Yudai Kobayashi

面白い野球のトピックを思いついた時に、記事を書こうと思っています。Twitter(@Y…

Yudai Kobayashi

面白い野球のトピックを思いついた時に、記事を書こうと思っています。Twitter(@YKobaAnalysis)

最近の記事

ヤンキースのシンカー革命 ~今後トレンドになるSSWとは何か~

Clay Holmes、Joely Rodriguez、Wandy Peraltaの3人には共通点がある。2021年シーズン途中にヤンキースに加入したこと。大幅な成績の向上が見られたこと。そして全員シンカーの使い手であるということだ。 まずは3人の成績がどのくらい向上したのかを見ていこう。 Clay Holmes (PIT→NYY) 44試合 防御率4.93→ 25試合 防御率1.61 Joely Rodriguez (TEX→NYY) 31試合 防御率5.93→ 21試

    • オリオールズGM Mike Elias氏との対談(翻訳記事)

      オリオールズGMのMike Elias氏と記者のDavid Laurila氏の対談記事を翻訳したものです。 Mike Eliasはスカウトと選手育成の背景を持って2018年にボルチモアにやってきた。オリオールズの現ゼネラルマネージャー兼副社長は、2007年にセントルイス・カージナルスでスカウトとしてMLBの世界に足を踏み入れた。その4年後、ヒューストン・アストロズのアマチュアスカウト部長として雇われ、2016年にアストロズはイェール大学出身の彼をアシスタントGMに昇格させ、

      • 打率.341を記録しながら190打席しか与えられなかった捕手の話 ~打てる第二捕手の起用法~

        あなたの贔屓チームにもし打率.341の捕手がいたら正捕手として起用されるだろうか。ほとんどの場合そうなるだろうが、2006年のツインズはその選手を正捕手起用どころか190打席しか与えなかった。 その悲劇の選手の名前はMike Redmond。後にマーリンズの監督も務めることとなった彼だが、なぜそのようなことになったのか。 理由は単純明快でJoe MauerというMVP級の選手が居たからである。以下は両選手の2005年と2006年の成績である。 2006年にはオールスター出場

        • 投手有利の世界を覆す打撃指導法

          これまでの長いMLB史の中で今現在が最も投手有利の状態という話をよく耳にする。これには理由があり、この10年で球団は球速を大幅に向上させる方法を編み出したからである。これまで何世代にも渡り感覚と反復練習を繰り返してきた投手という生き物は、今では洗練された技術とテクノロジーを駆使して球種を磨き、球の回転すらも最適化するようになった。捕手もまた、微妙なグラブワークの調整とポジショニングによりプレートいっぱいの球をストライクと審判に呼んでもらえるような練習を重ねている。 一方、打

        ヤンキースのシンカー革命 ~今後トレンドになるSSWとは何か~

          成功している打者の共通点

          この年のMLBは過去類を見ない打率の低下に見舞われている。7/10現在、リーグ全体の打率は.240であり、150年の長い歴史の中で、下から4番目に位置している。一方で投手の奪三振率は上昇を続けており、今期のK/9は驚異の9.1で、歴代最高記録である。さらには、ノーヒットノーランも7度記録されており(7回までの試合を含めると9度)、打者にとっては氷河期とも言えるような時代が訪れたかに思える。 だがリーグ全体を見渡すと、Vladimir Guerrero Jr., Fernan

          成功している打者の共通点

          WARは本当に信用できるのか

          1.はじめに2011年に映画「マネーボール」公開後、それまで存在そのものがあまり知られていなかったセイバーメトリクスが世間一般にも浸透し、テレビ中継や記事にて打率や防御率といった基礎的な指標以外にも、様々な指標を目にするようになった。 そのうちの一つ、WAR(Wins Above Replacement)はまさにセイバーメトリクスが選手を評価する際にどのような考えを用い、数値化しているのかをわかりやすく体現することに成功した。今や選手の価値はWARに基づいて語られる事が多い。

          WARは本当に信用できるのか

          The ABC of baseball analytics

          The other day I found a tweet below and took my pen in my hand to remind myself ABC of baseball. If you are involved in any baseball activities, you should notice what's strange about this tweet. From little league to MLB, shortstop is con

          The ABC of baseball analytics

          野球分析の基本の「き」

          先日このようなツイートをTwitter上で見かけ、野球分析の基本の「き」を忘れないようにしようという旨の記事である。 野球に関わったことのある人間ならば、このツイートのどこがおかしいのか、すぐにわかると思う。 ショートがリトルリーグからMLBまで特別なポジションという扱いを受けているのは、その仕事量の多さと難しさ所以である。 仕事量の多さというのは単に守備機会そのものの多さだけではなく、二遊間や投手捕手との連携、外野からの送球のカット、シフト時における守備位置の変更といった

          野球分析の基本の「き」

          There's deviation lying between Michael Pineda's stats and his actual game

          1.Introduction As a Yankees fan, I had high expectations of Michael Pineda since he was traded for Jesus Montero by one-on-one trade. He had a terrific season in his MLB debut year, and everyone must've been excited about adding flame-throw

          There's deviation lying between Michael Pineda's stats and his actual game

          Michael Pinedaから見る、数字と現実の乖離

          1.導入 Yankeesファンである筆者は、Michael Pinedaという投手に対して、Jesus Monteroとの1対1トレードが発生した時点から期待を寄せていた。 MLB初年度からSEAにて好成績を残した、将来のエース候補となる剛腕が加わり、誰もが心踊らされたに違いない。 今回は彼の成績を詳細に分析し、数字の落とし穴について論じてみたいと思う。 2.概説簡単にだが彼のNYYでの4年間の数字を見ていこう。(トレードされた後2年ほど怪我で全休しているため、実際には6年

          Michael Pinedaから見る、数字と現実の乖離