指す将順位戦7回戦 Tスケさん戦

 最近徐々にペースが上がってきていると噂の自戦記は7局目。今回はTスケさんとの対局を振り返ります。Tスケさんは6回戦までを4勝2敗で来ており、前期のイカロスさんと並んで今期昇級を狙うなら勝っておくと大きい相手だと思っていました。
 対局前に見た感じでは、居飛車党で、相居飛車では特に変わった作戦を使ってくるような印象はなかったので、先手なら角換わりか矢倉、後手なら一手損角換わりのいつもの指し方でやろうと思っていました。

 実際の対局では後手を引き、予定通り一手損角換わりを選択。
 ちなみにこの一手損角換わり、もともと(特に高校時代)は▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲2五歩△3二金▲7八金と進んだ場合などに「はぁ…横歩出来ないし相掛かりもできないし…」というネガティブな気持ちで△8八角成とやっていました。しかし、「最初から一手損角換わりにすると決めて2手目に3四突いたら省エネ(?)じゃん!」という謎の気づきから始まってコロナ禍開始の2020年ごろからそれなりにソフトでつつくようになり、今では得意戦法になりました。ギリギリ「必要は発明の母」みたいなところがあるかもしれませんね。あるわけねぇだろ。
 まあとにかく一手損角換わりは相手が▲7六歩と▲2六歩を指す居飛車党であれば序盤数手で確実に自分の土俵に持ち込めるその強制力が一つの魅力だよということです。志は低いが再現性は高い。


▲早繰り銀vs△一手損角換わり


 今回の対局は先手のTスケさんが早繰り銀をしてきました。そういえば今回私は後手ですが、図面を先手から見たものにしています。これはなぜなのかと言うと、普通にスクショを取るときに反転し忘れたからです。別に符号と組み合わせての見やすさを気にしたとか、相手からの見え方が気になったとか、特にそういうわけではありません。
 さて、盤上。早繰り銀vs一手損角換わりは普通に組むとだいぶ早繰り銀側が勝ちやすく、一手損側は工夫することまたは対局相手を上回る中終盤力を求められます。上図は▲3五歩と先手が仕掛けてきたところで、ここでは▲5六歩と突いて△4五歩に▲5五銀とぶつける手を用意するのも考えられます。▲5六歩は以下△5二金▲7八玉△4二玉▲6八金のような進行になり、これだと後手は普通の角換わり早繰り銀vs腰掛銀と比べてただ1手損してるだけになってしまいます。まあ互角やしええかということで私はこれを採用していますが、そういうのが許せない人は何か編み出して私に教えてください。ちなみに後手が飛車を4二に展開して戦うような指し方もありますが、私がやるとロクに勝てないのでやめました。
 上図から△4五歩▲3四歩△同銀▲3七銀△3三金で↓


(3三桂や角など選択肢がある)

 私はこの3三に金を上がる形をよく使っています。一応ソフトは代えて△3三角を示しますが、「でも飛車先伸ばせてないからなぁ…」と思わずにはいられないし、桂だと4四に効きがないのが気になる(将来▲4四桂、香、銀のような手がある)ということで金を上がっています。ただこれも2二や3一が薄いという弱点を抱えているので、私の勝率が比較的高いというだけで優秀なのかというと別にそういうわけではないと思います。
 ちなみにですが上図から▲2四歩△同歩▲3一角という攻めには△5二飛▲2二歩△1二角▲2一歩成△同角と桂損を一時的に受け入れる対応をしておいて、そのあと△4一玉から角を取りに行けば後手もまずまずです。

 手は進んで▲1五歩と先手が仕掛けてきたところ。▲3八金で後手の6四の角の効きをケアしつつ端棒銀をしてきたのにどう対応するかというところですが、△同歩▲同銀の瞬間が何でもないため、△2五銀と出てやや後手ペースの戦いとなりました。感想戦では▲1五歩のまえに▲3七桂などと一度指すべきだったかという話にもなりましたし、やはり6四角のにらみの強烈さが分かりますね。


 さらに進んで図は▲1二歩と先手が垂らした場面。ここは後手がチャンスを迎えています。この▲1二歩は次に「歩を成る」「桂を取る」が入って半人前、「飛車を成る」の3手が入って1人前という手なので、これを間に合わせないよう攻め立てることができれば後手が良くなります。そして、盤面の飛銀桂と駒台に乗っている角銀歩があれば、それは十分に可能でした。図から△8五桂▲1一歩成△7七桂成▲同金△6六歩といった調子で攻め込んでいったのが上手くいき、後手優勢に。以下は厳密には攻め方を間違えていた場面もあったようですが、大きくは崩れず押し切ることができました。

 本局に勝ってリーグ戦績は7勝0敗。今になって見てみると、順位も高いし不戦敗さえしなければ入れ替え戦にはいけるかなというところですが、当時はここから4連敗したらいやだなあと思っていました。とはいえ、リーグ4勝2敗で後ろにつけてきていた相手に自分で3敗目をつけることができたこの1勝は大きかったように思います。ではまた次回。

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