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第3回 洗剤はこうやって進化してきた~これですっきり!洗濯の疑問

ALL YOURS×木村石鹸のコラボ企画「衣類と洗濯の理想の関係」の第3回。今回は洗剤について、その原理や歴史の話です。

前回はこちら。

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汚れはどうやって落ちる?

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注)祥一郎(木村石鹸代表木村祥一郎)/まさし(オールユアーズ代表木村昌史)です。

まさし:
そもそも洗濯の過程で汚れはどうやって落ちるんですか?洗剤にはいろいろな成分が入っていると思うんですけど...

祥一郎:
まずは汚れの種類を知ることが大切なんです。日常生活で考えられる汚れは大きく分けると2つあります。まず1つ目は汗や果汁とか醤油などの水溶性の汚れ、2つ目は皮脂やメイク用品、食用油などの油溶性の汚れです。

まさし:
汚れにも種類があるんですね〜
種類によって汚れの落とし方も変わるんですか?

祥一郎:
はい、そうなんです。実は水溶性の汚れは水で大半は落ちるんですよ。問題なのは油溶性の汚れで、文字通り油なので汚れが水に溶けません。洗剤に入っている「界面活性剤」という成分が汚れを水に移す作業をしてくれます。

まさし:
界面活性剤はどうして油性の汚れが落ちるんでしょうか??

祥一郎:
仲が悪くて相容れない状態のことを「水と油」って言うじゃないですか?基本的に水と油って混じり合わないんです。だから、油性の汚れは水では落ちにくい。
界面活性剤の原理って、簡単に言うと、その相性の悪い「水と油」を馴染みやすくする役割を果たしてくれるんです。

まさし:
その機能、リアルな人間関係で欲しいやつだ…

祥一郎:
洗剤を水に混ぜると、衣類についている皮脂などの油性汚れを界面活性剤が包み込んで、水に移りやすくなるんです。かつ、界面活性剤が汚れを包み込んでいる状態なので、服に汚れが再付着することを防いでくれる。これが界面活性剤の主な役割です。

まさし:
油汚れを包んで、衣類から引き剥がす役割をしているんですね。

祥一郎:
そういうことです!他にも界面活性剤は水の「表面張力」を下げて、衣類に水や洗剤を浸透しやすくする働きがあります。これも先ほどの原理を働かせるのにとても大切です。

まさし:
衣類がしっかり水の中に沈んで「濡れている」状態っていうのも、汚れを落とすのに大事なことなんですね。

祥一郎:
しっかり水が衣類に浸透していないと、汚れは落ちていないと考えた方がいいと思いますよ。

洗剤の歴史

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まさし:
界面活性剤のような成分って昔からあったものなんですか?研究とか開発をしないと生まれないような成分なのかな?なんて思ったりもしたんですけど...洗剤にも歴史ってありそうだなあ。

祥一郎:
日本では明治時代から本格的に石鹸が使われるようになったんです。石鹸と洗濯板を使って、川や桶で衣類を洗っていたんですね。
海外でも石鹸は使われてましたが、第一次世界大戦中に石鹸を作るための原料である油脂が不足し、石油から作れる合成洗剤がドイツで生まれたんです。

まさし:
合成洗剤の歴史ってここ100年くらいの話なんですね。

祥一郎:
そうなんです。戦争が由来で合成界面活性剤(合成洗剤)が生まれたんですが、この合成洗剤がヨーロッパの水質と相性が良くて研究開発が進んで行ったんです。石鹸は硬水だと泡が立たなくて、相性が悪かったんです。

まさし:
戦争に加えて、環境の要因もあるんですね。。

祥一郎:
なので、海外では石鹸の洗剤ってあんまり研究されていないと思います。合成界面活性剤(合成洗剤)の課題をどうクリアしていくかという進化をしていったと思います。
例えば、合成洗剤って初めは粉だったんですが、洗浄力の低さを補うために濃度を高くするためだったんです。今では消費者も使いやすくて、メーカーも使いやすい液体洗剤になっています。洗浄力を高めながら、使いやすくしていくというのが大きな進化の流れなんです。

まさし:
合成界面活性剤(合成洗剤)は石油から作られているという話がありましたけど、ちょっと環境への影響が心配になりました。進化の過程には環境問題も絡んでいるんですか?

祥一郎:
ヨーロッパは国境が繋がっているのでエコに対する意識はすごく高いと思います。自分たちが出した排水でお隣さんに迷惑をかけないように配慮しているんです。なので、合成洗剤の生分解性(微生物の力で物質を無機物にすること)を高めたり、植物由来で作るといった進化をしています。

まさし:
日本はどうだったんですか?

祥一郎:
日本では合成界面活性剤(合成洗剤)が悪い、怖いというイメージを持つ人がおおくなってしまいました。洗剤は洗浄力を高めたり、衣類を白くするために進化しているんですね。その過程でリン酸塩が使われることがあるんですが、このリン酸塩が赤潮の原因になったり、環境汚染に繋がるといった話があったんです。
その時に極力、石鹸を使おうという石鹸運動みたいなことが起こりました。石鹸と合成界面活性剤(合成洗剤)を見分けられるように法律も整備され、エコな人は石鹸を使おうという潮流になったんです。

まさし:
消費者運動があったんですね。

祥一郎:
日本くらいなんですよ、石鹸と合成界面活性剤(合成洗剤)表記が分かれているのって。合成界面活性剤(合成洗剤)でも環境に優しいものもあるし、環境に優しい上に性能がいいものもあるんです。だから合成界面活性剤(合成洗剤)だからって恐怖心を持つのはもったいないと思います。

まさし:
素人が理解するにはにはちょっと難しいですけど、昔のルールがそのまま残ってるんですね。洗剤を自分の意思で選択できるようにもう少し分かりやすく解説できたらいいなあ。

洗濯機の性質

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祥一郎:
今洗濯機がめっちゃ欲しいんです。

まさし:
今はどんな洗濯機を使ってるんですか?

祥一郎:
縦型の洗濯機を使ってるんですけどもうちょっと細かい設定がしたいなと思っていて。すすぎや洗浄の回数や水量を細かく設定したいんです。

まさし:
なるほど。私は縦型の洗濯機を使ってます。最近は水を大切にしたくて、残り湯で洗濯をしてるんです。

祥一郎:
水の量を減らしたいならドラム式がいいんですよ。

まさし:
そうなんですか?確かにCMや広告で節水、省エネみたいな言葉を聞いたことがあるかもです。

祥一郎:
そうですそうです。でも「節水!」って訴求はされてるんですけど、元々は節水のためにドラム式洗濯機が開発されたわけではないんです。また水質の話で、硬水は洗剤と相性が悪いんですね。硬水の地域で縦型式を使うと衣類がガシガシになってしまいます。だから水の量を極力減らして、衣類を洗うというアプローチがされてきたんです。
まさし:
ということは、ドラム式と縦型式では汚れの落とし方も違うんですか?

祥一郎:
ドラム式洗濯機は衣類を叩いて洗います。一方、縦型はこすり洗いです。
洗い方で言えば、ドラム式の方が衣類には優しいですが、その分、縦型と比較すると洗浄力はマイルドな傾向があります。洗浄力を求めるなら縦型に軍配が上がると思います。

あと、ドラム式の場合、ちょっと気をつけないといけないのは、衣類の量が少ないと叩く力が強くなるので衣類を傷めやすいし、衣類を詰め込んで多すぎると叩く力が小さくなり汚れが落ちにくくなります。もちろん、縦型でも必要以上に衣類を詰め込み過ぎると、洗浄力は落ちてしまうのでほどほどの量にしておくべきですが。

まさし:
洗濯機にも原理原則があるんですね。洗濯機の基本的な特性を理解しないと盲目的に新型のドラム式洗濯機を選んでしまいそうです。

祥一郎:
なので、服をケアしたり汚れを落とすことを重視したい方、日常的に洗濯物を外干しする方には縦型式がオススメです。洗濯する時間がない方やなるべく洗濯にかかるコストを削減したい方にはドラム式がオススメです。

まさし:
ライフスタイルに合わせて選ぶのが大事ですね!

◆次回はこちら


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