闇の動物園

飼育員のアルバイトをはじめて8日目の夜。
市川はいつも通り、30分の仮眠をとった後、夜行性の動物たちに餌をあげる事にした。
寝ても全然疲れの取れないカチカチのベッドから起き上がり、外していたカラーコンタクトレンズを装着した。

夜食用に持参したタケノコご飯のおにぎりを食べながら、動物達をぼんやりながめた。
夜行性の動物を見ていつも思う事がある。
こいつらは本当に給料泥棒もいいところだ。
好きな時に寝て、好きな時にご飯食べて。

あれ、それはつい10日前の自分の事だな。と自分で自分に突っ込みをいれると共に、最近来なくなった佐々木さんの事を思い出したら背筋が急に怖くなった。

4日前、僕がカチカチのベッドから目覚めた時、佐々木さんは暗闇の動物園で、ムツゴロウよろしくライオンに噛まれていた。
頭は血だらけですぐに救急車を呼ぼうとしたが、絶対に呼ぶな！と佐々木さんの怒鳴り声で呼ぶのを辞めた。
あの日以来、佐々木さんは来ていないし、ライオンは確実に脱走した。