見出し画像

月面パルプエステート

ババア、干支を間違えやがった。たんまり貰った前金も台無しだ。

月の土地取引には様々なリスクが伴う。重力問題、日照権、隕石。静かの海の一等地となりゃ格別だ。だから第三者が取引の安全を保証する。エスクロー、俺の出番だ。
ただ「保証する」と言っても誰も信じない。信頼のため協会へ登録し、信用のため調査するのが俺の仕事だ。

背中を冷たい汗が伝う。買主は青写真に夢中で現実が見えてない。仲介はお喋りに必死でこちらを見ようとしない。知ってたな、この狸。

売主、ババアは超ド級のリスクだ。皺だらけの顔を睨む。整形かもな。よく出来てやがる。
ブロックチェーン上の権利関係確認、生体認証OK、印影も照合できた。だが自分の干支を間違えるか?ペテン師だ。本人だったらボケている。取引できるかこんなもん。

「取引中止」と叫んで警察を呼べば済む話。出来ない。思わず頭を抱えた。
俺はどこの協会にも登録してないし、前金は全部使っちまったんだ。
【続く】

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

読んでくださりありがとうございます。ぜひ感想をシェアしてください!

ありがとうございます。次も読んでいただけるよう励みます。
12
VR と esports / ポップカルチャーメディア KAI-YOU.net にてライター活動中 / いつも心に響木アオ / ご依頼は Tw の DM にて

こちらでもピックアップされています

My 逆噴射プラクティス
My 逆噴射プラクティス
  • 17本

小説の冒頭400字でコロナを狙う、逆噴射小説大賞への投稿作品です。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。