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≪特別版≫書籍「2020年注目の社長30人 挑戦者の流儀」にて紹介されました

『全文公開させていただきます』お時間あるときにどうぞ!

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■座右の銘:一歩前へ

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必ず必要になる、外国人留学生の能力

日本在住の外国人留学生を束ねて、彼らの文化的な背景や語学スキルを活かした仕事をしてもらっています。
仕事内容はインバウンド外国人視点を活かした調査や観光案内所の運営、イベントのサポートなどが多いです。
旅行会社や国・自治体などと組んで展開することもあります。
私がこの事業を始めたのは二〇一五(※二〇一五は独立/業務は二〇一三)年、インバウンドが急速に伸びてきた時期です。当時は旅行者だけでなく留学生の数も増やそう、という方針が政府にありました。「二〇二〇年には留学生を三十万人に」という目標を設定していたはずですが、その目標は一年早く、二〇一九年にはクリアしてしまいました。ものすごい勢いです。

観光客としては中国と韓国がツートップ、それに台湾や香港、ついで東南アジア各国が多数を占めていました。留学生も同様に、東アジアと東南アジアが多く、次いで欧米の大学生や院生も当時から多かったです。
その頃の私はインバウンド事業を行う会社に勤めていて、主にマネジメント役でしたが、彼ら留学生と触れ合ううちに「この子たちの能力は、これからの日本に絶対に必要になる」と直感しました。海外からの人々を出迎えるにしろ、こちらから外に打って出るにしろ、その間をつなぐ人材は必要だし、その時になって手当てしようとしても遅い。今から育てておかねばなりません。
ところが会社側としては、果たしてそれがビジネスになるのかどうか疑問だったと思います。そこで会社が分社するタイミングで独立し、留学生ビジネスを立ち上げたのです。

その一歩を踏み出すための助けに

生まれが寿司屋の三男坊ですから、家業は長兄に任せて自分で何か仕事をしなくちゃ、という意識が強かったんでしょう。親からも何を言われるわけでもなく、やりたいことをやらせてもらえました。野球が好きだったことから「メジャーリーグで仕事をしたい」と考え、野球に関係するような仕事がないかと探し、まずはご縁があった芸能界に入り、ツテを頼ってアメリカに渡って、マイナーリーグ球団で勤め、その後エージェントの仕事を得て……。はた目には行動的な男に見えるかもしれません。
確かに好奇心は旺盛ですが、実は気が弱いところがあるんです。第一歩を踏み出すまでが、なかなかできない。迷ったりためらったり、まだ無理だと後ずさりしたり。そうしたところから独立のとき「ワン・ステップ」という社名にしました。その一歩を踏み出せ、と自分に言い聞かせるつもりで。
誰だって、迷うことはあります。進むべきなのか退くべきか、行くべきか帰るべきか。一緒に働く留学生たちからも「国に帰るべきか、あるいはもっと勉強したほうが良いのか」などと、相談を受けることがよくあります。でもそれは本人にしか決められません。そんな時に「大丈夫だよ、きっと」と声をかけ、歩み出す助けになれればと思っています。

異なる文化・習慣への歩み寄りが必要

私は自分が表舞台に立つよりも、人のポテンシャルを引き出して活かす、という仕事が性に合っているんです。だからずっとマネジメントの世界に身を置いてきたのでしょう。それが好きでしたし、得意だとも思っていました。
ただ、渡米してすぐの頃はなかなかうまくいきませんでした。言葉の壁もさることながら文化の壁、さらに差別とは言いませんが「どうせあいつに言っても分からないだろう」という感覚を、現地の人々が持っていたためです。
日本で、外国人と仕事をする人たちの中にも、本人が意識するしないに関わらず、そうした固定観念があるかもしれません。だとしたら、それはとても残念なことです。
留学生の皆さんの多くは、母国語のほか英語、日本語と数ヶ国語を使えます。ですから言葉の問題はないんですが、文化や習慣の違いはどうしてもあります。ことに時間厳守とか言葉遣いとか、ほんのちょっとしたことでも日本人は気にします。そのため仕事に出る時には「日本人はこうだから」という具合に、ひと通りの教育はするのですが、彼らと接する日本人側の意識まではどうにもできません。
日本では少子化が進み、もっともっとグローバル化も進めなくてはならない。外国人との接点は増えていくはずなのに、語学力は乏しい。となれば、彼ら海外からの若者たちの力が今以上に必要になるんです。彼らが日本の文化や習慣、感性に歩み寄ってくれるように、私たち日本人も、彼らに歩み寄る必要がある。そこの調整が私の役割でしょう。

世界的ネットワークで、何ができるか楽しみ

留学生たちの中には「日本で就職したい」という者もいて、そんな時にはサポートするようにしています。ただこれは「友だちの頼みを聞く」くらいのことで、ビジネスにはしていません。それよりも「彼らとつながっていたい」という気持ちのほうが強いです。
留学生全員が卒業後、日本に残るわけではありません。母国に帰っていく者もいれば、。別の国に留学する者もいる。若い時期に日本で勉強して、少し仕事をして、その後はそれぞれ新たな場所に発っていく。ずっと私の近くにいてくれるわけではありません。でもそれで良いと私は思っていますし、またそこが面白いところだと思っています。
世界中に散っていった彼らとつながっていれば、それぞれの点が線になり、ネットワークになります。そうすればそれをベースに、何かできるんじゃないか。そう思うんです。
たとえば今回の世界的なコロナ禍にしても、彼らは自分のいるところから現地の様子をレポートしてくれました。「日本はまだ収束していないけど、みんなはどう?」「ベトナムは普通に観光できるようになったよ」「台湾は? シンガポールは?」そんな具合に、各国の様子を知ることができました。
このネットワークをもっと広げていけば、何かできるんじゃないか。もちろん、私が手がけているような事業を彼らがそれぞれの国で始めても良いわけです。まだ具体的な計画はできていませんが、先々のためにと考えて、インターンシップのようなことは始めています。
一緒に働いた仲間たちもすでに世界四十ヶ国、およそ六百人にまで増えています。このメンバーがそれぞれに動き出し、海を越えてつながり合えば、きっと面白いことができるのではないでしょうか。これは私の挑戦というよりも、大きな夢です。




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