「ローカルガストロノミー」イベントレポートno3
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「ローカルガストロノミー」イベントレポートno3

2020年11月「ローカルガストロノミー」をテーマに行ったイベントのレポートNo3です。舞台は発酵の町、秋田県湯沢市。秋田の伝統食材を使用し、未来に食文化を継承するべく「自然と人が共生する」を探究するべく、新しい地域の料理を楽しんだ1日目に続き2日目はシンポジウムを行いました。
そのシンポジウムの中で行われた学生運営チームによる映像発表では、農林水産省 大臣官房政策課 企画官である渡辺一行さん、豊洲市場の西岩商事 野菜部代表 野菜未來株式会社の代表取締役である塩田勝良さん、秋田県潟上市の農家で自然栽培に取り組むファームガーデンたそがれ園主である菊地晃生さんのインタビュー動画を放映したので、この記事を通して共有したいと思います。

食と農の世界の第一線を走られてる御三方の方々のインタビュー動画を事前に撮影・編集し、午後の分科会に向けて、現在の日本の食と農の課題を整理したり、課題を解決し、より良い未来を作っていくためには例えばどんな方法があって、どんな考え方が大切なのかというヒントを示してくれるようなインタビュー動画を放映した。今回インタビューさせて頂いたのは、農林水産省 大臣官房政策課 企画官である渡辺一行さん、豊洲市場の西岩商事 野菜部代表 野菜未來株式会社の代表取締役である塩田勝良さん、秋田県潟上市の農家で自然栽培に取り組むファームガーデンたそがれ園主である菊地晃生さんだ。


渡辺氏には日本の食と農の現状と課題について整理し、より良い未来を作っていくためには行政の視点からどんなことが出来るのかについて話してもらった。日本の農業は高齢化率が以上に高く、これから急速に農業従事者が減少していくと考えられる。また、これから人口の減っていく日本では相対的に経済力も低下していくと考えられ、今までのような食生活を送っていけなくなる可能性があり、そういった時のことを考えるとフードテックやアグリテックの活用を今から議論しておくべきだし、民間だけではなかなか実行するのが難しいこともあるので、行政と民間とが面となって取り組んでいくことが大切だと述べていた。日本の農業の高齢化率が進んでいることはよく耳にしていたが、改めてグラフを踏まえて見てみると、基幹的農業従事者の4割以上の59万人が70歳以上であり、2030年までには新規就農者数を足しても現在の140万人から50万人ほど減るという予想以上に深刻な状況であるということを知った。これからを生きる私たちは、予想以上に深刻な状況に向き合っていく必要があり、今までとは状況が大きく変わってくることが予想されるため、これからのことをもっと真剣に考えていくべきなのではないだろうか。また、それを考える上で特に今までの農業がそうだったように、行政に頼りきりになるのではなく、まずは自分たちがどういう未来を創っていきたいのかを見定め、あくまで行政にはそれを創るためのサポートをしてもらうという意識で臨んでいくことで、動きが面となっていくと思った。


続いて流通から食に関わり、様々な農家やシェフの方々をみてきた豊富な経験から塩田氏が感じたり考えた食の課題と可能性について話してもらった。農業も業であるから、ビジネスの視点を取り入れることが大事だが、一方で農業は自然環境にも大きく影響を及ぼすため、これからは自然環境を考えていくことも必要不可欠になる。それを実現するためには大規模でやってる農家さんも、小規模でやってる農家さんも、農薬を使ってる農家さんも、無農薬栽培に取り組む農家さんも、正しく評価される中で共生し、多様性が成立する社会にしていくことが大事だと述べていた。確かに、私たちは資本主義の世界の中で生きている以上、自然を搾取してでも、食べていけるくらいのお金を稼いでいくことは必要だが、私たちが繋いでいくべき未来のことを考えた時に、果たしてこのままでいいのかと疑問を感じる。しかし一方で、私たちが充分な食料を確保出来ているのは、そういう大きなシステムがあるおかげであることは間違いないので、それも大事にしつつ、自然環境に働きかける小さな農業も評価されるような、やはり多様性が成立する社会を創っていく必要があるのではないだろうか。


最後に菊地氏に実際に農を営む上で感じた課題や、百姓の可能性について話してもらった。菊地氏は元々ランドスケープデザイナーとして活動していたが、故郷の秋田の風景を考えた時に、果たしてこの美しい田園風景を将来へ繋いでいけるのかと疑問に思い、実家の農業を継ぐことを決めた。しかし、当事者として実際の生産現場に立ってみると、想像以上に現場が悲惨な状況であることを知った。食は人を良くすると書くが、現代社会では経済を回すために農薬や化成肥料を多量に使って安定的に大量生産をすることが重要視され、食の本来の価値はなおざりにされていた。それを取り戻すことが百姓の仕事だと思い、自然と共に生きる耕さない田んぼや、農的暮らしの学び場としての野育園、共有財産としての畑「キッチンファーム」というような取り組みを行ってきて、食の栄養補給として以外の文化的な価値を掘り起こしてきたと述べた。私は、我々が生きていくために必要不可欠な「食べ物」を作っているはずの百姓が、なぜ儲からない仕組みになっているのか疑問に思っている。また、菊地氏も述べていたように、現代の百姓は食料を生産する他に、人と自然とを繋ぎ直し、丁寧な暮らしを取り戻すといった役割も担うようになると考えられる。今一度、私たちは「百姓」の価値を考え直す必要があるのではないだろうか。

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農家を目指す秋田の大学生。