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キーボードの問題じゃない、いっそタブレットもPCもいらないのかもしれない

極端な言い方ですが、本気でそう思うことがあります。どのデバイスがいいのかと言う議論で、なぜかキーボードが論点になっていることを前回書きました。しかし、キーボードだけの問題でもなさそうです。

本来、大切なことは、生徒が自分で学び続けられる力をつけること。極端な話、教師などいらない、タブレットもPCもなくていい。生徒が自分のペースで学び、考え、アウトプットできるようになればいい。

理想的にはこんな感じ。

主役は一体誰なのか

忘れられている気がするのは私だけでしょうか、主役は先生ではありません。ICT機器でもありません。生徒です。こんな当たり前のこと!と叱られるかもしれませんが、本当に生徒が中心になっているでしょうか。

ある時、Facebookで記事を紹介したときのこと。英語塾の経営者がいち早く反応してこう書きました。「ありがとうございます!これをどうしたら面白いと思わせるか、今から考えます!」

キーボードもですが、「もっと書きたい!キーボードがあると便利かも!」と思わせることが先だと思うのです。

御校の失敗事例を教えてもらえませんか

ワークショップに行ったときのこと。当時iPadの先進校で働いていた私に、周りの先生数名が失敗事例を知りたいと言って来られました。

きっと、生活指導上の問題が噴出しているに違いない。だから、それを先行事例として知っておいて、手を打っておきたい。。。

その先生たちにショックを与えたのは、おそらく私の言ったこんな一言だったと思います。

「減りました。と言うかほぼありません。」

iPadにアプリを勝手にダウンロードしてもOK、家への持ち帰りOK、グランドでの使用可能(Wifiはグランドまであった)。当然SNSもゲームもYoutubeも漫画もOK。一応ネットのフィルタリングはかけていましたし、モニタリングもしていましたが、基本何してもいいような環境でした。

なのに、トラブルが減ったのです。私のクラスでは夏休みの課題をTwitterで出していました。先生も生徒もオープンだと目を盗んで悪いことをしようと言う気も起こりにくいのでしょう。

iPadなのにワードとエクセルのみ?

もはや笑い話にもなりませんが、iPad導入校で「カメラアプリ禁止」「エアドロップ禁止」「イヤホン禁止」と、禁止のオンパレードで挙げ句の果てに入っているアプリはドリルとワード、エクセルのみと言う例もあります。

そこには恐怖が恐怖を呼んでいる状況があります。そもそも、iPadを使っていなくても秘密の手紙くらい送るでしょうし、スマホで普段から写真も撮る。生徒が勝手に写真を撮るからカメラアプリ禁止、などと言い出すともはや、「万引きするかもしれないからコンビニ禁止」なんてことになりかねません。

むしろ、自由に使わせておけば、スマホ慣れした生徒たちですから上手な使い方を勝手にするようになります。

例えばこんな感じですね。生徒たちは全員スマホを授業にフルに生かしていました。そこにはタブレットもPCも、ナシ。

ICT機器を入れる前に授業を見直す

まずは板書を写させるだけの授業を脱することです。ICT機器を前にして「では、P.112を開いて。次にそこの空所に今から言う語を入れない。その次に、黒板に書いた文を正確に打ち込みなさい。」なんて考えたら滑稽です。そんな事していたら、そりゃ生徒は他のタブで遊び始めるでしょう。

どんな授業形態が理想かと言うと、自分のペースでできること、学びが深まること、コラボが生まれること、アウトプットが前提になっていること、それができるよう思考の構造が身についていること

そして一番大切なのは、生徒の心が動くこと。

それは、紙ベースでもできるはずです。

教えて欲しいと言う前に自分から行動を起こす

研修後のアンケートで「もっとアプリなどを教えて欲しかった」と書いてくださった方がおられました。ご期待に沿えず申し訳ないのですが、アプリやデバイスは実は二の次だと思っています。

そして何より問題なのが「教えて欲しい」と言う態度です。

こちらの膨大な知識を見せつけて、「どうだ、すごいだろう。君たちも入試に合格したかったら、これとあれを覚えなさい。先生が板書しているペースで正確に書き取りなさい。」なんて言ってる場合ではありません。そんなつもりはなくても、気づくと教師ってそうなっていることが多いです。(自戒を込めて)それが逆に研修で出てしまうのではないでしょうか。

大切なことは、生徒が自分で学び続けられる力をつけること。そのために少しずつ手綱を手放して行かないといけない。学び続ける姿勢と手放す勇気、そして一歩引いて待つこと。PCやタブレット導入よりもずっと、大切なことです。

さいごに

先日、「摩天楼はバラ色に」を見ていたら、今ではありえないことがいくつかありました。その一つが資料室です。巨大なファイルをいくつも抱えて歩く女性エグゼクティブ。今ならデバイス一つでOkですし、探す手立てもあります。なんだかんだ言ってもデバイスなしで仕事や日常生活を送るのは難しくなっている我々現代人です。授業や教室、先生の頭の中身もアップデートが必要ですね。あ、この映画については気になった点が他にもあったのでまたシェアします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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