成功している打者の共通点
この年のMLBは過去類を見ない打率の低下に見舞われている。7/10現在、リーグ全体の打率は.240であり、150年の長い歴史の中で、下から4番目に位置している。一方で投手の奪三振率は上昇を続けており、今期のK/9は驚異の9.1で、歴代最高記録である。さらには、ノーヒットノーランも7度記録されており(7回までの試合を含めると9度)、打者にとっては氷河期とも言えるような時代が訪れたかに思える。
だがリーグ全体を見渡すと、Vladimir Guerrero Jr., Fernando Tatis Jr. や大谷翔平といった若くタレントに満ち溢れる打者がどんどんと台頭してきており、数年前までの、一般人に認知されているメジャーリーガーといえばMike Troutぐらいなどといった危機的状況から脱却したかに思える。
ではなぜ感覚的には打者のレベルも上がったように思えるのに、数字は貧打を指示しているのかというと、平均以下の選手が進化についていけていないからである。前述した三振率の上昇により、バットにボールを当てられる機会がどんどんと減っているため、その少ない機会をいかせない選手は、その分打率の低下を経験することになる。
投手の球速、変化球の質やボールの回転数が日進月歩の中、成功を収めている選手にはある共通点がある。
wOBAの上位10傑の表だが、6位のMax Muncyと10位のXander Bogaerts以外全員、打撃の際、踏み出す足をあまり上げず、その結果速球に強く、高めのボールにも対応できている傾向にある。
それぞれの選手の打撃フォーム、対速球wOBA、高めのボールのHard%を見ていこう。
Vladimir Guerrero Jr.
Fernando Tatis Jr.
Shohei Ohtani
2016(足を上げていたころ)
2021
Baseball Savantに打者としてのZone成績が載っていなかったので割愛
Ronald Acuna Jr.
Nick Castellanos
Jesse Winker
Cedric Mullins Ⅱ
彼は去年まで両打だったが、左打席一本に絞ったことが躍進の理由であると語っている。
Bryan Reynolds
彼らは全員対速球系wOBAが変化球を上回っている。
参考までに、足を高く上げる選手の代表格とも呼べる、Mike Troutの2019年の数字も載せておく。
また、シーズンの途中で、アプローチを変え、成功を収めた選手もいる。
投手のレベルの上昇により、足を上げてタイミングを取る贅沢はもう許されなくなっているのかもしれない。
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