プロダクトマネージャーとは?プロダクトマネージャーが日本企業を救う?
SayakaTが優秀なプロダクトマネージャーに必要なスキルは?という記事の中で、プロダクトマネージャーに求められるメタ認知思考力について書いてくれましたが、そもそもプロダクトマネージャーとはどういう役割なのでしょうか?
日本でもITやスタートアップ界隈ではプロダクトマネージャーという言葉をよく聞くようになりましたが、大企業でプロダクトマネージャーがいる会社はまだ少ないのではないでしょうか。プロジェクトマネージャーやスクラムにおけるプロダクトオーナーとの違いが十分に理解されていないケースも多いのではないかと思います。この記事では、そもそもプロダクトマネージャーとは何かについて書いてみたいと思います。
日本企業のプロダクト開発におけるありがちな課題
一般的な会社でのプロダクト開発のプロセスは、企画部門がプロダクトアイデアを考え、その開発を自社内のIT部門や外部の開発会社に依頼するというようなことが行われているのではないかと思います。ここでの問題点は、ユーザーやエンジニアの意見が取り入れられるのは最後の最後になってしまい、モダンではないテクノロジーが使われて生産性や拡張性に課題を残したり、機能はするけど使いづらいというようなものになったりということになってしまいがちなところです。プロダクトマネージャーの役割は、これらの問題を解決し、プロダクトを成功に導くというものです。プロジェクトの進捗(When)を管理するプロジェクトマネージャーや何(=What)を作るかを管理するプロダクトオーナーと違い、なぜそのプロダクトを作るのか(=Why)に責任を持つのがプロダクトマネージャーとも言われます。日本ではDXがバズワードになっていますが、日本企業のDXを成功させるには、プロダクトマネージャーという仕事がもっと理解され、良いプロダクトマネージャーがたくさん出てくることが必要なのではないでしょうか。
プロダクトマネージャーとは?
プロダクトマネージャーの役割を端的に表すものとして、Product Tank創設者Martin Eriksson氏によるこちらのベン図がよく使われています。Martinは、下の図のようにビジネスとテクノロジーとユーザーエクスペリエンスの交わるところをプロダクトマネージャーとして定義しています。
© 2011 Martin Eriksson. Re-use ok with appropriate attribution.
また、a16zのBen Horowitz氏は、過去の記事でプロダクトマネージャーを、プロダクトのCEOと呼んでおり、これを引用しているケースも多くあるように思います。一方で、引用したブログの注意書きにも書かれている通り、15年前に書かれたもので今日のプロダクトマネージャーには当てはまらないかもしれません。なぜなら、プロダクトマネージャーは自分の意見を押し付けるのではく、ユーザーやエンジニアの声に耳を傾け、プロダクトを成功に導くのが仕事だからです。もちろん、スティーブ・ジョブスやイーロンマスクのような天才であれば、人の意見を聞かなくても成功するプロダクトやビジネスを生み出すことが可能なのかもしれませんが、一般的なプロダクトマネージャーにはもっと謙虚さが求められると言って良いでしょう。プロダクトマネージャーはプロダクト全体を見回し、成功させることに責任を持つ、非常に重要な役割であるため、スタンフォードMBAに留学中のHiroshi WatanabeさんのTweetにもあるようにプロダクトマネージャーは起業家の登竜門としてMBA卒業生にも人気の職業となっています。
プロダクトマネージャーの仕事
UX、ビジネス、テクノロジーの交わるところにいるプロダクトマネージャーの仕事としては具体的にはどのようなものでしょうか。もちろん、会社の規模やプロダクトの種類によってプロダクトマネージャーの役割は様々ですが、一般的な役割としては以下のようなものになります。
• プロダクトのビジョンの策定
• 市場や競合プロダクトのリサーチ
• ユーザーニーズやマーケットギャップに関するリサーチ
• プロダクト戦略の策定、KPIの設定
• 各種ステークホルダーとのコミュニケーション
• 機能の優先順位づけやプロダクトロードマップの策定
• UIUXデザイナーチームとの協業によるUIUXデザイン
• エンジニアリングチームとの協業による機能のデリバリー
• プロダクトローンチ後のユーザー分析とグロースハック
そもそもの機会(=ユーザーのペイポイント)を発見し、どうそれを解決するのか、そのために必要なテクノロジーは何か、全体を成り立たせるビジネスモデルは何か?などプロダクト開発の全てのプロセスにおいてリーダーシップを発揮することが求められます。
プロダクトマネージャーに必要なスキル
このように、プロダクトマネージャーの仕事は非常に幅が広いです。具体的に求められるスキルにはどのようなものでしょうか。プロダクト開発のコンサルを手がけるSilicon Valley product groupの記事より、プロダクトマネージャーに必要なスキルを見てみましょう。
<製品の知識>
・ユーザーと顧客の知識 :対象となるユーザーや顧客についての理解
・データの知識 - 様々なデータツールを使いこなし、製品が実際にユーザーにどのように使用されているかを分析
・業界とドメインの知識 - 業界とドメインに精通し、競合状況や関連する業界トレンドの理解
・ビジネスと会社の知識 - マーケティング、販売、財務、サービス、法務、プライバシーなど、会社のビジネスのさまざまな側面を理解
・製品の運用知識 - その製品が実際にどのように動作するかについての深い理解
<プロセスのスキルとテクニック>
・プロダクトディスカバリーの手法 - プロダクトのリスクと、そのリスクへの対処法、結果へのコミット
・プロダクトの最適化技術 - プロダクトローンチ後、最適化技術を利用してプロダクトを迅速に改善・改良
・プロダクトデリバリーのテクニック - エンジニアやマーケティングに対する責任を理解
・製品開発プロセス - ディスカバリーとデリバリーを含む広範な製品開発プロセスと、チームのマネージ
<人のスキルと責任感>
・チームコラボレーションスキル - 開発者やプロダクトデザイナーとの協業
・ステークホルダーマネジメントのスキル - 会社の上級幹部を含む各ステークホルダーと相互尊重と相互信頼を確立
・エバンジェリズムのスキル - 製品のビジョンや戦略を効果的に共有し、様々なステークホルダーや社内の関係者のモチベーションを高め、鼓舞
・リーダーシップスキル
※筆者による抄訳。詳細はリンク(英語)をご参照ください。
プロダクトや業界に関する深い理解を前提として、正しいプロダクトを定義しデリバリーするプロダクトの知識、さらには、社内関係者やその他のステークホルダーをまとめあげるソフトスキルと、非常に広範なスキルが求められます。
もちろん、これら全てのことを完璧にこなせる人はほとんどいないでしょう。Sayaka Tの記事にある通り、メタ認知思考力こそが重要であり、正しい問いを投げかけ、プロダクトを正しい方向に導けることが一番重要なことだと言えるでしょう。様々なスキルは必要に応じて身につけていけるContinuous Learnerであることが成功するプロダクトマネージャーの秘訣と言えるかもしれません。
終わりに
プロダクトマネージャーについて、本場アメリカで有名な記事などを参照しながらまとめてみました。電通イノベーションスタジオでは、アメリカでのプロダクトマネジメントやエンジニアリングのベストプラクティスを活用し、クライアントやパートナー企業のプロダクト開発・新規事業開発をサポートしていますので、興味を持っていただいた方はお気軽にご連絡ください。
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