見出し画像

他人と比較しない。過去の自分と比較する~他律的な評価から自律的な評価へ

人を評価するときに、他人と比較して評価しない。比較するとしたら、その対象は、その当人の「過去」だけにしよう、そう決めている。

ただ、ふとした折に、意識せずにやってしまうことはある。やってしまった後に、「いやいやあかん」と自分に言い聞かせてるが。かなり意識してても、ついついやってしまうぐらい、他人との比較って、ある意味、簡単なのだ。(本当は、簡単なわけではないけどね)

他人と比較した場合、必ず、そこには優劣が生まれる。Aさんに較べたら、Bさんはここがダメ、ここが出てないとか。BさんはCさんよりここが優れてる。みたいな感じで、どこまでいっても、他人と比較すれば必ず、誰かの強みは、誰かの弱みやネガティブポイントになる。

意図的にそれをやって、やる気を引き出すみたいなマネジメントもあるのかもしれないけど、自分が同じようにされると、あんまり気分はよくない。

まったく同じ作業や同じ業務をやってて、Aさんは●分で出来る、とか、Bさんは●ヵ月でここまでできたとか、そういう比較はその業務のレベルアップしていくための、ある種のベンチマークになるので、必要なのかもしれないけど、それでも人とダイレクトに比較して、「出来ていなさ」をあぶり出して、煽り立てるようなやり方には疑問はあるし、そうじゃない方法を取りたい。そういう業務ならば、会社として標準レベルや達人レベルみたいに、基準値を決めておいたほうが良いんだろうなと思う。

うちの会社には、まったく同じ仕事をしている人がいない。同じ業種だろうが、職種だろうが、やってること、関わってるプロジェクト、関与している/貢献している領域がそれぞれ違う。なので、そもそも比較することは出来ない。

でも、その人の過去と今を比較することはできる。過去から見てきてるなら、どれぐらい成長したのか、何が変わったのかは分かる。

ほとんどの人は、過去と比較すると何かしら成長しているもので、特に若い人はその成長は顕著だ。なので過去と比較すると、だいたい嬉しくなる。成長してるなーと実感持てるからだ。

━*━

木村石鹸には、賃金制度と連動した評価制度みたいなものはない。「評価」はあくまでも個々人の成長を促すためにあって、それは報酬は切り離している。なので、極端なこと言うと、評価が良かった悪かったで、報酬が上がる下がるはない。そんなことを説明すると、え? じゃあどうやって給料を決めるの? どうやって納得感を得るの?と疑問に思う人が多い。

木村石鹸の人事評価制度、賃金制度がどんなものかは、こちらのnoteを読んで頂くと、なんとなくは理解頂けるかなと思う。

この制度の場合、他人との比較がないのが良いなと思ってる。会社としても誰と較べてどうか、という判断はしない。あくまでもその人の今までの信頼や実績すべてと、これからやろうとしてること、そのやろうとしてることを会社はいくらの価値だと考えるか、社員はいくらの価値だと考えてるか、そこの擦り合わせを行い、最終給与を決める。

仮に、自分の給与が他の人に較べて低いという不満があるとする。そしたら社員は、自分が納得できる給与を提案すればいい。ただし、どんな貢献を行うのか、どんな価値提供を行うのか、だからこの金額だという根拠を提案して会社を説得しなければならない。

画像1

「他人に較べて給与が低い(と思っている)」という、なんとなくの不満で燻るのではなく、自分がどんな働きをすれば、どんな貢献をすれば、その「他人」と同じ給与ぐらいに出来るのか? 社員がそんな風に考えてくれる切っ掛けになれば、僕としては嬉しい。単に、誰かと比較して高い低いじゃなくて、その額を得るためには、会社にどんな価値を提供すべきか、と、まず「自分はどうすべきか」というところに意識が向いてくれるようになったほうが、その人の成長にとっても良いことだと思う。他律から自律だ。

全く同じ仕事をしてて、完璧に比較できる要素しかなく、その上で、パフォーマンスに差がないのに給与に差がある、ってことだと、それは大きい問題だと思う。でも、実際、そんな仕事のほうが少ないと思う。少なくとも木村石鹸の場合は、皆、違う。同じ職種でも、状況も違えば、その人自身の価値みたいなものも人によって全然違う。例えば、同じ営業でも「売上」とか「粗利」とか、そういう単純な指標だけで較べても意味がない。その人が社内のムードを良くしてて、他の人のパフォーマンスが上がってるとか、あるいは別の人は新人の教育に熱心で、新人の成長にめちゃくちゃ貢献してるとか、人それぞれ貢献できることも、仕方も、捉え方も違う。得意不得意も違う。できれば、自分が得意な領域で、最大限の価値を会社に提供していって欲しい。

こういうものに「値付け」をすることはすごく難しいし、会社としても、その値段が妥当かどうかの判断はかなり難しい。でも、何かある側面だけを切り取って、紋切り型の同じ評価項目で〇×つけて、結果何点になりました。●ランクです。昇給額は●●●円です、みたいな従来の評価制度、賃金制度も、よくよく考えたら、そこに大した根拠も理由もないと思う。しかも、全然面白くない。それより、自分の可能性を広げていく、積極的に提案をして、価値を高めていこうとする、そういう制度の方が、前向きで面白いと思うのだ。

社員が提案してくる貢献内容に期待が持て、こいつなら出来るだろうと信じることができ、且つ、内容と金額がつり合いが取れていると会社が判断すれば、それでGOになるし、そこでつり合いが取れてないんじゃないかとか、提案は良いけど、今までの貴方の実績とか仕事ぶりから考えて、これ達成できる根拠は薄いんじゃないかとか判断する場合もある。

このやり取りを、「覚悟の交換」と呼んでるが、会社も真剣だし、社員も真剣にその内容と価値について詰めていく。もちろん、折り合いがつかないケースもある。社員が提示している額が、貢献内容とどう考えてもつり合いが取れないと会社が判断するケースとか。そんな場合、社員はその内容がそれだけの価値があると信じてるのであれば、それを認めてくれる会社を探す、というのも一つの選択肢だ。会社としては、当然、辞められては困るのだけれど、その価値判断で大きなズレがあって、折り合いがつかないことになると、お互い不幸だ。最悪、そういうことになっても仕方ない、そういう覚悟で貢献内容と報酬の決定をしていっている。

この制度で重要なのは、他人がどうだ、という比較が一切ないことだ。また、何か会社側が用意した評価項目や習得能力などがあるわけでもない。自分で価値を考えて、提案しなければならないので、社員は、自分の価値を自分で考えて提案しなければならない。会社としても、当人が他の社員に較べてどうか、ではなく、どこまでいっても、その人が提案してることや提供する価値がどうか?ということに向き合わないといけない。それは簡単なことではないけど、そっちのほうがずっと前向きなんじゃなかと、僕は思ってる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?