始まらなければ、終わりなんてこないのにって
何事にも始まりがあって、終わりがあって。
世の中に「絶対」なんてものはないんだよと言われて、それを経験のうちで知って。
絶対大丈夫も無いし、絶対なんて言い切れるものはなくて、ずっと、絶対なんて世の中どこにも無いんだとだと思って、そう思うことで自分を守ってきた。
でも、これは"絶対"だと思っている。
始まってしまったものは、いつか"絶対" 終わりが来るのだと。
楽しかった遠足は家に帰って終わるし、
辛い試験勉強も試験時間が始まって時間が来れば終わるもので。りんご1つ食べ始めれば、そう遠くないうちに食べ終わってしまう。
入学すれば卒業して、入院すれば退院して。
良いことも、悪いことも。
人も同じ。
関係が始まればいつか離れる時が来る。
それが今日なのか、もっとずっと先なのか、それは誰にも分からないけれど。
幼い時、これから楽しい旅行に行くのに、数日後には家に帰って終わりにしないといけない不安感で、旅行行きたくないと当日朝に玄関で泣き喚いて親を困らせたことがあった。
あの時の、表現しようのない気持ちは、数十年経った今でも、はっきりと覚えている。
拙い言葉でただ泣く私を、困ったように見つめる母の姿も。
終わりが怖いのに、終わりなんて来てほしくないのに。
それでも私はつい新しい何かを始めてしまうし、
新しくなくても日常、まず朝布団から起き始めなければ何も生活できなくて。
だから、普段は、なるべく終わりのことは見ないようにして、考えないようにして、その恐怖と不安から逃れている。
それでも時折、突きつけられる。
さあ、これはここで、終わりですよって。
終わりは新しい始まりだとか、
これは終わりじゃないとか、
気持ちは永遠だとか、色々言うけれど。
そうなんだけど、そうじゃなくて。
分かっているんだけど、分かりたくなくて。
これまでのたくさんの楽しいや、面白いや、色々な感情が、全部、寂しいって感情に掛け算して、
ごちゃ混ぜになった感情が倍々にわあっと覆い被さってくる。
いや、覆い被さってと言うより、
静かに、でも確実にそこにあって、トントントン…と後ろから肩を叩かれているかのようで。
ああ、うまく言葉にできないな。
今日は寂しい気持ちをそのままに、
文章もそのまま。
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