単だし、これはアリかも。2枚分の分量で用意した生地で、1.5枚分焼けた。

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3分の1は、明日のお弁当行き

2、次に、ケイチェルおじさんからの挑戦状、だし巻き。

今まで土井先生の75ccバージョンじゅわーの世界が変わる90ccバージョンは軽々とクリアできたが、今日はちょっと大胆に120ccにチャレンジ。

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2巻目くらいまでは綺麗にできているが、この後の巻きは生地がやわらかくて崩れやすく、初めて菜箸以外にフライ返しも使った。この後の写真がないのが、苦戦した証拠だ。

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ちょっと形がいびつになってしまったが、一応最後まで巻き切ることはできた。巻きすで巻いた後の状態がこちら。

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切り口は、少し穴があいてしまったけど、まあ許容範囲か。

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3、カラスミそばを作る。作る、といっても、茹で上げたそばに日本酒を大さじ1くらいと白だしを小さじ1くらいかけて混ぜたものに、上からカラスミを削るだけ。

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両手が塞がる場合、iPadを置いてタイマーで写真を撮る技が身についた。

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このオレンジ色、みているだけで元気が出る。

あとは、お皿にのせるだけ。もはや私の躍動スキルは、味さえも感じられる。

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日本酒をおともに、今週もお疲れ

日本酒は、外出禁止中にOtto氏の酒蔵から見つけて、交渉のすえゲットした日本酒「南部美人」はすでに姿かたちなく、残すところ父がくれた信州木曽の中乗さんのみとなった。そんな貴重な日本酒とともに、いただきます。

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ちなみにこの酒器は私のお気に入り、能作のもの。たまたま2、3年前の年初、日本にきていたOtto氏が、獺祭二割三分とともに私の誕生日プレゼントに買ってくれた。本人は日本酒、飲みませんけど。

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このあたり、先週から作ったものが大集合って感じ

このカラスミそば、日本酒のためにうまれてきたのではと思うくらい、最高の組み合わせだと思っている。乾麺で若干茹ですぎたそばでさえそう思うのだから、美味しい信州の打ち立てそばでやったら一体どうなっちゃうの・・・?カラスミを削り器とともにを持参したいくらいだ。

だし巻きは、さらなるディープなジュワーの世界へ突入した感がある。ただ、75cc→90ccのときのような感動があったかというとそこは?なので、作りやすさを考えると90ccで落ち着くのが賢明かも。
おそらく120ccが限界な気がするので、90ccから120ccの間で巻きやすさとジュワーのバランスをとって今後の定番を決めたいと思う。

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主役はカラスミそばのはずなのだけど、他のおつまみに気をとられていたら、お腹がいっぱいになってしまい。結果、半分以上残ってしまった。

今日のお昼に、これからビールとともにいただく予定。


最後に、すっかり忘れていたお客(Otto氏)の反応。
カラスミそばは食べないだろうなあと思ったけれど、案の定、一口食べて、お好み焼きに戻って行った。

そして、早くも最後の一切れとなった、マジックズッキーニガトー・オ・ショコラを綺麗に食べて、おやすみになられたのであった。

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もちろん、今日もスペキュロスペースト絞り付き😭








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